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小説・物語まとめ

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ジャンルはごちゃ混ぜ。読んでくれた人の心に少しでも残るようなお話を書いていけるよう頑張って続けていきたいと思っております
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記事一覧

超短編小説・彼の者、腹を虐げる者なり

それは、部屋の片隅にいる。 今日はやらないのかと、こちらの出方を窺うように見つめている。…

Harry
3年前
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短編小説:おはようとパン

ちょっと聞いてよお母さん。お父さんがね 「今日から朝食は俺が作る」 なんて言い出してから…

Harry
2年前
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短編小説:ハクフの歯ブラシ

青い海、白い砂浜。大自然と一緒に暮らす島に小さな港町がありました。この港町に住んでいる人…

Harry
2年前
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短編小説:オリオとチュチュと羊たち

ボクはオリオ。上から見ても横から見ても、どこからどう見てもオリだ。 みんながオリ、オリ、…

Harry
2年前
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短編小説:侵食

船に揺られるのは、旅に出てから初めてかもしれない。誰も私を知らないところに行きたくて見ず…

Harry
2年前
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短編小説:きみの無くしたもの

島で生まれたのにボクだけが泳げないから、波止場で遊ぶのはいつも嫌いだった。みんなが海に飛…

Harry
2年前
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小説:明日の僕らに喜びの花を贈る 前編

――その小屋には先客がいた―― 雨のにおいが近づいているのはわかっていたが、まさか滝のような大雨になるとは思っていなかった僕は、この辺りに小屋があることを思い出し、雨宿りをするため記憶を頼りに森を駆けてようやく小屋までたどり着くことができた。雨でずぶ濡れになった身体を乾かすため、服を乱暴に脱ぎ捨てた後シバリングをし、水気を辺りにまき散らす。ふぅと一息ついた後周囲を見渡した。小屋のなかには家具が一式そろっていたが、時が止まったかのようにホコリが積もり乱雑に置かれていた。