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贔屓と依怙贔屓 「番台から I LOVE ゆ」

 自分勝手な判断で友達をただで入浴させたり、タオルをプレゼントしたりしていたフロントのアルバイト社員がいました。

「依怙贔屓』(えこひいき)していたわけですが、お客さまを贔屓することは悪いことではありません。会員割引や、常連様特典、などはれっきとした贔屓行為です。

『依枯」には、一方に肩入れする、という意味がありますが、肩入れすることが、相手の為のことを思ってのことではなく、自己満足の為にということが問題なのだと思います。

 前述のアルバイト社員は、友達にいい格好がしたかったことが動機だったのでしょう。

 自分の働く店に来てくれた友人に、満面の笑顔で感謝を述べる、ポケットマネーで風呂上がりの牛乳を差し入れる、贔屓をすることは悪いことではないのです。

正しく「勝手な判断」をする

 自分勝手な判断と書きましたが、自分勝手な判断も必ずしも悪い訳ではありません。

 フロント業務の仕事は、むしろ自分で判断して行動できる人でないと務まらない仕事です。

 問題は正しい判断ができるかということです。

この正しい判断の基準がまさに「お客様のために」ということなのです。

 有名な話ですが、リッツカールトンホテルの社員は1日に20万円までの自己決済権があります。ホテルを利用するお客様がお困りになっていることがあれば、現場社員の判断で20万までの費用をかけることが許されています。

 
 お客様の僅かな言葉や態度を見逃さず、先読みをしてタイミングよくサービスを提供する、顧客には常に期待の上をいくサービスを提供することが、世界中の社員の共通の認識となっているからです。

そして、顧客の感動体験は「ワオ・ストーリー」と呼ばれ、世界中で共有されます。

 20万という金額がすごいのではなく、顧客満足のために、自軍で考え、行動できる「決裁権がある」ことがすごいのです。

 これが、社員の自己満足のため使われたとしたら、単にお金で買える様な陳腐なサービスなら、顧客は喜んだとしても、感動を得ることも、「ワオ・ストーリー」として共有されることもないでしょう。

 お風呂屋で、リッツカールトンと同じことはできないでしょうが、「お客様のため」という精神と自店での決まりの中で決裁権を決めておくことで、お風呂屋でも多くの「ワオ・ストーリー」が生まれるのだと思います。





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