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「論理的な思考で事件を解決する~『だから論理少女は嘘をつく (頭が良くなるライトノベル!) 』~」【YA㉑】

『だから論理少女は嘘をつく (頭が良くなるライトノベル!) 』中村 一也 著 (自由国民社)
                          2017.12.9読了

久々に頭をフル回転させながら読みました。
と言っても、そこまで難しいというわけではなく、最近錆びついていた老齢の乙女の頭脳が活性化される本でした。
 
サブタイトルにあるように、物語自体はラノベ的な設定と展開です。
文章の運びももちろんそうなので、すごく読みやすい。
 
あの「不思議の国のアリス」を柱としてお話が転んでいく中で、ふいにコミュニケーション能力を試されるがごとく、論理的思考を学びながら高校生たちが奇妙な事件に挑んでいきます。
 
 
主人公はごく普通の特別取り柄のない高校二年生の識名礼介。
彼は「アリス研究部」という「不思議の国のアリス」を研究しているという名目ですが、ほぼおしゃべりとお茶をするだけのゆる~い部活に入っています。
文化祭の前になってようやく、本格的に論文を発表するための会議を持つ程度のものです。
他の部員には外国人のマノン先輩とその彼氏である足立先輩、幼馴染で一年生の藤村小鳥と、同級生でいつも冷徹な(とくに礼介には厳しい)美少女・姫島瀬里香が部員として籍を置いています。
 
 
ある日突然、礼介の前に奇妙なシルクハットをかぶった男が現れ、
「にっき、にっきは知らないか?」と言いながら迫ってきますが、そのこと自体を礼介は気のせいだと思い込むのです。
人間、急な変化と訳の分からない新しい現象に頭がついていかないと、現実逃避に走ってしまうのでしょうか?
 
しかしその後、校内に「ルイス・キャロルの秘密の日記が学校から盗まれた」旨の内容が書き込まれた怪文書が張り出されます。
そして、一人の男性教師が屋上から落ちてきて重症を負うという事件まで発生してしまいます。
 
次々と起こる奇妙な事件を不信に思う生徒たち。
 
そんな中、臨時教員の響が現代文の授業で、物事の論理的な考え方についてレクチャーをしてくれます。
それに加えて、数学が異常に得意な姫島が、礼介に対して論理的思考の技術を体得するための特訓をするのです。
その内容は滝行をしたり、ボクシングジムでスパーリングしたり、姫島の家で雑巾がけをしながらという、まさに普通やらないような体験を強烈にさせることで、その中で考えたことをしっかりと体と脳で覚えさせるというやり方でした。
 
おかげで礼介はそれまでのぼんやりとした日常とは打って変わって、教えられたとおり物事を論理的に考えられるようになるのです。
でも、なぜ姫島は礼介にそのようなことをさせたのでしょうか…?
 
 
・論理的思考のピラミッド構造。
・“演繹と帰納”、“MECE(モレなくダブリなくという意味らしい)”、“論理的結論を導く2つの批判(モレがないか、本当にそう言えるのか)”。
これらの考え方を授業や姫島のレクチャーで学んでいく礼介。
 
 
私が「アリスシンドローム」という言葉や、「ルイス・キャロルにまつわる秘話」など知らなかったこともあり、とても勉強になりました。
ただ、礼介のようにすぐにその論理的思考を現実に当てはめて考えることは、なかなかに難しいかなと思いました。まだまだ私は修行がたりないのでしょうね。
 
論理的に考える…って、国語も数学もできないといけないのですね。
学習を文系と理系に分けて、自分は文系だから云々とは、なんともあさましいと思えました。
深く考えることを疎まなければ、数学も理解できるようになるのかもしれないですね。
 
著者は高等教育を学び、せめてそれをみんなが知っている「不思議の国のアリス」をモチーフにして私たち凡人にもわかりやすく教えてくれています。
これを早いうちに学べば、就職や受験や、社会に出てからも応用がきいて人間関係を少しはスムーズに運べるのかしら…。


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