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店舗開発というお仕事

店舗開発はどのような仕事ですか、不動産屋さんの物件紹介と同じですか?
このような質問を良く受けます。
店舗開発とは、主にチェーンストア本部で自社の店舗出店を担当する職務のことです。しかし明確な店舗開発職の定義は無く、業務内容は企業によって様々な違いがあります。


1:店舗開発の定義(弊社:スパイカ(株))

店舗開発の業務枠組みは大きく2つあります。     
私自身は会社員時代一貫型の店舗開発職に3社で従事し、独立した現在も一貫型店舗開発者として業務受託、遂行をしているため、弊社では、店舗開発を以下のように定義しています。

店舗開発者は、長期にわたり店舗運営をして行く店舗事業者(若しくは自社)に対し、開店時点で最適な店舗出店業務を担い、出店環境とコスト管理を担う業務遂行者。

今回は、店舗開発の大まかな仕事の枠組みとキャリア構築(どんな人が店舗開発者としてキャリア構築をしていくのか)についてご紹介します。

2:店舗開発の業務枠組み

店舗開発の業務内容の枠組みは企業によって、大きく①役割分担型と②一貫型の2つの店舗開発に分かれることが多いようです。

2-1:役割分担型店舗開発

店舗開発が物件開発(物件探し・契約まで)市場調査を行い、物件契約
後の店づくりを建設部が担当する役割分担型。

役割分担型店舗開発は物件開発の要素が強く、大手コンビニやスーパー、一部上場のチェーンストアなど店舗開発部に多いパターンです。
役割分担型のメリットとして、社内の出店基準さえあれば比較的業務を遂行し易く、建設部に建築・内装の専門知識を持つ担当者を配置すれば業務が回ります。
大手コンビニやスーパーに多い店舗開発部のため、首都圏・東海圏・関西圏などエリアに支社があり店舗展開をしています。そのため、店舗開発担当者も転勤が多いようです。
配置換え・転職
横断的な店舗出店の知識が求められない為、社内の配属転換や不動産業界からの転職などから、店舗開発職につくケースが多くあります。

エリア毎に店舗開発部門と建設部門がセットになって店舗づくりを行うため、物件契約を店舗開発が行って以降は、ビル側設備部門との打合せ等は、建設部門が行い店作りをします。

2-2:一貫型店舗開発

店舗開発が物件開発・市場調査・設計監修・内装監修(CM:コンストラクションョン・マネジメント)を行い、内装工事入札含めた店舗投資の予算管理までを行う一貫型。

一貫型はベンチャー企業の店舗開発職や飲食店のチェーンストアに多いパターンです。この場合、店舗開発担当者には店舗出店に関する横断的知識が必要になります。地方の物件であっても物件調査を単独で行えるため出店のジャッジが比較的早くできます。
なぜ、ベンチャー企業の店舗開発に多いのか?
大手コンビニなどと違い、ベンチャー企業は企業規模が小さいため、国内のエリア毎に支社を持ちません。そのため、東京などの拠点地域で一括管理をしているため、店舗開発担当者が1人で地方物件を確認に行き、商圏やビルの設備チェックを行うことが多いためです。

出店にかかわる情報と予算を一元管理できるメリットがある一方、出店コストの大半を占める内装工事の管理能力(CM:コンストラクション・マネジメント)が必要です。特に一般路面店出店コストの数倍のコストが掛かるデベロッパー出店では、工事区分の管理と業務把握に伴う予算管理が特に重要となります。

転職・人材育成
これまで、店舗開発者の集まりなどに参加したことがありますが、新卒を育成して店舗開発人材を育てた事例を耳にしたことがありません。これは、必要とされる知識の中で
店舗開発知識は書籍も多く出版されており比較的学び易いことに比べて、内装工事は基礎知識が無いと書籍を読んでも理解が難しく、知見を企業内で教えることが難しいためと思われます。
上記のような理由から人材を外部に求めることが多いです。
求人広告に「大手内装会社出身の方歓迎」など内装の知見を持つ人材の募集や、同様の業務内容を担っていた店舗開発職の転職人材を募集する流れになります。
 求人広告に大手内装会社出身の方歓迎、と記載があるのは大手内装会社の営業職(設計・制作からの転職組は少ない)は日常的に企業の店舗開発担当と業務打ち合わせ(営業・受注内装費金額の交渉)を行っているため、以下のスキルがあるためと考えられます。
①    店舗開発職の仕事内容を理解している 
②    クライアント様の全国的な出店支援をしているため、地方都市の状況(市場)を理解している。
③    大手デベロッパーと仕事をしているため、商業施設出店に伴う工事区分や費用の知識を保有している。

上記の様な理由から、横断的知識が求められる一貫型店舗開発者は、不動産業界や他の業界からの転職が厳しい側面があります。

2-3:【事例】内装業から店舗開発職への転職

筆者の場合:一貫型店舗開発職への転職 の流れを参考までに記載します。
 私は、社会人生活を年商100億円程度の内装会社の営業職からスタートしました。
営業として、大手企業グループ様(電鉄・不動産・百貨店・スーパー)や飲食・アパレル等の大手チェーンストア様の営業を担当しました。
業務の中で、店舗開発のご担当者様と色いろお話する機会もあり、企業様毎に違う店舗開発職の業務内容を学び、日本各地の出店先に企業の店舗開発担当者様と一緒に出向き現地で打合わせを重ねる中で大阪・名古屋・博多など地方都市の商圏を学びました。
 また、担当企業の店舗開発者様は前職が大手内装会社の営業職であった方も多く共通の話題もあり親しみ易かったため、自身のキャリアの上で店舗開発職は転職後キャリアの候補のひとつにあり、『自分が店舗開発を遣るなら、どんなタイプの店舗開発が理想だろうか』と度々考えました。キャリア構築のローモデルが身近にあった、とのです。

上記のような理由から、転職の際に『内装会社出身の方歓迎』という美容(エステ)会社の店舗開発募集記事を見つけ、転職することになりました。
 美容の会社では、出店先商圏人口30万人程度を目安としており、出店はスクラップアンドビルドを含めて年間10店舗ほど(定期的に来店するお客様のためには休店して改装が出来ず、近所に新店を作り引越しした)のため、店舗開発と既存店の管理業務を兼任しながら業務に従事していました。

その後、外食チェーンストア・小売チェーンストアの2社を経て独立することになります。

3つのチェーンストアで学んだこと詳細をお知りになりた方は以下のnoteで
①3つのチェーンストアで学んだこと美容編:https://note.com/spica_inc/n/nfb92d3a85c1b
②3つのチェーンストアで学んだこと外食編:https://note.com/spica_inc/n/nf62a1c861a70
③3つのチェーンストアで学んだこと小売編:
https://note.com/spica_inc/n/n1b28661386ef

3:店舗開発は女性の可能性を開く職業!

業界を俯瞰してみると、店舗開発職は男性優位な業界です。
女性の店舗開発担当者も少しづつ増えましたが、未だ男性の業界という側面があります。理由は、役割分担型では転勤があること。また不動産業界自体が男性社会であること。一貫型では、全国的な出店に対応するため、出張/転勤が多いこと、建築・内装の現場に出向き内装会社との交渉・管理を行う必要があること、などがあげられます。

私が内装会社の営業職から未経験の店舗開発職に転職できたのは、店作りに必要な内装工事の基礎知識を持っていたことに加え、1社目が美容(エステ)を運営企業のため、全てのお客様が女性であり営業中にトラブルが発生すると、裸で施術を受けられている店内に入れる女性の店舗開発者を求めていたことで上手く嵌ったことが理由です。

一方で、一貫型の店舗開発者に求められる、出店プロジェクトの管理力(PM)やコンストラクションマネジメント力(CM)は、創造力(先を見通す力)が求められるため、想像力豊かで管理能力の高い女性に向いている業務だと思います。
ワーキングマザーたちの仕事と育児をこなす能力は、多種多様なタスクを管理する女性の能力の高さを示しています。

個人的には、建築やインテリアデザインを学んできたけど、もっと大きなプロジェクトの管理をしたいと考える女性の進出を望むところです。弊社も業務量を増やして人材育成を行いたい、ところです。

今回はここまで、次回は店舗開発の詳細なお仕事内容についてご紹介します。

 店舗開発の業務内容について、代表田上が3つのチェーンストアで会社員をしていた経験から現在の業務詳細までマガジンに纏めてあります。

本文の著作権はスパイカ(株)にあり、転載、複製、改変は禁止です。


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