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微生物と仲良くなる。。消毒ジェルと発酵食品

春ですね

まだ肌寒い日も多いとはいえ、私が住むイギリスでも春の兆しが感じられるようになりました。日本でも場所によって桜開花宣言が出されたことと思いますが、ここイギリスの春の風物詩はクロッカスと水仙。水仙は家々の庭で育てるだけでなく、家の中に飾ったり、そして公園や道路端にも満開です。

先日用事で人里離れた道路で車を走らせていたら、目の前を20頭位、小鹿の群れがどどーっと横切っていき、そんな体験は初めてだったのでびっくり。その一心不乱に前だけ向いて走っている姿から、「いのち!いのち!」という声が聞こえてくるようで感動的でした。あっけにとられて写真が撮れなかったのがやや残念。

「増やす力」と「抑える力」

さて、コロナ対策として手や公共の場所の消毒がどこの国でも以前よりも徹底されてきました。その関連で友人たちと「体に良い常在菌はどうなるのだろう〜?」などと話す機会があったのですが、何の目的で、どこまで何を消すのか、生かすのか、悩ましいところでもあります。

人間の体内も、そして自然界も「育てる、増やす、積み上げる」力 (anabolism)と「抑える、壊す、削っていく」力 (catabolism)という大切なはたらきが常に拮抗したり微妙なバランスをとろうとしています。たとえば人智学の発達理論などでは子供が育つ様(さま)を説明するにあたって(私なりの解釈で平たく言うと)「14歳くらいまでむくむくっと育つはたらきが強く、思春期になると今度は彫刻師のようなはたらきが出てきて美しく削っていく」といった考え方をしたりします。

ウィルスやバクテリアの対策がかえってそれらを強くしてしまう、ということも巷で言われていますが、「増やしていく力と抑える力の拮抗やバランスをどこで決着つけるのか」「人為で介入したらよいのはどこからどこまでなのか」などは様々な分野や生き方にも関わる難題で、人類がずっと模索していくべきテーマなのではと感じます。上記の鹿さんたちも、生態系の破壊のせいですごいことになっている可能性もあり、近くの農家の方たちは共生が大変かもしれません。

味方になってくれる微生物

感染症対策に関しては、各自が「自分と外界とのコミュニケーション能力」である免疫力をつけていくことが本当に大事だと感じます。ウィルスが騒がれていますが、同じ微生物がらみでも免疫力アップを助けてくれると言われているありがたいものとして発酵食品が挙げられます。発酵食品はそれ自体、生と死の絶妙なバランスの上に成り立っているのでは、と思ったりもします。

ルーマニアの発酵食品事情

各国、各文化に独自の素晴らしい発酵食品文化がありますが、私の家族の出身地ルーマニアではどのお宅でも秋の収穫期に冬のビタミン補給に備えてきゅうり、収穫後に残った完熟していない青トマトや赤トマト、すいか、きゃべつなどを巨大な樽で塩漬け・乳酸発酵させて保存します。大航海時代にこの手法で作ったザワークラウトを船に持ち込むようになってから壊血病で亡くなる人がいなくなった、と言われるほどのパワー食品です。

青いトマトの漬物は、切るとどろろーんと糸をひき、 いまだに慣れることができません(納豆は平気なのに)。また、籾殻を発酵させた「ボルシ」(下の写真。。半分空ですが)という酸味のある水をスープに入れたりもしますが、こちらは私でもいける味で、我が家も常備しています。ルーマニアの方たちに、「大丈夫かな。。。?」と思いつつお味噌汁を供すると、たいがい「ボルシのスープと似ておいしい」と言っていただけるのが面白いです。

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甘酒、ヨーグルトづくりを始めてみました

私はやはり日本人なので先祖代々お世話になった日本の発酵食品が体に合うような気がします。というわけで、友人がSNSで紹介していたのに触発され、甘酒づくりを始めてみました。 こんなに簡単でおいしいならもっと早く始めておけばよかったです。近くのお寿司屋さん兼日本食材店で乾燥麹が入手できて本当にラッキー(涙)。でも日本よりかなり高いのがちょっと残念。。

調子にのって、30年位ぶりにヨーグルトづくりも再開しました。イギリスでは家のつくりのタイプによって、ボイラーで温まった温水を貯めたタンクを覆ったairing cupboardと呼ばれる戸棚があります。airingというのは「洗濯物を干すための」みたいな意味でcupboardは戸棚です。この温かすぎて怪しげな戸棚、最初は警戒して使っていなかったのですが、なんとヨーグルトづくりに最適ということを引っ越して数年目にして発見してしまいました!

種のヨーグルト菌に少し温めた乳製品を混ぜて放置しておくだけ。牛乳は体に合わないので、こちらでは入手しやすい(人間の体と相性が良いと言われる)やぎのミルクなどで作っています。豆乳のヨーグルトというのも初めて作ってみて一応成功したのですが、香りがちょっと。。ということで、これならわりと豆乳臭くなく食べられるというディップにしたりしています。レシピというほどのものではないですが、水切りヨーグルトと香辛料さえあれば1分もあればできるものをこちらにアップしましたので、よろしければお試しください。体に良いはずの発酵食品も種類や量や体質、体調によって作用が違うようですので、摂取に際しては体との相談でお願いいたします。

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甘酒を飲むたびに、「助けてくれる微生物や自然界と持ちつ持たれつつの共存共生」ということに思いを馳せていきたいと思っています。変化が大きく早い今日このごろ、皆様の心身の健康を心よりお祈りしております。

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