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〈読書メモ〉赤いモレスキンの女/アントワーヌ・ローラン著、吉田洋之訳

〈あらすじ〉

男はバッグの落とし主に恋をした。手がかりは赤い手帳とモディアノのサイン本。

パリの書店主ローランが道端で女物のバッグを拾った。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳。バツイチ男のローランは女が書き綴った魅惑的な世界に魅せられ、わずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始める。英王室カミラ夫人も絶賛、洒脱な大人のおとぎ話第二弾。

〈感想〉

タイトルと表紙イラストに惹かれて購入した本。

読み始めの率直な感想は「そんな都合よくい展開になっていいの?」という疑問だった。

この本は元々が新聞とか雑誌で連載されていたのかな?文の区切りや句読点の位置がほぼ整理されいなくて翻訳した状態のままベタッて貼り付けた感じで、章も細かく展開が速い。
物語の構成もキレイに整いすぎて次の場面を予測しやすい状況だ。
しかしパリの美しい街並みとキラキラした日常生活の体験はしたいので読み続ける。

パリの書店店主ローランと金箔職人で未亡人の女性の不思議な恋愛物語。
現実的な目線で見ると拾った手帳の持ち主を探し当てるまでの過程が少しかなり強引で一歩間違えればストーカー行為と見られてもおかしく無い…?とヒヤヒヤしてたが、ある描写を通過した瞬間、本を”物語として読む楽しさ”の純粋な気持ちを思い出させてくれた。

小説や映画の殆は作られた話だ。だからどんな展開でも、設定でもある程度許されるんだ。
私はその外れた世界を楽しむのが好きだから本を、創作を嗜んでいるのにそこにリアリティというフィルターをかけては勿体ない。
本は逃避をする場所なのだから。

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