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努力の壺

中学時代の担任が学級通信に載せていた文章。

 目の前に大きな壺があります。子どもがそのまま入ってしまうような大きな大きな土製の壺です。その壺には「テストで90点を取りたい」「国語の成績を上げたい」「英語検定に合格したい」という札が付けられています。その札こそが、みなさん1人1人が抱いている目標なのです。その壺に、1日勉強するたびにコップ1杯の水が入れられます。つまりコップの水が、努力なのです。
 最初のうちは水を入れても水を入れても、水が増えた気配すら感じられません。中にどれくらい水がたまったかを見たくても、土でできた壺なので伺い知ることもできません。
人間には、弱い心があります。途中、「自分には才能がないのでは?」「無駄な努力はやめてしまおう。その方が楽になる!」「どんなに努力しても全然変わらないのだから、自分には向いていないんだ」と自分自身の努力に疑問を持つようになります。そして、コップに水を入れることをやめてしまうのです。
強い心を持った人もいます。
 つまり、弱い心を克服できる人です。「自分は向いていないのではないか?」という悪魔のささやきにも負けず、初心を貫ける人です。毎日コップで水を入れていると、あるとき、水の音が変わってきたことに気が付きます。水を入れたら、「ポチャン!」という音がするのです。その音から、たしかに水がたまっていることを知ります。こうなると、コップで水を入れるのが楽しくて仕方なくなります。今まで1杯入れるのがやっとだったのに、「たまってきている」と実感できたことで2杯分3杯分の努力を惜しみなくできるようになります。他の人が見たら「すごい努力だ!」と思うことも、その人にとっては呼吸すること、食事をとることと同じように当たり前のことに感じられるようになります。こうなれば、努力を「努力」と思うのではなく、生活の一部として取り組むことができるようになります。これが自信につながるのです。そして、いつかは壺から水があふれ出すときがきます。このとき初めて、努力の大切さを知ることができるのです。
 みなさんは、どんな札を大きな大きな壺に貼りますか?そして、コップに入った水を何回入れ続けることができますか?もし、札に書かれた目標を見失いそうになったとき、「もう少し続ければ、きっと水があふれ出すはずだ!」と思ってください。あふれた水の量が自信です。
『努力の壺』

来月から新学期。
改めてこれからの自分自身の目標を立ててみようと思う。

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