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09.ジンジャーチャイ~改良③簡単に生姜の辛さを引き出せるか~

こんにちは、旅するスパイスラバーちゃいまいです。
今回は、ジンジャーチャイの改良、最後の回です。

前回の研究の振り返り

前回、「ただひたすら生姜を5時間煮続け、できた抽出液でチャイを淹れる」ということにより辛口チャイを作ることに成功しました。

しかし、それでは手間がかかりすぎて、「無理せず年中作れる」という最初に自分が決めた条件が守れていないことに気が付きました。
そこで今回は、手順を簡略化することができるのか試してみようと思います。

解決方法としては下記を考えました。

解決方法候補

①もう少し手間のかからない、一般的に良く作られている「ジンジャーシロップ」を作ってチャイに加える
②5時間かかる抽出液をある程度まとめて作り、それを保存して利用する
③加熱・脱水で生姜の辛さを引き出せるということから、加熱・脱水してから挽いた生姜パウダーを利用して辛くしてみる

①で気になったのは「ジンジャーシロップを使っても辛口ジンジャーチャイになるか」ということ
②で気になったのは、「抽出液は時間がたっても辛いままか」ということ(保存性は確認困難のため今回は触れない)
③に関しては、スライスした生姜を一度蒸し、干したものをパウダーにして利用した

前回は5時間生姜を煮て、生姜の辛み成分「ジンゲロール」をより辛い成分である「ショウガオール」に変化させることで生姜の辛さを引き出しました。
しかし、そもそも人間がショウガオールの辛さを感じ取れる閾値や、その変化を感じられる最大値については考えられていませんでした。
「ジンゲロール:ショウガオール」が「5:95」の時点で人が感じる辛さと、その比が「50:50」に変化したときに感じる辛さは大きく異なるのでしょうか。
もしそこが僅かの差なのであれば、無理して5時間煮ずとも、より手間のかからないジンジャーシロップやジンジャーパウダーを使用しても辛口ジンジャーチャイとしての完成度は高いのではないでしょうか。
というわけで、まずは材料(ジンジャーシロップとジンジャーパウダー)を作り、その後3つの方法で作ったチャイを飲み比べてみましょう。

ジンジャーシロップ(簡単版)の作り方

チャイを作る前に、まずジンジャーシロップを作ります。
いつもは他のスパイスを加えて作りますが、今回は比較の変数を増やさないためにシンプルに作ります。

①生姜を洗って繊維に沿って薄切りにする

スライス生姜


②生姜と同量の砂糖を上からまぶす

生姜砂糖がけ

③30分以上置くと水分が出てくるのでそのまま鍋にいれて煮込む

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完成!

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▼より詳細な作り方はこちらから

ジンジャーパウダーの作り方

1.洗った生姜を繊維に沿って薄切りにし、重ならないように並べて蒸し器で30分蒸す
2.キッチンペーパーなどで表面の水分を取る
3.干しかごや網などに重ならないように並べ、乾かす
4.完全に乾いたら、すり鉢やミルでパウダーにする

チャイの飲み比べ

材料は揃いました。
チャイを作り、飲み比べをします。

①手軽な作り方で作ったジンジャーシロップを使ったチャイ
VS
②5時間かけて抽出した生姜エキスで茶葉を煮出して作ったチャイ
VS
③生姜パウダーを使ったチャイ

まず比較のため、同量の砂糖をコップに入れて用意しておきます。
(厳密にはシロップと砂糖に含まれる砂糖の量は違いますが、ここでは分かりやすく合わせておきます)

①(左):ジンジャーシロップ 大匙1/2
②(真ん中):砂糖 大匙1/2
③(右):砂糖 大匙1/2 + 生姜パウダー 小さじ1/2
①と③には、プレーンチャイを作ってコップに注ぎます。
②は5時間かけて抽出した生姜エキスを使ってチャイを作ります。
この時、②はあまり牛乳を入れてから煮出しすぎないように注意して作ります。
せっかく5時間かけて生成したショウガオールが壊れてしまうことを防ぐためです。(これについては前出の記事に詳細を記載しています。)

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①(左):手軽な作り方で作ったジンジャーシロップを使ったチャイ
②(真ん中):5時間かけて抽出した生姜エキスで茶葉を煮出して作ったチャイ
③(左):生姜パウダーを使ったチャイ

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見た目はほぼ変わりませんね。

飲んだ感想

①(左):手軽な作り方で作ったジンジャーシロップを使ったチャイ
は、作り方や個人の好みにもよると思うのですが、②と比較すると満足のいく辛さを出すことができませんでした。
いったいどのくらい辛ければ自分は満足するのか数値が分からないため、叶えば辛さの単位であるスコヴィル値を測定する機械で測ってみたいです。
②(真ん中):5時間かけて抽出した生姜エキスで茶葉を煮出して作ったチャイ
は、エキスを作ってから1日以上たった後につくったチャイも十分に辛くなりました。美味しい。
しかし、弱火でじっくり煮出さなければいけないので改めて手間がかかってしまいました。これではやはり年中無理せず作ることはできません。
③(左):生姜パウダーを使ったチャイ
は、確かに辛くなりましたが、同時に苦み?えぐみ?のようなものも強く感じました。乾燥する過程で別の成分も生成してしまうのでしょうか。
美味しくないので、論外です。

実験の振り返り

ここまで、複数回にわたってジンジャーチャイの改良を行いました。
生姜を知り、何度も失敗を繰り返しながら理想の味を追求してきました。
しかし、結果的に「生姜の辛さをより生かした辛口チャイ」を、「無理せず年中作れる」という条件付きで作ることには失敗してしまいました。
手間をかければ美味しくなる、というのは大抵はそうかもしれません。
しかし、すべてのものにそう手間をかけることはできない。
味に妥協せず、でも効率化することも考えなければいけない。
料理は深く、難しいということを改めて思い知らされました。
もっと別の方法で、うまく作る方法が思いついたらまた改良に挑戦しようと思います。

今回の研究は失敗に終わってしまいました。
しかし、たくさんの学びがありましたし、生姜に詳しくなれただけでも良かったと感じています。
この研究を通じて生姜を好きになりすぎて、庭で育て始めました。(4~5月は生姜を植えるのにいい時期らしいですよ)

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今回は、「生姜の辛さをより生かした辛口チャイ」というテーマでしたが、ただの辛口チャイを作るのであれば唐辛子や、胡椒に頼ることもできますね。機会があればそれで辛口のチャイづくりをしようと思います。
分かったことは、生姜単体で大辛口のチャイをつくるためにはかなり手間がかかる、ということです。

あとがき

いかがでしたか。
以上でジンジャーチャイの改良は終了です。
また別のスパイス、チャイについても引き続き研究していきます。
今後もお楽しみに。

皆様のチャイライフが少しでも豊かになりますように。
それではまた。




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