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利き聖水(念編)

#中学生〜高校生

水の作り方1の続きです。

念によって聖水が作れるようになった父は、
聖水を作っては自分で飲み、たまにぼくにも飲ませるというスタイルでいつも通り生活していた。

「味がぜんぜん違う」という父であったが。
何年たってもぼくには違いがわからなかった。

そこで、ある日、本当に見分けることが出来るのかテストをしてみることにした。

ぼく「本当に味変わってるの?」

父「うん。飲めばぜったいわかる」

ぼく「じゃあ利き水しよう。つまり、幾つかの中から当ててみてよ。」

父「余裕だよ」

ということでグラスを3つ用意し、効き水をしてもらうことにした。

用意した水は聖水(水道水から念で生成)、水道水、ミネラルウォーター。

まずそれぞれをコップに入れ、父に飲ませた。

「ぜんぜん違う」と言っていた。

ここで兄が帰ってきたので、状況を説明した。
すごく楽しそうな笑顔になってくれた。

ぼくは

「これらの水を、3つのグラスに適当にいれて、シャッフルするから。聖水を当ててみてね。」

と告げた。

まず、プラセボ効果があると思ったので、
3つのグラスの中身を全部水道水にしてみた。

ぼく「はい、どうぞ。」

父はぼくから見て右のコップから順番に慎重に飲んだ。
兄は必死に笑うのを堪えていた。

3種類(全部水道水)飲むとまた最初に飲んだグラスを手にした。

「うん。簡単。答え言っていい?」

父は自信アリげだった。

ぼく「いいよ」

父「コレ」

父は最初に飲んだグラスを指差した。

兄が笑いすぎて死にそうだったので、プラセボ試験だった事を伝えた。

ぼく「ごめん、実は全部水道水だったんだよね。」

父「ぇ!それずるくない?いや、そうだと思ったんだよね!!」

父の猛抗議から、再試験を実施することにした。

兄が笑いすぎるとそれにバレそうだったので、
後で結果を教えることにして、その場から離れてもらった。

今度は普通に用意した3種類全てを使ってテストをすることにした。
つまり、水道水から生成された聖水。水道水。ミネラルウォーターを全て使った。

実はこれはこの組み合わせだと、ぼくの目から見ても簡単だと思っていた。

というのも水道水とミネラルウォーターの違いは流石に分るからである。
そのため、実質二択。50%の確率で正答になるのである。
グラスを多くしようかと思ったが、試験方法を変更するのはアンフェアだと思ったので、もう一度3つのグラスで再試験をした。

ぼくはぼくから見て左端から
聖水。水道水。ミネラルウォーターの順に並べた。

父はさっきと同じように右端から順に飲んでいった。

すべて飲み終わると自信満々で1つのコップを無言で指差した。
よっぽど味に違いがあったのだろう。

父が指差したコップはミネラルウォーターが入ったコップだった。
そう、これが一番美味しいに決まっている。

父「あたり?!」

ぼく「んーどうだろうね。」

父「やっぱりね。おまえ負けず嫌いだからな。」

父がすごく喜んでしまった。
なんとなく不正解だと告げる勇気が無かったので告げることができなかった。

後日兄に伝えた。
抱腹絶倒とはこの事かと思った。

兄とぼくはすっかりミネラルウォーターが好きになった。

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