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家庭教師が教える、定期テストと受験の違い ~受験の落とし穴~

定期テストと受験は違う。全くと言っていいほど別物である。
この違いは、わかっているひとにとっては当然のことなのだが、案外理解されていない保護者の方も多い。

今回は私が家庭教師としてアルバイトしている経験をもとに、定期テストと受験勉強の違いを考えてみたい。主に中高生の方とその保護者の方向けの記事である。

定期テストと受験の目的の違い

定期テストと受験の違いを考えてみると、もっとも明らかなのはその目的の違いだろう。

定期テストの目的は、一定期間における授業内容の理解度をみるということであり、その結果によって成績(内申点)が付けられる。

一方、受験の目的は、今まで学んできたことが他の人より優れて身についているかをみるということであり、その結果によって生徒の入学の可否が判断される。

定期テストと受験の問題傾向の違い

定期テストと受験の目的が違うのであれば、その目的を達成するために出題される問題の傾向も異なるはずだ。

定期テストは短期間の、受験は長期間の勉強における習熟度をみるものだということがいえる。また、定期テストは授業の理解度を確認するための問題が出題されるのに対し、受験では受験者同士の出来に差が付く問題が重視されるということもいえる。

このように定期テストと受験では出題者側の意図が異なる。

定期テストは、各教科の範囲を把握し、その先生の出題傾向を把握し、授業内容をしっかり暗記することで対策できる。

一方で受験(高校受験、大学受験)は、受験教科について、学習内容の全体的な理解度を高く持ったうえで、他の受験者との差別化のために応用力を鍛えなければならない。

ありがちな落とし穴

ここまで定期テストと受験の目的と問題傾向の違いを述べた。これらのことを理解しないでいるとはまりがちな落とし穴をここで解説する。

それは、定期テストができているから受験も大丈夫だろう、と安易に考えてしまうことだ。

なぜなら、定期テストは短期間の暗記で乗り切ることができるが、受験はそうはいかないからだ。長期間にわたって体系的に知識を蓄えていなければ受験を突破できるとは言えないのだ。

定期テストが悪くても?

逆に言えば、多少定期テストの点数が振るわず通知表がぱっとしなくても、受験に向けて少しづつ自分に必要な勉強をしていけば、受験で志望校に合格できる可能性は十分ある。

もちろん、定期テストができるに越したことはない(特に内申点により推薦が使えたりする場合はなおさら)が、定期テストの点数が悪いことで、落ちこぼれだ、と勘違いしている人が意外といる。

実際、運動部で3年生の夏の大会まで部活があるような人が、秋以降強烈な追い上げを見せるといった例もある。

定期テスト対策の考え方

先生の指示した課題をきちんと解けるようにすることが、定期テストの対策として最も確実だ。今回のテスト範囲の項目をとにかく完璧にしておくというのが基本的な考え方になる。授業中に強調している部分があったのならば、そこをしっかりと覚えておくことも重要だ。特に定期テストは基本問題が一定の割合を占め、しかも配点が高いことが多い。そこをしっかり身につけておけば大崩れすることはないだろう。

できるならば各教科の先生の出題の傾向を把握して、それに沿った対策をすることもお勧めだ。英語なら教科書から文章の穴埋めなどを出すのを重視するタイプなのか、文法の問題集から沢山出題してくるのか、はたまた自分の意見を書かせる英作文やリスニングの問題にこだわるタイプなのかといったようなことだ。

あとはあきらめないことだ。定期テストに関していえば、過去の定期テストの結果が悪かったからといって、今回も悪い結果を取るかというと実はあまり関係ない。今回の出題範囲をしっかりと押さえておけば(特に理科の生物や社会の歴史といった暗記要素の多い科目)は、その回の努力によってテストの点数が大幅に上がることも多くある。前日に詰め込んで案外と高得点が狙えることもあるので、とにかくあきらめないことが大事だ。

受験対策の考え方

受験科目について、体系的に理解することが重要だ。その科目の全体像がどうなっていて、個別の項目がどのように設定されているのかをまず確認することが重要になる。

そのうえで、合格最低点を超えるためにはどのような問題を解けるようにするべきか把握することになる。多くの人は過去問を直前の問題演習用に取っておくようだが、私は1年前に一度過去問をやってみるといいと考える。それによって志望校のレベル感がわかり、どの程度これから身につければよいのかがわかるからだ。受験の場合は直前対策の定期テストと違って、1年以上前から少しづつ対策していくのが基本になる。

ポイントは合格最低点を超えるということだ。別に満点を目指す必要はない。あくまで、不合格者最上位の人より1点でも高い点数を取ればよいのだ。そして、当然ながら受験科目は自分が比較的得意な科目で受けられる(もしくは配点が高い)ところを探すのだ。定期テストで大して勉強しなくてもそこそこできる科目、みたいなのがおススメだ。だから定期テストで特定の科目が足を引っ張っているような人でも悲観する必要はない。あくまで自分の志望校の受験科目の中で他の受験者を上回ればいいのだ。

志望校のレベルがわかったら、次に基本問題がきちんと解けるような基礎学力をまず身につける。それがある程度できてきたら、他の受験者と差が付く問題を解く練習をひたすらしていくことになる。

誰も解けないような極端な難問を解くような練習よりも、解ける人と解けない人が3:7くらいで二極化するようなそういう問題が解けるようになることが重要だ。それが合格最低点を超えるために必要だからだ。

多くの場合そういう問題は、基本問題からずれがあって、少し応用的発想が必要である場合が多い。そのような問題に取り組んだ後は、それが解けようと解けまいとしっかり解説を読み込む必要がある。その科目の全体像の中からどのような位置づけに当たる問題であり、どのようなことを理解すれば解けるのかをしっかり確認しておくのだ。そしてもし間違えていたり、不十分な点があったなら、自分で0から模範解答をひねり出す練習をする必要がある。

これを繰り返して、模試で自分の立ち位置を把握しながら、演習を通して着実に体系的な理解を深めていくことが合格につながるだろう。


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