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畑ノートをつけよう


<観察の極意と感性> 畑ノートをつけよう

畑の初心者なら、必ずやってほしいこと。

連続講座が始まると必ず伝えることがある。それは「月一の講座よりも毎日の観察」だ。そして「その観察結果を畑ノートにぜひ記しておいてほしい」と。

自然農でもパーマカルチャーでも観察の重要性を説かない人はいない。パーマカルチャーデザインとは「観察から始まり、自然のパターンを読み解き、デザインに生かし、そして観察に戻る」相互作用であり、ビルモリソンが「最低でも10年以上観察する必要がある」と言う。
それだけ、観察は大事であり、基本であり、おそらく一生涯続けるものなのだだろう。

できるだけ毎日、畑に足を運んでほしい。もちろん、行けない日もあるだろうから、そういうときは普段の通学や散歩コースに自然が溢れているところを取り入れよう。足元の道草からも学ぶことは多い。あなたの身体だって自然の一部だ。それもまた観察しがいのある対象だろう。

同じように何か作業をするわけでもなく、畑やその周辺を歩いてほしい。あなたが持っている感性を研ぎ澄ますために。都会で身につけてしまった色眼鏡を外すには、五感をフル活動させるのがオススメだ。

もし、子供がいるなら一緒に散歩するのも良いだろう。スマホはカメラとして使おう。通知はもちろんオフにして。あなたや子供が気になったものに、好奇心を持って関わってみよう。写真を撮ったり、家に帰ったら調べることもしてみよう。

観察のポイントは調査しないこと。観察と調査の違いはずばり「目的」だ。調査の目的は「人間にとって都合が良いかどうか」が関わってくる。または「人間が利用することを前提」に置いてある。
そこから生まれる評価や判断はときに必要だが、自然との対話にはむしろ邪魔になることが多い。調査では害草はいつまでも害草だし、害虫はいつまでも害虫のままだ。

それに比べて観察は「ただ気づく」ことが目的。特に変化や差異に気づくことが大切。1時間経てば、太陽の位置が変わり、日陰が変わり、生きものたちが動く。1日経てば、天気が変わり、植物は成長し、天体の位置が変わる。その律動はスマホの中には決してない。

この世界にあるものは常に変化している。つまり諸侯無常。小さな変化に気がつくことは、臨機応変に対処する農家にとって必要不可欠なこと。

そのために五感をフル活用する。決して見ることだけではない。風の感触だって変わっていく。香りや温もりも変わっていく。聴こえるものも、味わえるものも。少しずつ変わっている。畑周辺はいつだって宇宙と同じく諸侯無常に万物流転だ。難しく考える必要はない。あなたの心が動くものを追いかけていけば良い。
それを私は観察心と呼ぶ。

そんな観察心の中心軸はあなたの好奇心だ。レイチェル・カーソンが「センスオブワンダー」と名付けたものだ。評価や判断を下すことなく、ありのままの姿を好奇心を持って観察する。

同じ時はもう二度とやってこない。毎瞬毎瞬が新しい瞬間で、毎日毎日が新しい日であること。そんな当たり前のことに私たちは頭では理解しているくせに、身体では理解していない。だからこそ、心を動かすことで体感してほしいのだ。

自然農はカレンダーに沿った栽培ではなく、そのときその場に合った栽培を心がける。「そのとき」に気がつくためには観察心を育む必要があり、「その場」に合わせるには感性を磨く必要がある。

毎日、畑や自然について心が動いたことや気がついたこと、発見したことをノートに書き残していこう。あなたが畑で得た真実の積み重ねが観察心を育み、感性を磨く。そして、あなたにとっての財産になる。観察は感覚的な分野だがコツはある。観察を通して自然の摂理を身体で学ぼう。

畑ノートには他にも、その日の作業内容と一緒に天気や気温、太陽や雲、雨の動きや質、花が咲いている身近な草木、昆虫のドラマ、野鳥や獣たちの痕跡、人の動きなども書いておこう。好奇心が湧いてきたところから、調べてみればすべてがつながっていく。

自分ひとりが分かる言葉で良い。日記のように書いても良いし、箇条書きでも良い。誰かに見せる必要はないが、必要な時にいつでも確認できるようにしておくと良い。特に師匠や講師に質問するときに、その情報は必ず役に立つ。畑の仲間たちや家族とその日気づいたことや感じたこと、学んだことをどんどんシェアしよう。学び合いは、関係性の構築だけではなく、自分自身の感性や知恵を深めてくれる。
必ずうまくいかない原因は自分自身にあるし、答えもまた自分自身の中から生まれる。自分ひとりではたどり着けないところには、誰かとならいけるものだ。
「自然は常に正しい。誤りはもっぱら人間にある」というのはゲーテの言葉。

観察とその記録は積み重ねていくと、いつのまにか洞察と記憶になる。
するとある日、「あ、今日だ!」と気づくことになる。

大丈夫。その能力は誰にでも備わっているものだから。
ただ私たちはその能力の使い方を忘れてしまっただけ。

~今後のスケジュール~

<自然農とパーマカルチャーデザイン 連続講座>
・沖縄県本部町 2月11日~12月1日
https://fb.me/e/4ZoQTy8Qd
・沖縄県豊見城市 2月10日~11月30日
https://fb.me/e/1vqPRSvCw

・京都府南丹市 3月16日~11月16日
https://fb.me/e/1GDPiBzoQ
・京都会場 無料説明会 2月17日
https://fb.me/e/50pdW5JJX

<自然農とパーマカルチャー1日講座>
・岐阜県岐阜市 4月21日

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