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熱中症対策の本当の壁【DoctorTのスポーツエクササイズ医学】

こんにちは、DoctorTです。先日イタリアに行ってきました。6月なのにローマは35度になる日もあり、日本人ほど暑さに慣れていないイタリア人の友人はglobal warmingがひどいと言って憂いていました。

毎年のことですが、今年も熱中症のことを書きます。


年々早まる熱中症のシーズン

年々早まる熱中症の時期。最近は熱くなる時期が早くなるだけでなく、季節が急に変わっているような気がします。そのため、益々体が環境の変化に順応しづらくなっていると言えます。

予防が肝

前にもお伝えしましたが、熱中症は予防ができます。命に関わることもあるので、予防をもっと真剣に考えるべきだと思います。

わかっていてもできない決断

メディアでも報道され、皆さんの知識は確実に増えています。やるべきことはわかっていて、あとは実行するだけなのですが、どうやらそこが難しいようです。これが熱中症対策の本当の壁だと私は考えています。

ここからの話は、以前、救護に関わった中学生の屋外スポーツの県大会での経験です。しっかりとしたWBGTの測定器が用意され、運営の先生方が定期的に測定してました。私が今まで経験してきた大会の中では、きちんとした運営でした。

「中断・中止」が難しい

朝からの猛暑だったので、試合開始の時点で、セット数を減らし休憩を伸ばすまでの対応は自主的に決められていて、しっかりしていると感じました。しかし、終盤に更に暑さが悪化したときの、もう一歩踏み込んだ一旦中断という決断が相当難しかったようです。

現場のプレッシャー

気温も異常なほど高く、WBGTはもちろん危険域でしたので、救護医として試合の中断を指示しました。主催の先生は同意してくださいましたが、一部の学校の先生からは、「休めるチームとそうでないチームができるので不公平だ」という反対意見が出てきました。こういうストレスが現場にはあるのでしょう。

判断は個人ではなく団体の責任で

現場で判断をする人への強いプレッシャーが、判断を狂わせる一因と考えられます。あらかじめアクションプラン(〇〇になったら□□にする)を決めて、判断を現場の個人ではなく、団体のものとすることで、現場のプレッシャーを減らすのも一手かもしれません。

誰も悪くない。ひとが環境に合わせるしかない

いくつかの予防手段を打ってもそれ以上に環境が悪化することはあります。その変化に合わせて対策を強化していくのはまっとうなことだと思います。今起きている気候変動を直ちに止めることはできません。自分たちの健康を維持するためには、私たちが環境に合わせて行動するしかないのです。

スポーツは安全第一であるべき

私はどんなスポーツでも安全は最優先されるべきだと考えています。まして、中学生のスポーツは教育の一環として行われている訳で、それで健康を損なうというのは極力避けるべきことです。

スポーツ現場では本来、ひとりも熱中症を出したくありません。それでも、もし暑さによる不調者が出たら、それは他の選手にとっても過酷な環境だと考えられるので、その運動を中断もしくは中止を検討しましょう。

大人が正しく理解行動する

子供のスポーツは指導者や保護者を中心とする大人が安全を守らなければいけません。危険なほど暑くても運動したいと言う子供がいるとしたら、それは、大人が止める。暑熱下での運動を大人が誘導するというのはあってはならないことです。

危ないなと思ったら中止する、これが当たり前になるといいなと思っています。

他人事だと思わず、熱中症についてもう一度見直してみませんか。

以下は、以前に私のnoteで紹介した記事です。参考になれば幸いです。

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