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【映画】ウォールフラワー【感想】

私の人生映画ベスト3に入る名作『ウォールフラワー』について話す。

『ウォールフラワー』(原題:"The Perks of Being a Wallflower")は2012年公開のアメリカの青春映画。若き日のエマ・ワトソンやエズラ・ミラーが出演しており、とっても良いキャラクターを演じている。

"wallflower"とは「ダンスパーティなどで誰にも相手にされず壁に寄りかかっているような人」のことを指す。主人公のチャーリーも高校に馴染めない"wallflower"だ。もともと持っている精神疾患や新しい環境への期待と現実のギャップから、日々が過ぎるのをただただ待つような高校生活が始まると思われた矢先、チャーリーは変わり者の上級生パトリックと知り合う。そこからチャーリーは、パトリックやその義妹のサム、パンクな仏教徒のメアリーエリザベス(なぜかみんなフルネームで呼ぶ。フルネームで呼びたくなる友達って1人はいるよね。)、ジーンズを万引きするゴスのアリス、料理学校生徒で薬物中毒者(名前は忘れてしまったけど、こいつのおかげで薬物パーティをできている)たちのグループの一員になる。スクールカーストの最底辺にいたチャーリーはスクールカーストから外れた変わり者であるパトリックたちと、ここにしかない青春を過ごしていく。

チャーリーは孤独だった。しかし、パトリックとサムや信頼できる国語教師のアンダーソン先生との出会いで、学校の中で生きていけるだけの癒しを見つける。このような人との出会いによる孤独の解消は、劇中で音楽や文学に象徴されている。
例えば、チャーリーの最愛の人であるサムは暗いラブソングを愛する。サムの音楽の趣味は「全米チャート100」にランクインするような曲ではなく、周りに理解されない。また、アンダーソン先生の国語の上級クラスは優秀な生徒たちだけであるが、真に文学を愛している生徒はチャーリーだけだ。そんな中でアンダーソン先生はチャーリーの文学の才能を認め、愛読書をチャーリーに勧める。
「僕」だけが知っている、「僕と大切なあの人」だけが知っている音楽や文学は、この映画に限らずとも孤独を癒す宝物として、誰もが持っているものだろう。友達と過ごす賑やかでキラキラした青春の一方で、孤独の中で少しの自分だけの宝物と共に耐える生活もまた青春なのである。

パトリックやサムたちは最上級生であり、夏には高校を卒業して大学へ行くため、チャーリーの高校生活は再び孤独を耐えるものになってしまう。しかし、彼らと聞いた音楽や大切な文学はいつだって美しい青春を思い出させてくれるだろう。私がこの映画を初めて見たのはチャーリーと同じくらいの年だった。今はもうなぜそんなに悩んでいたのか分からないけれど、当時チャーリーのような孤独感を感じていたのか、この映画を見ながらありえないくらい号泣したのを覚えている。それ以降、私にとっての映画『ウォールフラワー』はチャーリーにとっての音楽や文学のようになった。今でもどうしようもない不安感や無力感に襲われる時はこの映画を観る。もう少女時代のように号泣することはないが、初めて見た時の感情が思い出され、根拠のない「1人ではない」感を感じさせてくれるのだ。

(今聞いてもびっくりするほど暗いけど、サムとチャーリーが愛した曲を添えて)

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