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【中小企業にこそブランディングを!】『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』

こんにちは、独立診断士を目指す30代、そうきちです。

デザイン経営ブランディングを自社に取り入れる上での考え方から方法論までとても分かりやすく解説された書籍があったため、内容の紹介と自分なりの理解について書いてみたいと思います。

タイトルにある、"ニューヨーク"、"アートディレクター"、"ビジネスリーダー"といった単語から、自分には縁遠いものとして敬遠してしまいそうですが、本書を読むとブランディングは予算に限りがある中小企業にとって非常に有効な経営戦略であることが分かりますので敬遠せずにぜひ手に取ってみてもらいたいです。

デザイン=問題解決

"デザイン"と聞くと、美しい家具、おしゃれなカフェの店舗、iPhoneやdysonといったプロダクトデザインなどを思い浮かべますが、それはデザインのプロセスにおける一部に過ぎません。

本書の中でデザインとは以下の一連のプロセスだと定義されています。

私たちにとって「デザインする」とは
● クライアントをよく観察し
● 課題や問題点や強みを見極め
● オーディエンスや時代、市場を考慮し
● 問題解決する方法を柔軟にクリエイティブに
  考え出し
● それを可視化して伝わるかたちに落とし込んで
  いく
ということです。

ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

日本において"デザインする"ことは、プロセスの一番最後にあたる「見た目の良いものをつくること」と捉えられることが多いですが、世界的には一連の問題解決プロセス全体が"デザインする"ことだと認識されています。

このデザインの定義に関して、以前のnoteで書いた"戦略"、"システム"と紐づけて整理してみました。

筆者作成

デザイン / 戦略 / システム思考に共通する考え方は、
「何らかの問題を解決する手段であること」
「相互に関連した要素を、一貫性を持ったひとまとまりの実態として構成すること」
であり、対象を限定しない"デザイン思考"に対して、経営に焦点を当てた場合を"戦略思考"、ITに焦点を当てた場合を"システム思考"と整理しました。
(あくまで自分なりの解釈です。)


※戦略とシステムについては以下記事参照


では、"デザイン経営"における問題解決手段である"ブランディング"によって解決できる経営課題とは一体何でしょうか?

ブランディングの目的は競争からの脱却

本書の中で、ブランディングのゴールはお客さまにファンになってもらうことという記載があります。

時代や環境、顧客ニーズを考えながら、戦略的に企業や商品やサービスのもつ「らしさ=個性」を引き出し、その価値をお客さまに与える総合体験の全てにおいて正しく演出し、効果的に伝わるかたちに落とし込むこと。これをブランディングと言います。そしてブランディングのゴールはお客さまにファンになってもらうこと。その結果、リピートして商品やサービスを継続購入してくださるロイヤルカスタマーとなります。

ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

長年に渡って、市場を定義し競合を分析した上で差別化を図って競争優位を勝ち取るという競争戦略型のビジネスのやり方が主流とされてきましたが、近年では、企業や商品/サービスの持つ個性や企業理念に焦点を当て、その価値を押し出したビジネスが増えてきています。

「ミレニアル世代の10人中9人が、
そのビジョンに共感できるか否かによって
購入するブランドを選んでいる、という事実。」

本書の帯にこのような記載がありますが、これからの時代はBtoB / BtoC、企業規模の大小を問わず、自社のブランディングについて考えていく必要があるのではないでしょうか。

パーパス(自社視点)とブランディング(顧客視点)

自社の理念やビジョンに共感してくれるファンを獲得することで市場の競争から脱却することがブランディングの目的です。

自社の理念やパーパス、ビジョンを策定し、様々なバックグラウンドを持つ自社の従業員や投資家などの多様なステークホルダーをまとめる経営戦略である"パーパス経営"と共通する部分があり、混同しやすいため両者の関係性を図で整理してみました。

筆者作成

パーパス(本書内では「CI:コーポレート・アイデンティティ」と記載)が自社の視点から「企業のメッセージを広く伝える」ことを目的とし、ターゲット・オーディエンスを設定しない一方、
ブランディングにおいては具体的にターゲット・オーディエンスを設定し、顧客の視点から考えることが最大の違いです。

他の企業にはない、自社の個性や強みを顧客に発信し、共感してもらうことで競争相手のいない / 少ないマーケットで自分らしくビジネスができることにつながっていきます。


※パーパス経営については以下記事参照


おわりに

『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』を読んで、"デザイン経営"、"ブランディング"の目的や考え方について整理してみました。

本書の中ではより具体的にブランディングを進めていくためのプロセスや、実際のブランディング事例についても記載されているため、気になった方はぜひ読んでみてください。

また、中小企業診断士として独立するためにはクライアント企業のブランディング、自分自身のブランディングを行うスキルが必要だと感じたので、本書に記載されているブランディングのエクササイズにも挑戦してみたいと思います。(こちらについては、気が向いたらまた別の記事で書いてみます。)


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