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レビュー(舞台、イマーシブシアター)

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ネタバレも時々あります。
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#小沢道成

【レビュー】2024/4/7 「漸近線、重なれ」

【レビュー】2024/4/7 「漸近線、重なれ」

初めて聞く言葉に、思わず意味を知りたくなってしまった。題名から祈りや願いを感じる。
きっと最後まで重ならないのかもしれない。そんな予感と共に劇場に向かった。

劇場の座席に続く階段の両側に木の葉が散りばめられていた。
入り口から世界を作ってくれる遊び心。物語の始まりは春だけど、あえて春をイメージさせる桜ではないことも嬉しかった。
パンフレットや小沢さんのツイートにも(おそらく)書かれていないアイデ

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【レビュー】EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」

【レビュー】EPOCH MAN「我ら宇宙の塵」

次の作品について、
皆さんに一つ聞きたいことがあるんです

2022年4月。新宿で行われたトークイベントで小沢さんが言った。

「次回作の登場人物なんですけど、一人芝居をやるか、今までやったことがない3人以上の作品にするか迷っていて。どちらををみたいですか?」
後者が多かった。だから今回の情報が発表されたときに、あの場所にいた人はこの出来事を思い出したんじゃないだろうか。(伏線回収!)

場所は初

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本多劇場にたった一人で挑む、小沢道成さんの夢

本多劇場にたった一人で挑む、小沢道成さんの夢

2022/2/23、19:30開演だったが16:00には下北沢にいた。(早すぎ!!!)
思えば下北沢は小沢さんの作品を観るためにしか来ていない。

特別な場所であり、一人で訪れるのは初めてだった。

今作はYouTubeで1年間、制作過程も紹介されている。
音楽、衣装、照明、稽古風景...
メイキング好きとしては これってドラマや映画だったら有料だよね...    と無料を疑う。(ありがたく拝見し

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2021/8/21 オーレリアンの兄妹

2021/8/21 オーレリアンの兄妹

小沢道成さんの新作。

本日、千穐楽でした。

いつもならスイスイ進むはずが、今回は全くと言っていいほど手が進まなかった。

でも、これは言葉にしなければ感情が失われる。
中村 中さんの曲を聴きながら少しずつ書き進めた。

結果、うまく繋げられない文が出来上がった。
また自分で読み返した時にフッと笑いそうなそんな言葉たち。

公演前の偶然

開場2時間ほど前。
お店の前に飾ってある植物に惹かれ、カ

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たくさんの「夢ぞろぞろ」2021

たくさんの「夢ぞろぞろ」2021

2021/2/23、久しぶりの下北沢へ。
2/19〜2/28シアター711にて上演の「夢ぞろぞろ」の観劇。

再演ですが、飽きない作品。とにかく登場人物のおばちゃん(夢子さん)がお茶目でかわいい。(羨ましい!!)
青年(夏目くん)の迷いや苦悩に共感してしまう。

ある日突然会社に行けなくなった青年と、駅のおばちゃんの物語。
売店が回るたびに、過去と現在が交錯するーーー。

始まり

2年ぶりにシア

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夢ぞろぞろ2021

夢ぞろぞろ2021

2019年の初演から2年、再び幕が上がる。たまたま別の舞台に主演していた小沢道成という俳優を知り、最初に観劇した舞台だった。

あの頃と環境も、状況も違う中で何を感じるのか?
どんな言葉が刺さるのか?
自分でも驚く感情に出会わせてくれる作品たち。
繊細で、少し背中を押すような言葉たちが溢れています。

叶えられなかった夢、違う形で叶った夢。まだかなわない夢。
それらに生かされている。

会社に行け

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画面越しの再会in本多劇場

画面越しの再会in本多劇場

2015年に上演された作品の再演。5年前の作品であるにも関わらず、この時期を待っていたかのようなストーリー。

東京で一人暮らしをする女性と、宅配便の男性との
いつも通りの日常になるはずだった一日。

誰が、何がいけなかったのだろうーーーーーーーーー

「演劇って魔法みたいですよね」
彼は笑っていたものの、泣き崩れそうな顔に見えた。

きっと俳優にとって拍手とは、人の存在とはなくてはならないものだ

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鶴かもしれない2020in下北沢

女は、ある日一人の男に助けられる。

恩返しをしたい

女の願いは届くのか

3台のラジカセと一人の俳優が描く
現代版「鶴の恩返し」
再々演

※ここから先はネタバレになりますので
ご注意ください

ぽつんと置かれた椅子、射し込む一筋の光。
優しく流れ出す音楽。
鶴かもしれない2020の幕が上がる。

興奮と、不安で胸が張り裂けそうになった。

壁が開いたり、閉じたりするたびに目まぐるしい速さで一

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みんなの宅配便

みんなの宅配便

小沢道成という俳優がいる。
彼が作り出す世界観は、きっと「どこかにいる人」に焦点を当てていることが多いような気がしている。

YouTubeで無料公開されているこの作品。とある部屋を舞台に、宅急便のお兄さんとおばさんの物語だ。

とある部屋の、いつも通り続いていくはずだった日常。

「あなただけが変な人にならないように、あなたが変な女扱いされないように」

厳しく貫く言葉。だがこれは優しさだ。自分

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