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スポーツ観戦の「ハマり方」

スポーツは「ハマる」エンタメ

アイドルを応援するいわゆるオタク界隈ではしばしばオタクを「卒業する」という言葉が使われます。これは学校に通うようにさまざまなイベントに終始顔を出したり、グッズを購入することを止めるという行動変容以上に、心理的な変容が大きいと思います。

学校と同じように、一定期間自分のマインドシェアの多くを占めていたものから、ある時期を境にモードチェンジしてしまう。ある種「ハマる」期間とそれ以外にキッパリと別れてしまうのです。

卒業してしまったオタクは、「あの頃は熱中したなあ(けれど今はそんなテンションではないなあ・・)」と過去のことを懐かしく振り返ります。
時間と共に冷めてしまうことには少し寂しさもありますが、逆にそれだけ「ハマる」期間の熱量は高いと言えます。

映画やドラマにはなかなかこのような熱量は存在しませんが、スポーツにも同様の性質を感じることができます。コロナ禍でスポーツ観戦は大きな危機に立たされています。スポーツ観戦から離れてしまったファンたちが、コロナ禍が過ぎ去った時に、すっかり元通りに戻ることは難しいと思います。これは僕自身を含めスポーツファンの愛の強さを信用していないとかではなく、スポーツ観戦が、「ハマる」タイプのエンタメだと考えるからです。

では何が、スポーツ観戦において「ハマる」要素なのでしょうか。

今回はコロナ禍の後にスポーツ観戦がむしろコロナ禍以前より盛り上がってほしい、新しいファンにもどんどん広がってほしいという思いも込めて、簡単に観戦の「ハマる」要素を考えてみます。


その前に自己紹介を少しだけ。スポーツ観戦アプリ「スポカレ」を運営する株式会社スポカレの俣野と申します。会社では主にCSO/COOなどを務めています。最近はアプリ以外もHPやSNSなど、スポーツ関係のデジタルソリューション周りのお手伝いもしているのでぜひお気軽にご相談ください。
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突出した能力や高レベルな競争に「ハマる」

スポーツ観戦という文化の発祥が正確にいつ/どこなのかは議論の余地がありますが、古代オリンピックの時代から存在すると仮定すると、従来のスポーツの「ハマる」要素はこれではないかと思います。現在のコンテンツでいえば、オリンピックはもちろん、世界陸上や、特に海外スポーツなどに、極限の競技性を楽しむような要素が強いのではないでしょうか。
また、コアとなるファン層としては、サッカー部が欧州サッカーを見る、バスケ部がNBAを見ると言った具合に、それらの競技を行なっていた、習っていたことのある層が多いかもしれません。自らが経験したからこそ、アスリートの「突出度」がわかり、そのギャップの大きさが感動や「ハマる」ことに直結するとも言えそうです。その意味では競技をやったことのない人でも競技の凄さを実感し、「ギャップ」を感じる瞬間を創り出すことで、「ハマる」要因を作ることができそうです。

非日常の興奮に「ハマる」

むしろ競技ではなく、「観戦」というイベント自体の非日常感を楽しむという要素もあります。これは例えば休日に楽しむフェスやライブイベント、海や山に出かけるのと並列で考えることもできるかもしれません。競技場の雰囲気というのはやはり他のエンターテイメントにはない体験であり、全く競技や選手を知らなくても、満員のスタジアムやアリーナというのは、まるで巨大なうねりに呑まれるような、特別な興奮を得ることができます
また、昨今はテレビ観戦、スマホ観戦においても、放送や配信技術の発展によってそのような興奮を体感できるようになりつつあり、VR、AR技術によるこれらの体験の拡張も非常に期待できます。
スタジアムのVIP席や、スポーツバーでの放映、仕事中の「ながら見」によって、スタジアム観戦の非日常の要素を日常に入れ込むことで、ちょっとした刺激をつまみ食い的に取り入れることもできますね。

選手やチームのストーリーに「ハマる」

共感する能力の非常の高い日本人にとって、「ストーリー」は特別な意味を持ちます。それまでは何の関心もなかった競技にもかかわらず、「プロフェッショナル」などのテレビ番組で知った選手を応援するためによく観戦したり、ニュースで気にするようになったという経験は誰しもが持っているでしょう。
特に顕著なのは高校や大学年代のスポーツコンテンツです。箱根駅伝や甲子園、高校サッカー選手権などは世界でも稀に見る高いテレビ視聴率を記録しており、競技に詳しくない人でも積極的に観戦するコンテンツであると言えます。プロとは違い、視聴者の誰もが経験した学生時代であることが、観戦者がストーリーに共感し楽しめる大きな要因なのでしょう
もちろんプロスポーツにも非常に多くのストーリーがあり、例えば選手生命のかかるような大きな怪我からの復帰や、育成年代からのデビューなどのストーリーは、多くのファンが自らの人生のアナロジーとして大きな共感を持つことができます。

創り手として参加することに「ハマる」

エンタメを受け取る側ではなく、「エンタメを創る側に立てる」こともスポーツ観戦の大きな特徴であり面白さです。親戚や地元による応援などもこのような楽しみ方に近いかとかと思いますが、最近ではそれ以上の広がりを見せています。野球やサッカーチームの多くでは、「ファン、サポーターの背番号」を作っていることも多く、チームも積極的に創り手を増やす努力をしていることが伺えます。
創り手を増やすことはある意味ファンビジネスやエンゲージメント向上の基本的な方法であり、昨今ではファンを増やす手法として、スポーツだけでなくブランドマーケティングやオンラインサロンなどでもよく用いられています。
チームへの関わり方だけでなく、観戦の楽しみ方の一つとしても「創り手としての参加」は強く現れていて、例えばJリーグのゴール裏に構える応援団などは「応援で勝たせる」という意識が強くあります。コロナ禍(無観客)によるホーム勝率への影響などを見れば、実際に応援の存在が勝利を後押ししていることもあり、スポーツ観戦の非常に奥深い部分ですね。

最後に

これらだけを考えても、スポーツ観戦をしたことがない人も、他の競技には興味がない人も、自分に合った楽しみ方でスポーツ観戦を楽しむことができそうです。
今回はコラムを書くというミッションがあったので勝手に簡単に考えてみましたが、もちろん上記以外にも様々な楽しみ方、捉え方が存在します。
様々な楽しみ方をする様々な人がスタジアムやアリーナに集まって、動機はそれぞれあれど結果一つの大きなうねりとなることが、スポーツ観戦の醍醐味でもありますね。

また、どれも自分が生きるこの世界に、同時進行で起こっているからこそ大きな意味があるものであり、スポーツには「LIVE」がもっとも重要な要素であるということは、改めて述べるほどでもありませんね!

ではそろそろNBA観戦がオフィスで始まるので、この辺りで失礼します!

次回は野球、ハンドボール、フットサルと競技経験が広いスポーツ大好きエンジニアの鵜飼さんです!

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