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curry menu archive 5 秋田かすべのトムヤムビンダルー

5皿目は秋田かすべのトムヤムビンダルーです。

なんだそれは。という感じですね。
秋田のインド系タイ人のレストランにTVの取材が入ることになって、気合が入りすぎて変なメニューになっちゃった、みたいな空気が漂っています。
はたしてこれはカレーなのでしょうか。

ただこれも奇を衒ってやったという訳ではなく、そこに辿り着く必然がありますのでご紹介させていただきます。


ヨシフジは元々旅行が好きで、若い頃には頻繁に海外旅行に出かけていました。
それはラグジュアリーとは真逆の方向性の旅路だったようです。

スパイスカレーizonと古着屋izonを始める際のビジョンのひとつとして、旅行先で食材や古着を仕入れて、ヨシフジの旅の情緒をカレーや服のラインナップに反映させていけば、自分にしかできないことができるのではないか、という考えがありました。

オープンした頃はコロナ禍真っ只中でしたし、カレーと古着の両輪を動かすだけで精一杯ということで、のんびり旅をする暇はなかった訳ですが、たまたま秋田を訪れることがあって、秋田の食材をいくつか買ってきたのが秋田かすべのトムヤムビンダルーを作ったきっかけのようです。

「さて、昨日かすべを一日中水に浸けて戻して、レモングラスやバイマックルーとスパイスでマリネし、やっとこさ明日カレーになります。」
と、当時のインスタに書いてありました。

かすべとはエイのことです。今回使ったのはエイの乾物でした。

レモングラスとバイマックルー(こぶみかんの葉)といえばタイ料理では定番のスパイスです。
トムは煮る・ゆでる、ヤムは混ぜる、ということなので、上の写真はエイをヤムっている状態だと思われます。

さて、秋田かすべトムヤムビンダルーのうち、秋田かすべトムヤム、まで我々は理解できました。

秋田産エイを混ぜて煮るということです。
残りはビンダルーの理解ですので先を急ぎましょう。
Wikiを引きます。


ヴィンダルー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ヴィンダルーVindaloo)はインド各地で親しまれているゴア発祥のカレー料理である。ムンバイでもご当地のヴィンダルーがムンバイ料理としてカテゴライズされる[1]。ヴィンダルホ(vindalho)、ヴィンダーロ(vindallo)などと表現されることもある。

歴史[編集]

ヴィンダルーの名前は、ポルトガルワインニンニクを使用した豚肉料理「カルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョス」(carne de vinha d'alhos)に由来する[2]。このポルトガル料理にジャガイモが加えられるようになるとポルトガル語でニンニクを意味する「alho」がヒンディー語でジャガイモをあらわす「aloo」に転訛したものと考えられている。

ゴアにおいてカルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョスの豚肉は、よりインド人になじみのある鳥肉、あるいはラム肉に置き換えられ、赤ワインの代わりにヤシ酢が用いられ、前述のジャガイモ、そして唐辛子(red Kashmiri chillies)やその他香辛料が加えられることによりヴィンダルーへと発展した[2]


ポルトガル食文化のヒンディー解釈がビンダルーといえそうです。
カルネ・デ・ヴィーニャ・ダリョス・アルー⇒ビンダルーということのようです。
おそらくヨシフジは過去にゴアを訪れているでしょうし、自分なりのビンダルーというものがあるのかもしれません。
鍋の写真からも唐辛子を使っていることが伺い知れます。

上の小皿に入っているカレーは不明ですが、その左わきに添えられているのは、いぶりがっこのライタです。
いぶりがっことはたくあんの燻製で秋田の名産品です。
酒飲みには知られている食材ですが、これをヨーグルトと合わせてスマッシュヒットの味に仕上がったようです。

秋田かすべのトムヤムビンダルーとは『秋田産エイを混ぜて煮るゴア風カレー』でした。
ビンダルーのように、カレーには他国の食文化を吸収し、独自の文化へと発展させる魔力があるようです。

タイとインドの調理法を脈絡なく採用していますので、思想的な深堀はまだなされていない状態だったと思いますが、非常にアグレッシブなチャレンジであることは間違いありません。

そのチャレンジの足跡をそのまま名前に残すという意味も込めて、秋田かすべのトムヤムビンダルーと命名したのでしょう。

世界一周カレーの中では、日本カレー(秋田)に位置するカレーだと思われます。
当時はまだそういう概念はなく、旅行先でゲットした食材カレー、という感じでの提供だったようです。
ヨシフジはレシピをあまり覚えていないようですが、これはその筆頭かもしれません。味の感想は生きる化石です。

秋田かすべのトムヤムビンダルーを食べた記憶のある方からのコメント、ご連絡をお待ちしております。
リアルな感想が発掘できれば随時追記予定です。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。
つづく。

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