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「自己中に考える」澤円氏が語るこれからの働き方

2020年9月9日(水)~11日(金)に開催する「第1回 Japan マーケティング Week【関西】」。

期間中はマーケティングの最先端が学べるセミナーも開催します。特別講演として、株式会社圓窓 代表取締役 澤 円様に「働き方改革」を主題にお話しいただきます。本記事では講演に先駆けて、澤様にお話を伺った様子をレポートします。

株式会社 圓窓
代表取締役 澤 円様

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立教大学経済学部卒。
生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、大手外資系IT企業に転職。
情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。最新のITテクノロジーに関する情報発信の役割を担う。
2006年よりマネジメントに職掌を転換し、ピープルマネジメントを行うようになる。
直属の部下のマネジメントだけではなく、多くの社内外の人たちのメンタリングも幅広く手掛けている。数多くのイベントに登壇し、プレゼンテーションに関して毎回高い評価を得ている。
2015年より、サイバー犯罪に関する対応チームにも参加。
2019年10月10日より、(株)圓窓 代表取締役就任。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。また、美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。


何によって評価されるべきか、自分自身で定義する

ーー澤さまは「Japan マーケティング Week 関西」で「コロナと共存して働くために必要なマインドセット」という講演タイトルで登壇されます。ボイスメディアVoicyの澤さまの番組内でコロナ禍の今を「インターネットが登場した瞬間」に例えられており、それまでの当たり前が当たり前じゃなくなったというお話をされていますが、コロナ禍をどう捉えていらっしゃいますか?

澤さま(以下敬称略):これまでも世界に大きなインパクトを与えた出来事はたくさんありました。例えば、9.11やベルリンの壁の崩壊など。でもこれらの出来事は世界的なインパクトは与えたけれども、人類全体が同時に体験したというよりかは局地的でした。

インターネットに関しては、僕は全世界同時と定義しています。インターネットが登場したことで、これまでかかっていたコストが非常に安価に行えるようになりました。例えば、コミュニケーション。それまでは国際電話でないと同時性を持ってやりとりできなかったものが、インターネットを使えば地球の裏側にも安価に情報を届けたりとか、情報を得たりすることができるようになりました。既存のビジネスモデルだったり、流通モデルだったりがインターネットによって破壊されたという側面はあると思うのですが、経済に関してはプラスのことが大きかった。

今回のCOVID-19がインターネットと違うのは、そのものの存在にポジティブな要素が1つもないことです。ウイルスですからね。けれども起こってしまった。ポジティブな要素ではないんだけれども、そこから学んで発展していかなきゃいけない、というのが我々が今置かれている状況だと思います。

ーーコロナ禍による仕事に関してはどう捉えられていますか?

澤:仕事に関しては、目に見えないウイルス相手に対応しなければならないため、やり方を変えざるを得なくなってしまいました。これまでも、働き方改革と言われてきましたが、実現できていなかったですよね。それがようやく変わることができる、という証明になったのではないかと。大きく価値観が変容するチャンスはめったにないので、これは活かしていかないともったいないと思っています。

ーー仕事のやり方が変わってどう仕事をしていいかわからなくなった、今後のキャリアをどうしていいかわからない、など仕事に対する悩みを抱えている人も多いと思います。そういった方々に対してアドバイスなどはありますでしょうか。

澤:リモートワークになった途端に仕事がしづらくなった人というのは、「何を持って仕事をした」とするのかが定義されていないからだと思います。厳しい言い方になりますが、今までは会社に行って仕事をしているつもりになっていた、もしくは、仕事をしているフリをして評価されていた。それが家で仕事をしなさいとなった途端に、「私は、何をもって評価されるんだっけ?」となっていると。

だからこそ、今やらなきゃいけないのは「定義を決める」こと。「私は○○によって評価されるべき人物です」というのを各プレイヤーが定義しても構わないと思います。外資系であれば、これをもってあなたが仕事をしたとみなしますという「ジョブディスクリプション」が明確にあります。ただ、日本企業はそこがいい加減だったりするので、自分都合でいいので定義をつくってみる。今は答えがぼんやりしているので定義した者勝ちだと思います。

例えば、セールス担当で人と話をするのがあまり得意じゃないけれども、メールでの営業が得意な人がいるとします。今までの主流は面談スタイルのセールスでしたが、これからは「訪問せずに価値を提供できるメール営業」が立派な肩書きになると思うんです。

これを定義すると「コロナ対応のセールススタイル」。こういう感じで自分を再定義することをやってみればいいんじゃないかと思います。

ーー定義するときの取っかかりとして何から始めるのがいいでしょうか。

澤:まずは、「自分はこれができます」ということを明文化することでしょうか。その後に、スキルを棚卸する。棚卸しをするなかで、明確じゃないもの、もしくは、マーケットに通用するスキルを持っていないかもしれないと思ったら今から鍛えればいいんです。大急ぎで。

COVID-19によってこれまでの働き方、これまで価値があると思われていた職種やスキルに意味がなくなってしまう可能性があります。まさにゲームがリセットされた瞬間が今です。
そのためできることがハッキリしない、もしくは市場に通用するスキルを持っていないかもと思ったら大急ぎで鍛えればいいんです。これから必要とされるであろうスキルを磨いていけばいいだけの話なので、今はチャンスだと思います。

好きを突き詰めて考える

ーー自分都合で定義をつくってみてもいい、というのが印象的でした。「自己中でいい」と。

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澤:なんで自己中でいいのかというと、社会のルールが思いっきり変わったからです。これは仕事でも同様で、まだ誰も答えをもっていません。だからこそ、新しいルールを会社や組織に提示すると、ありがたがられる瞬間かなとも思います。言ったもん勝ちの状況でもあるわけなので、早めに試して早めに失敗することが大切です。

ーーなるほど。

澤:今は人に会いにくい状況ですので、これまでより自分に向き合う時間も多いです。これって、「自分に正直にいましょう」「自分を中心に考えましょう」という環境が与えられているとも言えます。それにSNSなど自分をだす手段がインフラとして整っている世の中なので、もはや自分中心に考えるっていうのをさらけ出しちゃっていいんじゃないかと。

ただ、自分を中心に考えるというのは、人を利用することを考えましょうって話ではないですよ。自分に正直にありつつ、かつ、他人と上手くやっていく方法を考えるというのがこれから必要になってくるということです。

ーー 自分に正直になるにはどうすればいいでしょうか。

澤:自分に正直になるためのキーワードは「Being」です。Human BeingのBeingですね。つまりは、「どうありたいんですか」ということ。自分の好きなこととか、選びたいと思っていることとか、そういうことに正直でありましょうと。

1つのアプローチとしては子どもの頃になりたかった職業や、キャラクターや人でも何でもいいので、「なんでそれになりたかったのか?」「なんでそれがスキだったのか?」、この「なんで?」を分解していきます。分解していくとキーワードが出てくるはずなんですね。

理由が「かっこよかったから」なら、どの部分がかっこいいと感じたのかをさらに分解していきます。そうするとかっこいいと思ったのは、見た目なのか、振舞いなのか、発する言葉なのか、服装なのか、姿かたちなのか、など色んな要素が見えてきます。「姿かたちがかっこいいと思った」ならなんでそう思ったのかを繰り返していくと、どんどん原体験に近づいていく。それをキーワードにしていって再定義していく、というやり方をしていけばいいと思います。

まとめると、「自分の好きなことに対してなぜかをひたすらに問い詰めていく」。そうすると純度の高い答えが見えてきて、自分に正直になれるのではないでしょうか。


マネージャーがいなくてもいい組織が究極の目標

ーーリアルでの接点が減りマネジメントにも影響が出ていると思います。これからのマネジメントにはどういう能力やスキルが必要になると思いますか?

澤:そもそもマネジメントとは何かという話なんですけど、日本ではマネージャーのことを管理職と呼びますよね。これが間違いだと思います。

管理というのはタスクを指す言葉ですし、多くの管理業務は今後AIに置き換えられていくものです。
例えば、朝9時に出社しているかどうかを管理するというのは、ゲートにセンサーをつけておけばいい話であって、いちいち人が見ていなくてもいいですよね。でも、「何でお前は9時に来られないんだ」とがみがみ怒って、怒ることで仕事をした、と思っている人もいます。

これは純度が高い仕事ではないですし、そもそも仕事ではないと言ってもいいでしょう。何が言いたかったかというと、機械に置き換えられるようなことをやることは「仕事をやっているふりをしているだけ」と。

ではマネジメントとは何かというと「ある役割を持っている人が業務を行ううえで障壁になるものを取り除く仕事」のことだと考えています。つまり、「メンバーが仕事に集中できる環境を整えるのがマネージャーの仕事」です。

例えば、セールスの成績が上がってない人に「あいつには営業能力がないんじゃないか」と思うのではなく、「あいつのセールスの成績が上がっていないことに対して、自分は何をしてやれるのか」と思わないといけないんです。本人が原因を理解していないのではないか、環境が整っていないのではないか、などを自責で考えて、邪魔なものがあればそれを取り除いてあげるのがマネージャーの仕事だと思います。

マネージャーが究極として目指すところは、マネージャーが居なくても組織が回るようにすること。邪魔なものをすべて取り除いたらマネージャーがやる仕事はなくなるわけですよね。マネジメントが完了して、自走してるんだったら余計なことはしなくていいので、マネージャーは次のステップに行けばいいと思います。

ーー支援をしていくために注意しないといけないことはありますか。

澤:「Why」で聞かないことです。仕事で失敗した人に対して「何でそれをやったの?」とか「何でこうなったの?」と聞いてしまうと、「Because」の説明責任がすべて本人にのしかかるわけですよね。「なぜならば私は・・・・・・」と。そうすると、マネージャーは「言い訳をするな」となりかねない。これは両者に対立や不満しか生みません。

Whyではなく「What」。「何があった?」と聞いてみてください。Whatで聞いた答えが、障害や障壁になっているものなので、マネージャーはそれを取り除いてあげればいい。そしたら次は「How」です。外資系の企業だと上司がしょっちゅう「How can I help you?(どうやったら君を助けられる?)」と口にするのですが、この精神です。これを実際にやりはじめると「何でお前は・・・・・・」みたいな会話はなくなりますよ。

ーーありがとうございました。


【お知らせ】
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日本最大級のマーケティング商談展、Japan マーケティング Week [春] を開催します。

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