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メンありっ!武士道シックスティーン

誉田哲也著
武士道シックスティーン 文藝春秋 2010

(この記事は、明日7月18日AM9時~下記読書会で紹介する本の一冊です。
お時間のある方は、視聴・試聴にいらしてくださいね。途中入退場もOKです。)

https://twitter.com/i/spaces/1kvJpooRANMGE

あえて言っちゃう。明日は、脱線もする予定です。主人公をいい感じで支える、ちょっとオトボケな脇役、いい味の固め役、私の好きな登場人物評についてコメントします。)

無骨で、爽快で、アツくてグッとくる。
ダントツ!今年出逢えてクリーンヒット。
こころ踊る一冊でした。

なぜってね。
著者の描く剣道の佇まい、静かで煮えたぎる闘志と意気込みと所作がスリリングだから。

剣道を通じて、「勝つ意義」にこだわる香織 VS 楽しく戦う早苗。

出だしから隙を与えず、読者に次々と技をかけてきます!

内面の葛藤、技、家族間の温度差、父親とのわだかまり。
えぇ。息をつかせないテンポで。

ただの青春小説ではない、大人たちも悩み抜いて「迷う」姿が克明に迫ってくる。

いち読者である自分も、いつの間にか登場人物を応援する1人になって、手に汗を握ってしまう。

いつの間にか道場に居て、大会で。応援して、手に汗握る。

剣道。それはある意味、夏は(胴着で)暑く冬寒いスポーツ。

夏は汗かいても防具で拭けないし、冬の寒げいこは、裸足。

(ちょっと個人の印象)
家族の一人が、剣道部の主将だった時期があり、応援に道場や大会に一時期通っていました。
団体戦では、先鋒から大将まで、戦いの役割がそれぞれにあるらしいです。
ムードメーカー的だったり、思い重圧と責任感を担いながら努める。
そんな瞬間を3年間ほど、間近で見ていました。

楽しく戦う早苗は、好きだからやる。ただそれだけで飛び込んでゆける。
相手を斬る、勝つためにやる香織は、ある時点でグラグラ「迷う」。

独りで、「自分に向き合う時間」はいくつになっても必要だと、私は思います。
自分はなぜ「剣道」をするのか。人によって「〇〇」に置き換えて考える。

好きだから? 心の糧になるから? ライバルを超えたいから? 認められたいから?誰に?

答えは作中にもあり。読む人のこころの中にも十人十色にあるのかな、と。

主人公たちに戻って。
香織と早苗は、互いに想いを馳せる時、なんか安心してるんですね。
試合に出るか、部活に来るか、どう生きるか。「あいつならきっと来る。」と。
なぜ安心するのかは、自分でも、よくわからないけども、と。

ライバルとして認めあう中で、「なくてはならない存在」に。
そこも、読み手の魂を揺さぶるんじゃないかな、と。

あいつと戦う、あいつが精進してるなら負けられない。が、いつしか。勝ち負けじゃなくて。
共に「剣道の道」を追究することの苦しさと楽しさ。切磋琢磨の醍醐味、個性のぶつかり合いによる「生きている証(あかし)」を刻むことに
なっていってると感じました。

続きはまた明日。

本著は続編があるらしい。「武士道セブンティーン」などなど。
ヤバいです。溜まっている(個人の)研究周辺を整理すべき月間なのに…。どうしよう。


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