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【Doctor Tのスポーツ医学】ちゃんと取り入れたい運動の4要素!

 こんにちは、Doctor Tです。日常診療で、生活習慣病の方や高齢の方に運動をしましょうと言うと、多くの患者さんから「ウォーキングで〇〇歩くらい歩いています」や「運動する時間がない」という返事をよく耳にします。

 こういった患者さんには「運動=ウォーキング」で「運動にはある程度時間を取らないといけない」という思い込みがあるように感じます。しかし、運動にはいろいろな種類があり、短時間でできる効果的な運動もあります。

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運動の4大要素
 運動は大きく4つに分類できます。どれも必要な要素で全て取り入れるべきなのですが、そのウェイトはその人の体の状態や目標によって変わってきます。また、1つの運動の中に複数の要素が含まれることもあります。ヨガはそのよい例ですね。

 人によって苦手な領域があります。自分の状態、目的にあわせて種類や量を調整します。

あなたの運動はどれかに偏っていませんか?

 それぞれの項目についてはなんとなく知っている方が多いと思います。でも、組み合わせや量が偏っていませんか?自分の運動に「すべてをバランス良く」取り入れられているかを振り返ってみましょう。

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1)省かれがちなストレッチ(柔軟運動)
 柔軟性は「身体の柔らかさ」のことですが「筋肉がどのくらいしなやかに伸び縮みするか」、その結果「関節がどれくらい動くか」であると言えるでしょう。腰痛や膝の痛みのある方は、自分の体じゅうの柔軟性を見てみてください。痛みの部位と硬い部位が一緒とは限りません。むしろ、他の関節が硬いために、痛みのある関節に負荷がかかっている可能性が高いのです。

 柔軟性はストレッチで高めることが出来ます。じわじわ伸ばす伝統的なストレッチ(static)ではなく、dynamicストレッチと言って、ゆっくりとその筋肉を伸ばしたり縮めたりする動きを繰り返す動作も効果があります。

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2)運動の王道と思われている有酸素運動(心肺機能訓練)
 心肺機能は、酸素をからだに取り入れて筋肉を動かすエネルギーに変えていく機能です。坂を登ったり、走ったときに息があがりますよね。肺や心臓の状態だけでなく、貧血によっても体内での酸素の運搬能力が低下し、この機能は落ちてしまいます。

 速歩き、ジョギングや水泳など息の上がる運動(有酸素運動)で改善します。息の上がっていないウォーキングはこのトレーニングになっていないことには注意が必要です。逆に家事や階段登りを息が上がるまでやれば、それは有酸素運動になるのです!

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3) ムキムキになるだけが筋トレではない
 筋力は、力の強さです。必ずしも重いものを持ち上げられることをいうのではなく、日常動作でも筋力を使っていることを忘れてはいけません。例えばしゃがんだ体勢から「すっと」立ち上がれるか否かを考えてみてください。以前のようにできていますか?筋力が下がると自分の体重も支えられなくなってしまいます。

 これは、いわゆる筋トレで改善しますが、マシンを使った運動だけが筋力トレーニングというわけではありません。

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4) 高齢の方、及びケガをした後の人に特にやってほしいバランス訓練
 運動の要素と聞いてバランスと答えられる人は少ないと思います。これは、脳から出された司令通りにからだを動かせるかと言う能力で、専門的には運動器コントロールmotor controlとも言います。これを読んでいる人の大部分は無意識にバランスを取っていると思いますが、年を取ったりけがをしたりすると、脳から筋肉への司令の繋がりが弱まりバランス感覚が低下してしまいます。若い時には考えずにできた動きができなくなっていたという経験はありませんか?

 この能力は実はバランスだけではなく、野球の素振りや走り方のフォームの見直しなども含まれます。鏡などで視覚的に情報を入れながら体勢を調整し、その動作を繰り返すことで正しい(新しい)フォーム身につけることができます。繰り返すことで、脳→体の繋がりを強くし、無意識にできるようになります。

 さてあなたはどの要素が不足していましたか?

 ストレッチは毎日やることをおすすめしますが、その他の要素は毎日やる必要はありません。1週間のスパンでバランスを見てみましょう!

【まとめ】
・運動にはおもに4つの要素がある。
・バランスの良い組み合わせが大切。
・柔軟は省かれやすいが、硬いからだが痛みの原因にもなる。
・有酸素運動は息が上がる程度になってこそ効果あり。
・筋トレは日常動作のためにも必要。
・バランスは、高齢者やケガをしたあとの人に注目してほしい。

 詳しくは、また回を追ってお話したいと思います。


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