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いままで150冊読んだ中で最も面白かった小説5冊【共通点を、考察する】

 山本清流でござる。


 今日から、山本清流は人形になったのだぞ。

 あらためて、よろしくお願いしますでござる。

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 拙者がいままで読んだ150冊の中で、すごく面白かった小説を5冊厳選して、紹介するでござる。


【150冊の中でとくに面白かった小説5冊】

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 以下のとおりでござる。順位はなく、著者の五十音順でござる。

①貴志祐介『悪の教典』                       ②佐藤究『Ank:a mirroring ape』                    ③貫井徳郎『乱反射』                        ④東野圭吾『白夜行』                        ⑤湊かなえ『告白』                         

 幾多もの修羅場をくぐりぬけてきた拙者でさえ、一度も体験したことのない壮大な世界が広がっていたでござる。

 どの小説にも、拙者は満足した。

 ひとつひとつ紹介していくでござる。


【貴志祐介『悪の教典』】

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 サイコパス教師が生徒たちを操り、最終的には殺していくサイコパスの小説である。

 ぬぬ。この恐ろしきサイコパス。拙者にも倒せぬかもしれぬ。

 拙者は武術一筋で生きてきたのであるが、このサイコパスはとにかく悪知恵が働くのだ。

 邪魔になったものは容赦なく殺していく。人情というものがない。拙者はこのサイコパス教師を成敗したい。

 ぬぬ。しかし、怖いぞ。ああ、怖い。こんなに恐ろしく、カッコいい、サイコパスがいたなぞ、認めたくない。

 拙者は、この恐ろしきサイコパスに出会ってから学んだのでござる。

 小説の世界には「正しい人ばかりがいるわけではない」ということだ。

 これは面白い。怖いが、面白い。拙者は、この小説によって、小説の世界に遊びにいくようになったのでござる。


【佐藤究『Ank:a mirroring ape』】

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 原因不明の理由によって京都で次々と人々が殺しあっていくSFパニック小説である。

 カギを握っていたのは、海外から日本のチンパンジー研究施設にやってきた一匹のチンパンジーだったのでござる。

 拙者は、己が勝つためだけに生きてきたところがあった。そんな拙者は本小説を読んで、ひどく反省した。

 勝つとか負けるとかそういう次元に興味を持っているのでは、もったいない。この小説が語っているのは「人類とはなにか。どういう生き物なのか」という壮大なテーマであったでござる。

 拙者は、圧倒された。敵が忍び寄るかもしれぬことをすっかり忘れ、無警戒に一気読みしてしまった。

 ラストでは、涙した。ただのSF小説ではないぞ。ぐっとくる人間ドラマが盛り込まれている。

 再読したときも、楽しく読むことができたでござる。

 拙者は、いま、人類の謎を解き明かした気分である。これほど壮大なテーマを、丁寧に、説得力を持って描けるとは。

 拙者は、とても驚いたのであった。


 【貫井徳郎『乱反射』】

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 小さな罪を犯した人々のせいでひとつの小さな命が失われる悲しい小説であった。

 構成がとても面白かったでござる。

 マイナスの番号から始まり、カウントダウンするように、ゼロへと近づいていく。ちょうどゼロで事件が発生し、その後、一般的な小説と同じように番号が上がっていって、主人公が事件の追求を始める。

 ふつうの小説なら、このマイナスのところは描かないはずではないか。

 しかし、『乱反射』には、事件以前の登場人物たちのそれぞれの日常が丁寧に描かれていた。

 それゆえ、事件が発生したときに、その事件の全体像が把握できたのでござる。

 その全体像を知っている拙者の身からすると、子どもを失った主人公の境遇が、どうにもいたたまれなくなった。

 拙者は号泣したでござる。これほど、涙し、しかも、胸が苦しくなった小説はない。

 武士が号泣するとは。面目ない。


 【東野圭吾『白夜行』】

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 美しい少女と暗い目をした少年の、いっこうに証拠が出てこない犯罪の記録であった。

 長大な読み物であったが、ぐいぐいと引っ張られながら読んでいくことになった。拙者は、すいぶんと短期間で読了した。

 悲しさと苦しさに満ちた世界を生きる二人の若者が、拙者には心苦しかった。彼らはすでに心が壊れてしまっていたのでござる。

 その二人から目を離すことができない。

 そもそも、これだけ長大な物語であるにもかからず、拙者は、いまだ主人公の二人のことがよくわからない。

 ミステリアスに影が見え隠れするのだが、その本性全体はよくわからないのでござる。

 主人公とは言いながら、ふたりの視点は登場しなかった。主人公二人と関わる周りの人たちの視点から二人の姿を描いていた。

 だからこそ、苦しみが滲み出てくるかのごとく、心に突き刺さった。しかし、本性はどんなものか、それを曝け出してはくれなかったのでござる。

 気になる。しかし、怖いから、読みたくない。この世にこんな苦しみがあるなぞ、認めたくもない。しかし、気になってしまう。

 そんな小説であった。


 【湊かなえ『告白』】

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 拙者が紹介するまでもないかもしれぬ。教師の娘がクラスの生徒に殺され、教師がその復讐をする物語であった。

 なぬ、この世界は。

 拙者には理解できぬような世界であった。が、どの登場人物も、どこかおかしいのに、日本のどこかにいそうであったのでござる。

 いや、もしかしたら、自分自身も、そうかもしれない。

 登場人物と同じ状況になったら、同じように行動してしまうかもしれない。拙者は、武士にもかかわらず、そんな考えに及んだ。

 遠くにあるようで、身近な世界だったのでござる。

 だからこそ、先が気になった。なんだか、隣の家の家庭事情を事細かに覗いている感じだったのでござる。

 ご紹介した5冊の中では最も短い小説だが、そのインパクトは相当に大きい。

 ずいぶん前に読んだが、登場人物ひとりひとりがいまでも拙者の頭の中にいる。

 ときどき、再読したくなる小説であった。


 【面白い小説の共通点とは】

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 拙者が思うに、この5冊に共通するのは、「斬新な人間の切り取り方」ではないか。


【人間がいちばん興味を持っているのは人間】

 あの人、どんな人なんだろう。と気になるのは当然でござる。

 紹介した5冊はどれも、「あの人、どんな人なんだろう」という疑問に、斬新な答えを提供していたのではないか。


 『悪の教典』は、「サイコパスでクールな教師がいますよ」と答えた。

 『Ank:a mirroring ape』は、「人類って、こういうもの」と答えた。

 『乱反射』は、「人間って、小さい罪を犯すものですよ」と答えた。

 『白夜行』は、「人間って、心が壊れてしまうものですよ」と答えた。

 『告白』は、「事件は起こすのは、ふつうの人間ですよ」と答えた。


  人間を新たな観点から切り取って描いたところに、それぞれの面白さがあるのかもしれぬ。


 【いざ、読書の旅へ】

 今回はこれくらいで終わりとするでござる。

 拙者は、読書にハマったでござる。


 これからも、いろいろな本に触れて、面白い物語を見つけていきたい。


 読書の旅へ。いざ、出陣。

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