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ぼちぼちブックレビュー

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2020年7月の記事一覧

SF創作講座の最終実作を読んでみたので、勝手にオススメするよ、という回

SF創作講座の最終実作を読んでみたので、勝手にオススメするよ、という回

今まさに本邦では「SFの企画を出したらボツにされそるほど唖然とする日常」の状況なのですが。大森望さんがゲンロンで行っている「SF創作講座」の最終実作も、そんな世の中を反映している作品が多かったです。

https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/subjects/11/

この中から最優秀作は「ゲンロンSF大賞」として選出されます。いわゆるSF読みとして、賞

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そのノンフィクション、誰のため?/『女帝 小池百合子』

そのノンフィクション、誰のため?/『女帝 小池百合子』

これまで緻密な取材を積み上げて対象に肉薄してきた筆者だが、本書はあまりにも掴みどころがなく、茫洋とした読後感が残る。それはSNSのタイムラインを長時間見ていた時に似ている。小池氏の虚無性を理由にあげる声を聞いたこともあるが、そうではない。対象への「違和感」を具体的に言語化せず、「虚無」の正体を掘り下げていないのだ。筆者も気づかぬところで、社会の歪みを曝け出す作品なのだ。

ノンフィクションは、時に

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セーラー戦士を閉じ込める「わたしたち」/『with』8月号

セーラー戦士を閉じ込める「わたしたち」/『with』8月号

講談社の女性誌『with』8月号に反応する人は多いでしょう。『美少女戦士セーラームーン』の原画を使った表紙のほか、作品とコラボしたコンテンツも掲載。注目の綴じ込み付録は、セーラームーン仕様の婚姻届です。この企画に意を唱える前に、読んでほしいレビューです。

ちなみに、『with』は主に20代女性を読者層とする情報誌で、タグラインは「恋も仕事も わたしらしく」という現実志向。カルチャー誌のような作品

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