見出し画像

月周回衛星「かぐや」のデータで月の画像を作ってみた

研究に先立って、少しは惑星科学系のデータに慣れなければいけないなと思い、JAXA宇宙科学研究所が配布している月周回衛星「かぐや」の衛星データをいじってみました。

今日1日で行った結果なので、所々不明点もありますが、とにかくそれっぽいものができたので、まあよしとしましょう。

全球モザイクオルソ画像

オルソ画像ってそもそもなんだっけ?というとこから。
大学の時やったはずだが...

 航空カメラで撮影された空中写真は、レンズの中心に光束が集まる中心投影なので、レンズの中心から対象物までの距離の違いにより、写真上の像に位置ズレが生じます。写真に写る対象物が地面から高いほど、また写真の中心から周縁部に向かうほど、この位置ズレは大きくなります。上空から撮影した空中写真では、土地の起伏(高低差)による位置ズレが生じるとともに、高層ビルなどの高い建物や周縁部のとがった山の像は、写真の中心から外側へ傾いているように写ります。
 オルソ画像は、写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(以下、「正射変換」という)したものです。
 オルソ画像は、写された像の形状が正しく、位置も正しく配置されているため、地理情報システム(GIS)などにおいて、画像上で位置、面積及び距離などを正確に計測することが可能で、地図データなどと重ね合わせて利用することができる地理空間情報です。
(引用元: https://www.gsi.go.jp/gazochosa/gazochosa40002.html)

上のURLに載っている写真を見れば一発でオルソ補正の効果が分かります。

実際に、月の全球モザイクオルソ画像を描画してみるとこんな感じ。(この図はpythonで書きました。)

画像1

オルソ画像は全球のコントラストのバランスを調整して作成されているので、 物理量ではなく月表面の明るさの相対値となっています。そのため、カラーバーに書かれている数字自体には意味はありません。
注目すべき点は、月には暗い(黒い)部分と明るい(白い)部分が存在する点です。
この両者では物質が異なっており、暗い部分は玄武岩という火山性マグマを起源としたもの、明るい部分は斜長石という物質で構成されていることがわかっています。

全球標高画像

月の標高データを描画すると次のようになります。
スケールに単位が入っておりませんが、単位は[m]です。
よくみると標高がマイナスになっている部分が存在します。
月の平均標高を0mとして計算しているため、平均標高より低い部分はマイナスになります。

画像2

このようにみると、オルソ画像ではわからなかった月の起伏の激しさがよくわかりますね。特に青色で示される標高の低い箇所は円形状になっているものがしばしばみられ、隕石や小惑星などが衝突した際のクレータであることがよくわかります。

データ取得元

今回使ったデータは以下のサイトから取得しました。

KADIAS(かぐやデータ統合解析データ作製・配信システム)
http://kadias.selene.darts.isas.jaxa.jp/kaguya/map.html

システムの使い方に慣れるまで少し大変でしたが、多くの物理量データを無料かつ登録なしで取得できるのでありがたいです。
物理量の単位やバイナリデータの仕様の説明をもう少し丁寧にしてくれるとありがたいですが、贅沢を言ってはいけませんね。

これからも、何か面白い画像や解析ができたら、ここで書いていきたいと思います。(もちろんお遊び程度のものですが...)
あとは論文も結構読んでるので、早くアウトプットしたいな〜〜。

よろしければサポートとお願いします。研究用の参考書代に使わせていただきます。