響け!ユーフォニアム3【アニメ感想文&最終話予想】
6/23(日)放送の『響け!ユーフォニアム3』12話。
泣いたよ、泣いた。黄前ちゃん頑張った!麗奈もよーく頑張った!
原作を読んでない私には、この上なく素晴らしい12話でした。
そして4日間かけて見返したよ。1期の1話からw
2015年に放送が始まった本作も、明日6/30(日)が最終話。
ストーリー、演出、演技、作画、どれもが京都アニメーションクオリティ。中だるみなど一切なく、楽しませて頂きました。
さぁ、最終話に残されたのは、全国大会で金賞を取れるのか、黄前ちゃんはどんな進路を選んだのか。
この2つについてこのタイミングだから書けることと、作品の紹介を兼ねて残しておきたいと思います。
ネタバレあります。
だめな方はブラウザバックお願いします。
それと、私は主人公の黄前久美子を「黄前ちゃん」と呼んでますが、けして舐めてるわけではありません。とても人間身のあるかわいい人物なので、最後まで見たら、皆さんも黄前ちゃんと呼びたくなってるはずですw
響け!ユーフォニアム とは
黄前久美子(おおまえ くみこ)は、小学4年生からユーフォニアムを続けてきたものの、特に目標があるわけでもなく、だた惰性で続けてるだけだった。
北宇治高校に進学しクラスメイトに誘われ吹奏楽部を見にいったところ、同じ中学の吹奏楽部でトランペットを吹いていた高坂麗奈(こうさか れいな)がやっててきて見学もせず入部すると言う。
麗奈はこの北宇治高校に明確な目的をもって入学してきたのだった。
こんな始まりの高校の吹奏楽部を舞台としたアニメです。
武田綾乃さんの小説が原作となっています。
公式サイトはこちら
吹奏楽部だけに、練習やコンクール、先輩部員の卒業、新入部員の獲得といった部活ならではの山場はありますが、黄前ちゃんを中心とした人間模様が話の軸になっていて、吹奏楽がわからない方でも楽しめる作品です。
流し見してました
私事ですが、1期1話からリアルタイムで見てたわけでありません。
ちゃんと見返したのは2期が終わってからです。
放送中は、時々TVでに目をやる程度で、ちゃんとみてませんでした。
高校生の青春群像劇やスポ根的な物語だろうという先入観で流してたので、ストーリーもエピソードも画も断片的ににしか残ってませんでしたが、見返すきっかけとになった、深く印象に残ったエピソードがありす。
最終話直前のこのタイミングで感想文を書こうと思ったのは、その印象深いエピソードが、最新の12話できれいに回収されたからです。
1期8話 おまつりトライアングル
それがこの回。
サブタイトル通り、祭りの日のエピソードを描いた日常回です。
普段からそっけない麗奈の態度に加え、中学時代を引きずったままで相変わらず話し掛け辛い黄前ちゃんでしたが、ひょんなことから2人でお祭りに行くことになります。
お祭りといっても、黄前ちゃんはユーフォを、麗奈はトランペットを担いで集合。麗奈の提案というか半ば強制的に大吉山という小さな山を登ります。
薄暗い坂道を先導する麗奈と、その背中を追う黄前ちゃん。
黄前ちゃんに対し思ってたことを、淡々と話し出す麗奈。
想像もしなかった麗奈の素直な言葉に戸惑いつつも、今更この子に取り繕ってもしょうがないと半ば諦めモードぎみのトーンで、思ったままを返す黄前ちゃん。
徐々に噛み合っていく会話と、繊細な表情の変化に引き込まれる、この作品でも随一の名シーンです。
その一部を文字起こししてみました。
「私ほんとはさ、前から思ってたの。
久美子と遊んでみたいなって。」
「えっ!」
「久美子って性格悪いでしょ」
「あ、もしかしてそれ悪口?」
「褒め言葉。」
「中3のコンクールの時、本気で全国行けると思ってたの?
って聞いたんだよ、性格悪いでしょ」
「いや、あれは純粋に気になったから・・・
っていうか・・・、やっぱりそれ悪口」
「違う!これは、愛の告白」
「どう考えても、違うでしょ」
「でも私、久美子のそういうところ気になってたの。前から。」
「好きって言うか、親切な良い子の顔して、
でも本当はどこか冷めてて。」
「だから良い子ちゃんの皮、ペリペリってめくりたいなって」
「それは・・・どういう?」
「わかんないかな?私の愛が」
「高坂さん、ねじれてるよ」
展望台まで登り切ったふたり。
麗奈が言います。
「着いた」
眼下に広がる街の明かりに気づき息を呑む黄前ちゃん。
「はぁ、あ!」
「綺麗だね」
そう言って展望台の端に歩みだす麗奈。
後に続く黄前ちゃん。
「うん、高坂さんはこれが見たかったの?」
「見たかったって言うとちょっと違うけど」
「他人と違うことがしたかったの。」
「ねえ、お祭りの日に山に登るなんて馬鹿なこと、
他の人達はしないよね?」
「うん、まあ」
「久美子なら、わかってくれると思って。」
「私、興味ない人とは無理に仲良くなろうと思わない。」
「誰かと同じで安心するなんて、馬鹿げてる。」
「当たり前に出来上がってる人の流れに、抵抗したいの。」
「全部は難しいけど、でも、わかるでしょ?
そういう意味不明な気持ち。」
「うん、わかるよ。高坂さんの気持ち。」
「麗奈」
そう呼べと言わんばかりに黄前ちゃんの額に人差指をあてる麗奈。
そして口に出してみる黄前ちゃん。
「麗奈」
「私、特別になりたいの。他の奴らと、同じになりたくない。」
「だから私は、トランペットをやってる。特別になるために。」
「トランペットやったら、特別になれるの?」
「なれる!」
「もっと練習してもっと上手くなれば、もっと特別になれる。」
「自分は特別だと思ってるだけのヤツじゃない。」
「本物の特別になる!」
そう言うと、抑えてた何かを緩めるように笑い出す麗奈。
「ふふっ、ふふふふ、ふふふふふ」
「やっぱり久美子は性格悪い。」
そう言って見せたことのない笑顔になる麗奈。
この後、ふたりは楽器を取り出し、中学の送別会で演った曲を合わせます。
待ち合わせから合奏まで10分ほどのこのくだりで、この作品で描こうとしてるのは、黄前ちゃんと麗奈、2人の物語。
ココがその始まりなのだと感じました。
メタ視点でいうと、坂道はこれからふたりが歩む道であり、それを先導する麗奈とその背中を見てる黄前ちゃんという構図。
ツンケンして見えてた麗奈の態度は、別に性格が悪いわけではなく、思ったことを素直に口にしてるだけ。彼女には明確な目標があり、それ以外の全ても目標に注いでいるからそう見えるのだと気づく黄前ちゃんです。
私と違って麗奈は本当に思ってることしか言わない、その場を取り繕ったり、信念を曲げたりしない。麗奈のことが少しわかったのでした。
そしてこうも思ったはず、
麗奈が見てる景色を見てみたい
麗奈の方はというと、山を登るというのにワンピースにヒールという、完全にデートの出で立ちで待ち合わせに現れます。
端から見たら場違いこの上ありません。
麗奈にしてみれば、前々から興味があった黄前ちゃんの誘いに変な格好では行けないと考えたのでしょう。完全に勝負服。
愛の告白というのもあながち間違いではありませんw
麗奈が興味を持ったのは、中学最後のコンクールで黄前ちゃんが言ったあの一言がきっかけでしょう。
「本気で全国行けると思ってたの?」
黄前ちゃんは時々、思ってることをそのまま口に出してしまうことがあるので、この時もそうだったのでしょう。
「バカにしてんのかこいつ、絶対に仕返ししてやる」
こう思ったかも知れませんw
ただ、これだけなら、
目標に向かって真っ直ぐな麗奈は無視するだけです。
なので、この言葉はあくまでもきっかけ。
ならば興味をもった要因は何か?
ひとつは、謝らなかったこと。
つまりは、本当に知りたかっただけで、悪気でも嫌味でもないと気づいたから。
これは高校で再会し、普段の抜けてる黄前ちゃんを見てのことでしょう。
そして、これが興味を惹いた最も有力な要因。
この作品に似たような言い回しで何度も登場するこのくだり。
音は嘘をつけない
少なくともどうでもいいと思ってる演奏じゃない
中学の時から上級生を差し置いてコンクールメンバーに選ばれていた黄前ちゃん。上手くなりたいと思い真面目に練習してたのは麗奈も知ってたはず。
その姿勢は高校になっても変わってなかった。
いつもその場を取り繕う曖昧な態度を取っていながら、芯はしっかり隠し持っていて、演奏にも真摯に向き合ってる。
この子とは話が通じそう。同じ年齢で同じ目標に向かって歩めるかも。
そんな勘が働いたのでしょう。
それが、良い子ちゃんの皮ペリペリってめくりたいとう、茶目っ気とSっ気を含んだ言葉に表れてます。
思ってたことを話し切り、黄前ちゃんが興味を持ってくれたことで、勘は確信に変わり、こう思ったことでしょう。
思ってた通り、久美子も私サイドだった
この確信が、笑い声と笑顔に表れ、最後の言葉に繋がります。
やっぱり久美子は性格悪い
性格悪いと思われているであろうことも自覚してる麗奈にとって、性格悪い=特別。なのでこれは最高の褒め言葉。麗奈は正直ですからw
8話では麗奈の背中を追う黄前ちゃんという構図でしたが、これ以降は向き合うようになり、事ある度に大吉山で大切な話をします。
ふたりは全国大会で金賞をとるという誓いを立て、日々奮闘する姿がこの後のお話しとなります。奮闘といってもスポ根的な表現はされません。
吹奏楽部を軸にしながらも、先輩・後輩・家族との関係、恋のこと、将来のことなど、リアルな高校生の日常を通して、ふたりがお互いを特別な存在と自覚し、高め合っていく様子が、繊細な絵と会話で紡がれていくという表現がしっくりきます。
そして、これらを受けての最新話がこれでした。
3期12話 さいごのソリスト
黄前ちゃんと、3年になって転校してきた黒江真由のふたりが、ユーフォのソリスト獲得に挑む、最後のオーディションです。
オーディション方法を直訴する黄前ちゃんと滝先生の会話
いやみな存在として描かれてきた黒江真由との
オーディション直前の会話
オーディション結果を左右する麗奈の決断
オーディション結果をうけ、
部長として部員を鼓舞する黄前ちゃんの意思表明
やっぱり最後は、大吉山でおちあう黄前ちゃんと麗奈
どのシーンも、どの会話もエモすぎて、涙が止まりません。
8話で始まったふたりの物語がココに着地したのだと納得しましたし、心底これが最終回で良いと思った12話でした。
といっても、あと1話残ってます。
全国大会で金賞を取れるか
最終話に残されたのは、全国大会で金賞を取れるかどうか。
金賞取って皆の努力が報われるハッピーエンドが最高だけど。
もし取れなかったら、落ち込む部員たちに対し、黄前ちゃんが言うはずです。先輩達の思いも背負いながら。誇らしげに。
「私達は今日、最高の演奏をしました!・・・」
後から悔しいって泣くんだろうけど。
正直、結果はどちらでも良い。
明日の全国大会は、コンクールメンバー全員で舞台に立ち、全てを出し切ったと心から誇れる最高の演奏が出来ることを祈ってます。
これは、予想じゃない、希望だなw
黄前ちゃんは何を選んだか
残すは、黄前ちゃんの進路です。
もうすでに決めてます。決めてから望んだ最終オーディションでした。
黄前ちゃんが滝先生にオーディション方法を直訴したシーンがありました。その翌日には担任の軍曹先生に「予想通りすぎて、つまらん」と言わしめる進路希望を出してます。
滝先生に最後にした質問はカットされ、オーディションの結果発表後に差し込まれて、オーディション結果を受けた黄前ちゃんが部長の責務を果たす演出に繋がってました。
オーディション前、「ちゃんと聴いてほしい。それで、良いと思った方に入れて欲しい」と奏ちゃんに言った言葉にも、黒江真由との会話にも、
黄前ちゃんに一切迷いは感じられません。
滝先生に投げた質問と答えが
進路決定の決め手になったのは間違いないでしょう。
「あ、あの、先生にとって理想の人ってどういう人ですか?」
「そうですね、正しい人でしょうか。」
「本当の意味での正しさは皆に平等ですから。」
「黄前さんはどんな大人になりたいですか?」
「私は、私も、そんな人になりたいです!」
ユーフォニアム奏者をしてる自分が想像できない時点で、音大や麗奈と共に留学という道は本当に無いとして、提出した進路希望に対し軍曹先生が「後で資料を渡す」と言ったので、どこかに進学するのでしょう。
黄前ちゃんが言うそんな人とは、どんな人のことでしょう?
私はこう思います。
麗奈と再会した時、胸を張って向き合える
そんな自分でいれる進学先を選んだはずです。
加えて「私は」を「私も」に言い直してしてるのは、そういう人が身近に居るということでしょう。
これらから推測する黄前ちゃんが選んだ道は、
教師
一般的に、警察官や弁護士といった職業も、法の下に正しい人、ではありますがそんな人は登場してませんし、そもそも、麗奈と共にやってきたのは、
目標に向かって正しいと思う道を選択し貫くこと
いまさら法律の出番はありません。
滝先生、軍曹先生、おふたりとも一貫して真直ぐで平等でした。
教師という職業ならば、奏者をやめても自分を誇れる生き方が出来る、しいては麗奈と正面切って向き合えると考えたのではないか、というのが私の予想です。
将来、どこかの学校の吹奏楽部顧問となり、合宿の応援として麗奈を呼ぶとか、胸熱な未来もありえます。
黄前ちゃんも麗奈も、幸せになってほしいな。
以上、響け!ユーフォニアムのご紹介と、最終話予想でした。
心の底から素晴らしいと思える名作です。
明日の最終話が終わったら、多分また1話から観ると思いますw
最終話の放送は、NHK Eテレで 6/30 17:00 からです。
ではまた、enjoy!
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