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パンデミックで覚えた死ぬ覚悟と生きる希望

松山千春「友よ」を聴いてアンナチュラルを見て考えた生きることと死ぬことと大切な価値観

 法医学の解剖医が主人公のドラマの再放送を偶然に見た。不自然死の原因を究明するこの仕事。すっかり内容を忘れていたが2018年に「名前のない毒」というタイトルでMERSコロナウィルスに関したエピソードで死因を究明する内容であった。当時は海外の自分の身に関連しないあまり現実味のないテーマと思い、他人事のようにこのドラマを見ていた。
 ドラマの中では感染拡大をさせたとされる亡くなった人物が誹謗中傷のまとになっていた。名前も顔写真も家族も特定され、SNSで拡散され家族への弾圧も増していく。関係各施設や関係者は本当のことをひた隠しにし責任の所在から逃げ通そうとしていた。
 それから1年後にの2019年に現実の社会でコビット19が少しずつ蔓延し、2020年の初めに部分的な緊急事態宣言が発令された。それから3年間ほどあの重たい空気と暗い時間を過ごし、この2024年に改めてこのドラマを見ることによって、ドラマのひとつひとつ、各登場人物のセリフ、出来事や戦いが驚くほどにリアルに僕の胸の中へ染み渡り、昨晩はなかなか寝付けられずに朝を迎えた。

自粛生活の中で見えてきた価値観

 僕はあのパンデミックの中で実は死ぬ覚悟がなんとなく心の中に芽生えていた。これまでの生活の中で行なってきたこと、やるべきことはそれなりに行なってきた。家族へ伝えない大切なものはそれとなく伝えてきたつもり。クリスマスのサンタの手紙の中で大切なもの、これから生きていく上で守るべきもの、今目の前に起こる中で必要なこと。死ぬ覚悟というよりも、無様な格好で自分の価値観を失ってまで生きるのは少し嫌だという気持ちが芽生えた。
 その感情が湧き上がってきてからは、これまでなんとなくずっと目の前に浮かんでいた、自分の中での大切なもの、無くしてはいけないもの、自分でいられるためのたったひとつのもの。それが確実にはっきりとピントが合い、しっかりとこの目で見ることができた。

奪われた自由の中で本当の自由が見えた日々

 パンデミックで行動に制限がかかり、SNSでの活動がじわじわと増えていく中で、同年代のおやぢ達が昔を思い出して再びギターを手にしはじめていた。それとなく僕もそんな感じでギターを手にし、音楽はすっかりやることから聞くことに変わっていたものが、また自分から発信したり演奏したり、それこそ歌ってみたくなった。
 僕もそれなりに人生を積み重ねているうちに、精神的に病んでしまったことや、身体にダメージをうけて少し日常生活にも手枷、足枷が増えてきた事と反比例して、ものの捉え方、考え方、見方、話し方も少しアップグレードしてきた自負もある。

生きているただそれだけで幸せなんだと

 ただただ陽が沈み、また陽が昇る毎日のなんとも幸せなことか。大切なものが失われていく、見過ごされていく毎日に危惧している、会ったこともない仲間がこの国のいろんなところで、暮らし、誰かの背中を押し、誰かに背中を押され、大切な物を胸に歩んでいる人々がいることを感じられる暖かさ、安らぎ、未来への展望。
 いろいろな価値観がガラッと変わってしまったパンデミックな日々。この価値観の変化が、暗く絶望してしまうこの国の行く末を、新しい価値観と不要な物を排除し、大切なものだけを求め始めた若者達に、僕はこの国の行く末を期待して日々暮らしています。

そんな大切なものと大切なまだ見ぬ仲間と、そろそろ終末を迎える我が人生に共に歩んでいこうと歌いかけてくれる松山千春さんの新曲「友よ」をカバーして歌いました。コード譜と歌詞が掲載されてますので皆様と一緒に歌い継いでいきたいと願います。


#振り返り

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