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2018年 ベストアルバム TOP20

 うかうかしていたら年を越してしまいそうだ。28日に会社の忘年会が終わると気が抜けてしまい、この数日間、眠ってばかりいた。おかげで完全に昼夜逆転。実家にも帰らずにひとりでいると、どんどん自堕落になっていく……。というのが懺悔その1。懺悔その2は、星野源の『POP VIRUS』をまだ聴けていないのに、ベストアルバムをまとめてしまったこと! ごめんなさい!

今年私が聴き込んだアルバムたちはこれらだ。


No.20『REBROADCAST』/the pillows

 「再放送」の意を掲げたタイトルにふさわしく、過去曲のオマージュが盛り込まれた遊び心満載のアルバム。バンドを長く続けてきたからこそできる、「反則技(山中さわお談)」だ。2018年は劇場版でフリクリも復活し、ピロウズにはお世話になった1年間だった。


No.19『泣きたくなるほど嬉しい日々に』/クリープハイプ

 クリープハイプが「みんなのうた」に楽曲提供するようなバンドになるなんて。『泣きたくなるほど嬉しい日々に』、こんな祝祭感溢れるタイトルのアルバムが発売するなんて。前作『世界観』の時にも、なんとなく尾崎世界観が変わりはじめている片鱗が見えていたが、このアルバムで脱皮できたんじゃないだろうか。悪態をつき、汚い言葉で悪口を言うところは変わらなかったとしても、その上で、優しさも、愛しさも見せることができるバンドになったのだ。


No.18『GOLD』/Age Factory

 メジャーデビューしてから遠のいてしまっていたけれど、久しく聴かない間にさらにかっこよく骨太になっていて驚いた。まるで獣だ。轟音が鳴り、ソリッドで繊細な曲もあり、「オルタナティブかくあるべき」である。とても20代前半のものだとは思えない、清水エイスケのハスキーで泥臭い歌声はまるで楽器のようだ。


No.17『DISTANCE』/Attractions

 福岡に拠点を置くバンド。今年の9月にスピッツ・草野マサムネのラジオ番組で出会い、UKロック、ソウル、エレクトロな日本人離れしたサウンドにすっかりはまってしまった。すでにアジアシーンにも進出しているので、これからどんどん国際的なスターになっていくはず。


No.16『誕生』/チャットモンチー

 最後にこんな大傑作を爆誕させてバンドを完結させるなんて。チャットモンチーはいつまでも私たちをドキドキさせ、夢を見せてくれたバンドだった。最後の“恋の煙(同期ver.)with 小出祐介(Base Ball Bear)”は、双方のファンは涙なしには聴けない。


No.15『zoozoosea』/PEDRO [BiSH AYUNi D solo project]

 楽器を持たないパンクバンド・BiSHから、アユニ・Dのソロプロジェクトが発足。キュートで攻撃力が高く危なっかしいヴォーカルに、直球のロックサウンド。もうこれだけでも優勝なのだが、田渕ひさ子がギタリストとしてジョインしていることにシビれが止まらない。とんでもないプロジェクトだ。


No.14『ホームタウン』/ASIAN KUN-FU GENERATION

 アジカンは特別熱心なリスナーではないけれど、このアルバムは原点回帰といった感じでとてもよかった。あと、私は音楽は社会を写すものだと思っているから、ゴッチには音楽で、公の場で、どんどん社会のことを発言してほしいと思っている。


No.13『Still Life』/アナログフィッシュ

 前作をすっかり聴き漏らしている間に新譜が出ていた。しかもその前作から3年が空いているらしい。そんなバカな……。『Still Life』は来年20周年を迎えるバンドの成熟を香らせており、ジャズやソウル、R&B、ヒップホップなどを取り入れた、かなり大人な印象。このメロウさが生活感とマッチしていて、非常に沁みる1枚だ。


No.12『Future Pop』/Perfume

 Perfumeのメンバーが全員、20代を卒業する(あ〜ちゃんは来年だけど)。音像はより洗練され、かわいいから「うつくしい」へ、女の子から「女性へ」。大人っぽく仕上がっており、彼女たちの成長が見えてとても良い。あと関係ないけど、サブスクリプションに進出してくれてありがとう……。


No.11『クソカワPARTY』/大森靖子

 かつての「音楽は魔法か、魔法じゃないか」論争に(勝手に)疲れ果て、もうこの先聴くことはないんじゃないかと思っていたが、まんまと聴き、まんまと度肝を抜かれた。この人はいつでも、深い痛みと愛から、音楽をつくり、世界に「馴染めない」人間を救っているのだ。たしかに、彼女の音楽は魔法ではない。血肉の結晶なのだ。


No.10『GRRRLISM』/あっこゴリラ

 フィメールラッパー・あっこゴリラのメジャー1stアルバム。「GRRRLISM」と書いて「ガーリズム」と読む。世にはびこる「GIRLISM=女の子らしさ」、ひいては「男の子らしさ」に疑問符を投げつけ、固定概念をぶっ壊し、老若男女あらゆる人の「その人らしさ」を肯定してくれる魔法の言葉だ。2019年、GRRRLISMにとって飛躍の年になりますように。


No.9『yume』/Maison book girl

 アイドル版・People In The Box(と勝手に呼んでいる)。おとぎ話の中に潜む、不穏さや不気味さを凝縮した世界観、変拍子やポエトリーリーディングを取り入れた楽曲がなんともクセになる。21曲入りで、再生時間は1時間7分にも及ぶが、どっぷり浸かってしまえば気にならない。大作である。


No.8 『10』/高岩遼

 大きな感想はこちら。SANABAGUN.やTHE THROTTLEのヴォーカル・高岩遼のソロアルバム。色気と茶目っ気たっぷりで「高岩遼」そのものを象徴している。人間としての弱さも、あえてさらけ出すことによって次の境地を開いた彼は、きっと何倍も強くなっていると思う。


No.7 『美しい終末サイクル』/JYOCHO

 バンド名よろしく、様々な「情緒」が入り乱れている。うつくしく、気高く儚いものもあれば、轟音混じりで激情型のものもある。メンバーの「超絶技巧」と、バンドの首謀者・だいじろー(ex.宇宙コンビニ)による死生観など哲学溢れる詩的なリリックが唯一無二。


No.6『女優姉妹』/吉澤嘉代子

 声色、歌い方を曲によって自在に変化させる吉澤嘉代子。これまでも、幅広いフィクションを私たちに届けてくれていたが、『女優姉妹』で彼女は、様々な「女」の姿を、曲中のいくつものキャラクターを演じ、切り取っている。きっとたくさんの女子たちの拠りどころとなるだろう。


No.5『REI』/Rei

 ブルース、ファンク、オールドロック。Reiの根底にあるものはそのまま、バランスよくポップに昇華されている。「古いものの焼き直しではなく、その要素を引き継ぎながらも、自らの音楽を奏でたい」という彼女のスタンスの解像度がより上がった作品だと思う。


No.4『マテリアルクラブ』/マテリアルクラブ

 「素材を生かす最適なアウトプット方法が音楽だった」といったような趣きの1枚。なので、「音楽の実験」というよりはバンド名のまま「素材の実験」のように感じる。様々な実験を重ねた末にラストを飾る“Water”が、衒いのない素直な「いい曲」だったので、そこも大変ニクい。


No.3『AINOU』/中村佳穂

 音のひとつひとつが生きている。生演奏(フィジカル)と打ち込み(デジタル)が同居し、奔放さと緻密さが融合し、ソウルフルな歌声が乗っかっている、それが単純に耳に心地良い。だからただ、この心地よさに耳を傾けてほしい。バンドマンでも、シンガーソングライターでもなく、「音楽家」という肩書きがぴったりくる。


No.2『平成』/折坂悠太

 話すように歌っている様、独特の言い回しが多用されている歌詞は、音楽を聴いているというよりは演劇を観ているような感覚に近い。ジャズやブルースや民族音楽なんかを取り入れたアレンジも色とりどりで飽きない。アルバムを介して才能に触れている私がこれだけ胸を高鳴らせているのだから、折坂悠太の音楽に最初に出会った人はどれだけ興奮したことだろう。


No.1『More Music』/奇妙礼太郎

 いわずもがな、今年いちばん聴いたアルバムだった。詳細の感想はこちらに書き散らしているので、お時間のある時にぜひ。名盤とわかるものに触れると、心の芯が震え、そして踊るのだなと思った。


【まとめ】
No.1『More Music』/奇妙礼太郎
No.2『平成』/折坂悠太
No.3『AINOU』/中村佳穂
No.4『マテリアルクラブ』/マテリアルクラブ
No.5『REI』/Rei
No.6『女優姉妹』/吉澤嘉代子
No.7 『美しい終末サイクル』/JYOCHO
No.8 『10』/高岩遼
No.9『yume』/Maison book girl
No.10『GRRRLISM』/あっこゴリラ
No.11『クソカワPARTY』/大森靖子
No.12『Future Pop』/Perfume
No.13『Still Life』/アナログフィッシュ
No.14『ホームタウン』/ASIAN KUN-FU GENERATION
No.15『zoozoosea』/PEDRO [BiSH AYUNi D solo project]
No.16『誕生』/チャットモンチー
No.17『DISTANCE』/Attractions
No.18『GOLD』/Age Factory
No.19『泣きたくなるほど嬉しい日々に』/クリープハイプNo.20『REBROADCAST』/the pillows

 気づいていなかったけれど、上位のシンガーソングライター率の高さたるや。全体的に見渡しても、ソロアーティスト多し。「バンドが好き」と公言していたはずなのにな。あらためなければならない。

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