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いつか、死んでしまうから。

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私と誰かの記憶の断片。
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習性と逸脱

習性と逸脱

香りは最大の暴力。
人は声を最初に忘れ、次に見た目を忘れる。
しかし、それらを一度に思い出させるのが香り。

どこかで読んだ一文だった。

そんな話を深夜、社会人になりたてだった私は知人の家に泊まった日になぜか口にした。そんな詩人みたいなことを誰かに言うなんて思いもしなかった。
きっと夜とお酒のせいだった。

笑われると思ったが、真剣に知人は耳を傾けて聴いた。そして一瞬の沈黙のあとに、こう言った。

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