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サンタ再来

#中学生〜高校生

ぼくにとってサンタクロースは小3でいなくなったと思っていたが、一度再来したことがあったことを思い出した。

それは中学生の頃だった。

その頃、ぼくの家は実質的に別居状態で、父は少し離れた場所に暮らしていた。

ぼくはその頃から夜更かしが好きだった。

夜はゲームをしたり、ネットやチャットをしたりして、
昼は学校で寝るという生活をしていた。

今思えば親に心配をかけていただろうなと思うが、
当時のぼくは、成績さえ良ければ文句ないだろうと思っていた。

中学2か3だったかと思うが、その年のクリスマスイブも当然夜更かししていた。
PS2のモンスターハンター(無印)にハマっていた気がする。
とにかく扉を締め、自室で過ごしていた。

その日は母は外に出かけていたので、家にはぼくと兄だけがいた。
そして、帰ってきた際に鍵を玄関の鍵を開けるのが煩わしいので、開けっ放しにしていた。

真夜中、たしか1時過ぎくらい。
とつぜん玄関から鍵を回そうとガチャガチャ音がした。
空いた鍵を一回締めて、扉を開けようとする音が聞こえた。
当然締めているから扉は開かない。
ガチャンと鍵のオスがメスに当たる音がした。

再度鍵を回す音が聞こえた。
今度は扉が開いた。

誰かが帰ってきたようだった。

というか当然母だと思った。
しかしながら
「ただいま」
がなかったので、母ではないことに気づいた。

侵入者だと思い、自室の扉を空けずに耳を澄ませて様子を伺った。

リビングの方で音がした。

リビングの向こう側には、兄が寝ていた。
侵入者が寝ている兄を制圧する前に、2対1の状況を作りたいと思った。

ぼくはバッドをもって(実は野球部だったのだ)自室の扉を開けて侵入者の顔を確かめた。

父だった。

なんならサンタだった。プレゼントをもって立っていた。

笑って声をかけようと思ったら、父は
「なんで起きてるんだよ!お前嫌い!!お前最悪だよ!ホント最低!」
と大声でぼくを罵ったあと、すぐに父は家を出ていった。
顔が赤かったので酔っていたのだろう。

嫌いはまだいいが、"おまえ", "最悪", "最低"と言われたのがショックだったのと、
数年前に自分で暴露したくせに意味不明だなとか思いながら呆然としてしまい。
何も言い返えすことができなかった。

リビングにはヘリコプターのラジコンがあった。
プレゼントする相手にあんなこと言うのか。と、ぼくのなかで更に謎が深まった。

父の大声で起きてきた兄とその時の出来事をシェアした。
きっと明日謝りに来るからそれで許せばいいんじゃないか、という結論になった。

ぼくはサンタがいた頃のクリスマスを思い出しながら眠った。
何とも言えない気分だった。

翌日、父が家にやってきた。
「ラジコンどう?」
とにかくラジコンが動いているのを見たかったようだった。

兄とぼくはラジコンを動かした。
わりと安定性が良かったので、父の頭に載せたり、父の耳元で飛ばしたりして遊んだ。

その日結局父は謝ることはなかった。
酔っていたから記憶に無いんだろうということにしている。


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