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前橋ポエトリーフェスティバルエッセイ②〜リーディング編その1〜


言葉がたゆたうまち

本人不在のイベントが行われるってどんな気分なんだろう。しかも死後、毎年開催され年々規模や参加者が増えている。自分の名が宣伝に使われている当の本人は頭を掻いてどこか静かな場所に身を隠しているのだろう。賑わう声を背に友人へ手紙を書いているに違いない。

前橋ポエトリーフェスティバルレポート第二段である。前回のレポートからだいぶ間が空いてしまったけど、前橋の朗読イベントは日常的に行われているためいつ投稿しても大丈夫だろうという謎の安心感から今に至る。
今回のレポートはポエトリーフェスティバルの目玉企画、ポエトリーリーディングin前橋文学館である。

夏に海辺でロックフェスが開催されるのに対し初夏に前橋いう街の一角でポエフェスが開催されるのだ。
双方の共通点は
・プロアマ問わず参加可能なこと
・全国津々浦々から参加者がいること
・言葉の力に魅せられていること
である。

今年は参加者組という大規模開催になっているため、2回に分けて投稿。出演者名と読んだもの、パフォーマンスの特徴等を箇条書きで紹介する形式になってます。そういえば、ポエトリーリーディングの場を客観的に文字起こしするの初めてだ。
肩肘張らずゆるーっと読んでください。

リーディングレポート

イベント主催者である新井さんと蔵の展示・リーディングで参加している智乃さんの司会でイベントの幕が上がった。
格式張ったものではなく、和気あいあいとした雰囲気で、さあみなさん楽しい詩の時間です。

前橋文学館 萩原朔美館長
新作朗読、新作の詩を書いて朗読したのは稀有なこと。初手から伝説を持っていった。その次に寺山修司の劇の一節も朗読したのだが、こちらは役者としての萩原館長。使い分けがすごい。詩を読んでいる姿も劇の一説を読んでいる姿も萩原朔美だけど別人のよう。

トーキョーハーレム
マダガスカルから遠路はるばる日本へ来てくれた。海外詩人のパフォーマンスを見るのは初めてだったので新鮮な気持ち。
自分の言葉をストレートに届けるのは日本と違うなあと思った。歌も歌ってくれてほっこり。

iidabii
トーキョーハーレムを日本へ連れてきた張本人。数年前のポエトリースラムのワールド大会で出会って、彼の才能と境遇に惹かれたというが、なぜここまで行動に起こせるのか。それは彼のパフォーマンスが語っていた。自分で選ぶ素晴らしさ、尊さ。

宮尾節子
流れを止めるのが芸術
詩集に掲載された一遍と、架空のロックバンドを基に書き下ろした作品が印象的だった。トーキョーハーレムへの気持が溢れて身振り手振り(手話)を交えて思いを伝える場面も。大きな愛。

田野倉康一
版権的に出版できない幻の詩。幻ということもあり、紡がれた言葉、それを読む時の声の出し方から動作まで一挙一動に貫禄があってその世界に引き込まれた。

堤美代
今回の参加者の中で最年長!
自分の足でステージに上がり、マイク無しで自分の言葉をはっきりと届けてくれた。「この日を目標に生きたの」

草間小鳥子
ChatGPTと朗読。詩を読む→AIが批評&分析してくれるという形式。
表現のあり方で多方面から危惧されている媒体を活用して言葉を客観視する手段を教えてくれた。
草間さんの透き通る声とAIの機械音が対象的になっていたのもポイントだと思う。

北爪満喜
アーティストの君島大空さんが愛読している詩集「飛手の空、透ける街」より、北爪さん自身が撮影した写真と言葉の映像と共に朗読。
穏やかな読み方で心がすうっと軽くなった。

GOKU
長野県より参加。
車中泊の詩を朗読。背景に森と川が見えた。彼自身が自然の一部のよう。
翌日の草むしりは間に合ったのだろうか。

司会交代。植木まい&せきあおい

せきくんがカンペに埋まる勢いで傾いてたのが気になったけどまあいいや。

真野めぐみ
朔太郎の「こころ」にハープのメロディを載せて朗唱。詩人の作品に音をつけてパフォーマンスする人はいるけど、ハープのパフォーマンスは初めてだったので楽しめた。彼の詩は音と相性が良い。
彼女の奏でる音と透き通った声でアンニュイな「こころ」を浄化。

薄月みどり サポート (真野めぐみ)
真野さんの演奏とコラボ。みどりさんと言えば花や草に溢れた作品。ハープの音とマッチして、会場がおとぎの国に一変。アール・グレイがお似合い。

羽鳥貝
茨城から参加。
「手錠をした犬が僕のベッドで寝ているので眠れない」
短い詩だけどインパクトのある出だしで始まった。これSF?シュルレアリスム?たった一文で観客の好奇心を掴んだ。その正体は、ユーモアがあり最後まで目が離せなかった。

笠原メイ
笠原メイが吠えた。私たちは伝説が始まる瞬間を刮目した。
メルヘンな詩人?いや、彼はイカしたロッカーだよ。

黑崎水華
第一印象は小柄で可愛らしい人。しかし朗読を始めると、ほんわかした空気が一変、怪しい雰囲気になった。幼子を寝かしつける子守唄のようにも聞こえるし、誰にも話してはいけない秘密を囁かれているような気にもなる。彼女にしか出せない、ふしぎなせかい。

宮永ふき
秋の詩を朗読。
秋風のように言葉が会場を吹き抜けて、のどかな気持ちになった。
その日は湿度が高めだったけど、カサカサって音がしたんだ。

どぶねずみ男。
大谷翔平川柳&ロックンロール
独特なワードセンスと視点でどぶねずみ節が炸裂!
えっ、そこ切り取るの?と斜め上を行く発想に脱帽。誰にも真似できない。

渡辺めぐみ
【謝辞】どぶねずみ男さん後半〜渡辺さんのパフォーマンス時、席を外していたためメモ取れませんでした……申し訳ありません……

黑崎晴臣
親子コラボのはずが、娘ちゃんはうとうと夢の中……お父さんの腕の中で朗読を聞きながらおやすみなさい。イベントの中でいちばんやさしい時間。

司会交代。俳里・えぬ

司会交代。自称魔女と大学生詩人ののんびりコンビでいきますわよ〜

朝葉晴砂あしたははれるさ
猫の詩を朗読。猫との日常生活を書いたものと猫視点で書かれたもの。どちらも愛情たっぷりで、猫ちゃんシリーズもっと聞きたくなった。作品もお話も。

赤野四羽あかのよつば
八王子から参加。パフォーマンスのはじめとおわりにフルート演奏。多くの言葉を聞いて、疲れはじめていた頃にフルートの音色で空気が一新された。
俳句の朗読。こちらも朗読の印象は薄いだろうけど、書き手が読むことでテキストだけで読む時と受ける印象が全く違う。

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