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アジャイル風イテレーション執筆

ソフト技術者的執筆フロー

 今回は「ソフト開発失敗本」執筆のフローについてです。何といっても今ソフトウェア開発はアジャイルです!アジャイル的なプロセスを選ばない理由はありません。不用意にウォーターフォールでやりますなんて言ったとたん、新進気鋭の技術者から、古の風習に固執する老いたシャーマンを見るような目を向けられます。
 あーいや、プロジェクトの性質によってはウォーターフォールも悪くはないのですよ?

アジャイル風にチャレンジ

 事実、出版社さんから提示されたマイルストーンはウォーターフォール的なのです。6月に出版!と決まったら、自動的に脱稿がいつで、初稿がいつあがって、再校校正をいつまでに済まさなくてはならないということが決まります。それはそうです。このマイルストーンに合わせていくことが最も大事です。

 ただ今回非常にありがたいことに、ご担当いただいた編集さん(ここでは仮にO嶋さんとしましょう←高橋留美子先生風)から、執筆中も随時アイデアや文章に意見を出すことご了承をいただけました。早めに内容について気がかりな点を指摘いただき、二人三脚で執筆を進めることが出来そうです。

 ということはあれだ!O嶋さんに「顧客」のロールを持ってもらえば、アジャイル風「随時最速で軌道修正」な執筆が可能になるのじゃないかしら?これんらイケル!アジャイル風イテレーション執筆いけるー!と思ってイメージしたのが次の図です。

マイルストーンと執筆サイクル

 各マイルストールにはそれぞれのクライテリアに合致した納品を行うことはマスト。それまではO嶋さん相手に「見てみて攻撃」を仕掛け、随時軌道修正を行うというものです。

 Sprintの期間は2週間とおいて、O嶋さんレビューは基本各Sprint終了時にみてもらう形にしました。また後半のマイルストーンはSprintの区切りと合わないのですが、マイルストーンに合わせて各Sprintの途中にリリースタスクを置いて対応しました。(2週間のタイムボックスを崩さない)

執筆サイクル

 Sprintはこの図のように、前Sprintの振り返りからスタート。それを踏まえてこの2週間に実施する課題(書くべきエピソード)を選び、どの順でいくつ実施できそうか計画します。その計画をもとに日々課題をこなします。書けたエピソードは、書けた者から妻にレビューしてもらいます。読みにくい所や誤字脱字、なんか面白くない点など指摘を受けたところを修正します。妻レビューを受けて修正したものをO嶋さんにお渡しして、このSprintは完了となります。

 レビュアーさんの都合もありますから、必ずしも理想通りには進んでいないのですが、大体このイメージを崩さずにできたかなと思います。

見積りとスケジュール調整

 1回Sprintを回すとどのくらいの量の執筆が出来そうかが分かりますので、それによって全体のスケジュールをO嶋さんと相談をします。

 具体的には、1エピソード書くのに5ストーリーポイント、4コマ漫画描くのに3ストーリーポイント、1Sprintで40ストーリーポイント執筆活動出来ると仮置きして進めました。だいたい2週間で5エピソード分処理できるというイメージです。実績としてもほぼこの想定通りに進んだと思います。

 事実、自分の長いソフトウェア開発人生の中では一度もなしえなかった「1か月前倒しリリース」が出来ました!これはフィードバックを受けつつ、早め早めに手を打つことが出来たということが大きいです。すごい!すごいよアジャイル風!

ウォーターフォールとアジャイルのハイブリッド

 注意点があります。実はこの執筆作業に入る前に5か月の企画検討期間がありました。何をどのボリュームで作り上げるのかは綿密に事前検討しています。誰がターゲットで、どんなことを訴求するのか。この本の売りはなにか?この本の価値を明確にしたうえで、読者に刺さるエピソードタイトルを何度も見直し、練り上げてから執筆にとりかかっています。この企画検討をおざなりにしていたら、前倒しリリースなどできなかったでしょう。

 そういう意味では、プロジェクト全体としてはウォーターフォールで進め、執筆に関してはアジャイル風なイテレーション執筆を行ったと言えます。

 実績値についてはまた「ふりかえり」についてnoteで公開しようと思っております。

次回はJIRAとGitHubの連携について

 次回はこのアジャイル風イテレーション執筆プロセスを回すため、JIRAとGitHubをどう使ったか記載したいと思います。


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