不安をひとつずつ消していく②
学生の頃は勢いだけで行動していましたが
社会人になってからはかなり慎重になったと思います。
それは高校生の頃のアルバイトで経験した失敗が大きく影響しています。
昔の企業は今に比べて、高校生のアルバイトに優しかったように思います。
仕事のやり方や段取りについて熱心に指導していただき、積極的に新しいことを教えて任せてくださり、しっかりと社会勉強をさせてもらいました。
まだ高校生だというのに、商品の梱包から発送までの工程を任せてもらっていました。
FAXで届いた注文書を見てその日の出荷数をチェックし
高校生同士で今日の段取りを相談し、梱包する商品を準備したり、パートさんに仕事を振ったり、作業の流れを説明したりと
なかなかアルバイトでは出来ない仕事をさせてもらっていました。
ある日、パートさんから商品に貼るシールが無くなったので事務所の倉庫から取ってきて欲しいと頼まれ、事務所の二階の倉庫へ取りに行ったのですが、事務所の人が電話対応で手が放せなかったので、確認をせず持ち出してしまいました。
その結果、250gの商品に500gのバーコードシールを間違って渡してしまい
後日、取り引き先からのクレームの電話で発覚しました。
営業の○○さんから話があるので一人でその部屋に行くようにと促され、恐る恐る入った部屋の奥の机には、この状態の営業部長。
取引先のスーパーからクレームの電話が入り、バーコードシールの貼り間違いが発覚し、これから謝罪に行くとのこと。
原因は作業を任せっきりにしていた会社側にあること。
それについての謝罪をされ、今回の件で会社に100万円の損失が出ることを聞かされた。
高校生にとっての100万円はとても重く、すぐには受け止められませんでした。
今までもらったアルバイト代を全て返金したって足りない金額です。
シールの確認を怠ったのは私の怠慢でそこには慣れている、任されているという奢りがありました。
事務員さんが対応している電話が終わるのを待つべきでしたがそれが面倒で、いつも大丈夫だから、今日も大丈夫だろうと確認しませんでした。
私の確認ミスで起きた100万円の損失。
もう放心状態でした。
その場できちんと謝罪ができたのかも覚えていません。
すみませんでは済みませんが。
1回では受け止められない現実を、後から何度も何度も反芻し、少しずつ反省し、自分にできることは何かを探した結果
この失敗を絶対に忘れないことと
これからの人生の教訓にすること。
高校生の私が出来る事はコレだけしか思いつきませんでした。
熱心に指導していただいた経験を決して無駄にしてはいけない。
絶対に同じ失敗を繰り返してはいけない。
それだけでした。
その後の会社はやり手営業マンの誠実な謝罪と営業努力により、経営が傾く事はなかったようです。良かった…
100万円の損失の中には謝罪用の手土産や交通費に接待費、やり手営業マンの残業代も含まれていたのかもしれない。
何ならちょっと多めに見積もったのかもしれないし、そうだったと思いたい。
私は高校生の時、アルバイトで
大きな精神的ダメージと引き換えに
どんな小さな事でも確認する勇気
を手に入れた。
『これで合ってますか?』
『どうしたら良いですか?』
確認する事で重大なミスを防げる可能性があるのだから、少しでも不安があるなら迷わず確認します。
わからないところは誰かに聞いて、ちゃんと確認して、不安をひとつずつ消していく。
自信を持って働けるように。
新しい仕事を覚える時は最初から上手く行かないし、失敗もするけれどそれは仕方ない。
次に同じ失敗を繰り返さないように最大限の努力する。
経験から学ぶしかない。
人は学ぶ為に生きているのだから。
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