見出し画像

「病を治する」を考える

病とは何か

そもそも、「病む」とは何でしょうか。

具合が悪いこと、痛みがあること、熱が出ること、咳が出ること、発疹が出ること、病院で病名がつけられること・・・

こういったことを、一概に「病んでいる」という言葉で表現することは滅多にないと思います。
近年は、精神的に落ち込み過ぎていたり、あくまで一般的な「普通」とは違う言動をする方に対して「病んでいる」と使われているケースもあります。

「病とは何か」
医療者は、さまざまな答えや方針を持って日々の業務に従事しています。
私自身も、自問自答だったり、同僚との論議、患者様とのやり取りの中で、長いこと考えてきました。

これは、単純に

痛みが出たから薬で痛みを止めて、その薬によって胃がやられたから胃薬を飲んで・・・というやり方を繰り返すだけでは、病が何か、ということを深く議論することは難しいかもしれません。

なぜ、今このようなことが身体に起こっているのか・・・

その見方ができると、身体と会話するように、細胞の呼吸が聞こえるように、小さな身体の動きが見えるようになります。

「肉体が病む」ことと「精神的に病む」ことはイコールで結ぶことはできません。
これまで、多くの「患者様」にお会いしました。
業務上でなくとも、家族や友人、知人の病に出逢い、その人の日常に触れることでそれはより深い確信になっています。

肉体的な病を持っているかたが、肉体的に健康な人に劣るかというとそうではありません。

むしろ、肉体的苦痛や不便を受け入れ、その方なりの工夫ややり方を生み出して生活している姿は、何も不便なく痛みも知らずにいることよりも余程の深みと強さが感じられます。

「陽根干陰、陰根干陽」

陽の基は陰にあり、陰の基は陽にあり

という言葉が漢方の世界にはあります。

日がさせば影ができ、息を吐くからまた吸うことができるように、陰と陽は互いに依存しあうことで存在しています。

「死」を意識するからこそ、本質的な意味で「生」を意識できるようになりますし、

「苦痛」というのは、これまでの「安楽」を知っているからこそわかるものです。

こういった視点で考えた時には、「病」とは単に闘うべき対象、悪いもの、という見方ではなく

これまでの生き方を知るための

何のバランスが崩れているかに気が付くための

何を我慢してきたか思い出すための

どう生きたかったを考えるための

重要な「事象」であることに気がつけることと思います。
つまりは、これをきっかけに、よりその人らしく生きることが可能だと言い換えることもできるのです。

見えざる証あり、見え難き証あり

目に見えて明らかな症状や体質は、他人だけでなく自分自身でも自覚できることがほとんどです。

ですが、本当に重要なことは意外と目に見えません。

外側にいる他人が、こうするとよい、ああすれば大丈夫といって本質的に治すことができるものでしょうか。

他人の助言も、西洋薬も、漢方薬も、「治す」道を行くための「杖」に過ぎません。

「治す」というゴールを目指すためには、自分自身の足であり、意思であり、肉体の力が必要です。これをおおまかに「自然治癒力」と現すこともできると思います。

この、目に見えないものと、これまで見ずにいたものと、

いかに向き合うことができるか。

ここが、大きな分かれ道です。

治す、直す、療す・・・

ここで、気をつけなければならないのは

「治す」とは病巣を取り除く、なくする、肉体的に完全な状態になる、

ということでないことはないということです。

先ほどの、「病とは何か」で考察したように、「病」は例えば陰陽の陰、パズルの1ピース、裏表の裏面だけに過ぎません。

その反対側、その「対」と一つに繋がることが「治る」ではないかと私は考えます。

生まれ持って、「病」を抱いて生まれる方も居て、
同じ「病」でも病に死す方とそれを抱えたまま長生きする方も居ます。

不治の「病」の診断を受けても、肉体的に健康な人よりも、余程元気に・・・ある意味で「健康に」生きている方もいらっしゃいます。

結局のところ、いかに自分自身の弱い部分、偏った部分を知り、
どのように人生を送っていきたいのか、に尽きると思います。

それによって、選択するものが全く違います。

医療者としての知識は、これが正解だ、これが正しいと振りかざせるものでは決してありません。

治療を受けられる人の意思やライフスタイルに寄り添いながら、最善の方法をご提案したり、一緒に道を模索していく

だからこそ、医療と哲学は切り離せない・・・と常々感じます。

そうでなければ、自分自身の善や正義を元に「病を消し去る」ことに躍起になって、本当に大切な「いのち」を見失いかねません。

「病」も、その人の身体から生まれたものです。
本当に、深く見つめられるのはその人自身だけです。

その時間を、草薬庵 nature flowではご提供させていただきたく、日々精進させていただいております。

今日も多くの出逢いに感謝・・・🌿
不調の際、困った際に、草薬庵 nature flowを思い出してご連絡してくださるお客様、ありがとうございます。

ぜひお悩みの際はお気軽にご連絡くださいませ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?