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変えられない話

 僕は何かを変えるのも、新しく始めるのも苦手だ。

 幼稚園に行き始めた頃。通園したくなくて半年ちょっと不登校いや不登園だった。
 小学生の時、運動するのが嫌でクラブ活動に入らなかった。
 中学・高校の時、部活が決められず結局二年生の後半まで帰宅部だった。
 その他にも、家での宿題や受験勉強、バイト探し、就活、転職活動も全部したくなかった。

 新しいことを始めたくない。
 いつもと同じでいい。
 今の時間が永遠続けばいい。

 そんな思いに共感してくれる人はいるだろうか。

 少なくても自分の周りにはあまり居なかった。
 宿題や勉強は効率的にこなし、部活もバイトも就活もすぐに決める。そんな奴らばかりだった。

 変化を恐れない。
 それを僕は凄いことだと思うのだが、もしかしたら多くの人にとっては当然のことなのかもしれない。

 しかし、僕だって変化しないわけにも、何かを始めないわけにもいかない。
 部活も、受験勉強も、仕事も。どこかで逃げ切れず、動き出さなければいけないタイミングがくる。

 それでも僕は、必ず二の足を踏んで、後回しにして、言い訳を探して、ギリギリまで逃げ回る。
 僕はずっと逃げ癖と言い訳ばかりが上達した人間なのだ。

 そんな自分が昔からずっと自発的にしてきた事がある。
 それが文章を書くこと。

 中学生の時、文化祭の演劇の台本を書いたのが最初だったと思う。残念ながらそれは採用されなかったが、元々読書が好きだったのもありすぐ執筆にハマってしまった。

 新しい話を書いては友達や国語の先生に見せ、添削してもらい、また新しい話を書いた。

 高校生なるとpixivで小説を投稿できるようになり、すぐに二次小説もオリジナル小説も書き、何作も何作も毎日のようにアップした。

 社会人になってすぐの頃には、仕事で高校演劇に関わる機会があった。そこで受けた衝撃から演劇にのめり込み、いつしか舞台脚本を書くようになっていた。

 文化祭の劇からはじまり、オリジナル小説、二次創作、舞台脚本、コント脚本、最近ではエッセイも。手を変え品を変え、長らく文章を書いてきた。いったい総じて何文字書いたのだろうか。きっと、普通に生きている人よりは遥かに多いはずだ。

 しかし何故、何かを始めるのが苦手な自分が、こんなにも長い時間新しい話を書き出し、終わるとまた始める。そんなことができるのだろうか。

 楽しいだけでもない。今のところ金にもならない。なのに何故か。

 ここまで書いたはいいが、どうにも答えがでない。
 書いていれば何か理由が見付かるかと思い書き始めたが、そんなに単純な思考回路でもなかったようだ。
 そもそも「新しい話を書く」という事を変えたくないだけかもしれない。

 なので自分が書く理由を見つけるまでは続けようと思う。書き出して、終わらせ、また書き出す。
 何かを始めるのが苦手な自分が、また新しいページを作りキーボードを叩く。

 これを読んだ人にもあるだろうか。
 何故かずっと続けていること。そしてその理由。
 この長々と綴られた文章が、自分のことを考える時間になってくれたなら何よりだ。

 それはそうと、変化しなければいけなくなる前に売れたいな~。

#創作大賞2023 #エッセイ部門

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