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【HSPという特性】と【防衛反応】は違う〜HSP概念が間違って伝わっている風潮について

働くHSPが心地よい健康と強みを手に入れる「そういう個と。」プログラム、代表の皆川です。

この記事がバズっていて、現状のHSPをめぐる社会

をとても端的によく表していると思うので取り上げさせてください。

<この記事の要約>


上記の記事には
新入社員がHSPで仕事ができないと相談してきた場合の対応方法についての創作漫画が描かれています。

物語では、真面目で仕事に真摯に取り組む中間管理職の主人公の夫がプロジェクトのリーダーとして新入社員の村西君に仕事を依頼します。
しかし、締め切り前日になって村西君から仕事ができていないと報告があります。
村西君はHSPで他の社員とのコミュニケーションが難しく、主人公の夫に話しかけることができなかったためです。この出来事をきっかけに、主人公の夫と妻であるマミヤさんはそれぞれの対応に反省点があることに気付きます。

漫画には多くのコメントが寄せられ、一部ではHSPであることが仕事の理由にならないと厳しい意見もあります。
しかし、主人公の夫が部下を放置していたことに対しても、部下を気にかけない会社には若い人が集まらないなどの意見があります。主人公の夫とマミヤさんは、コメントの数に驚きながらも、意見を真剣に読みました。

物語では、主人公の夫が村西君に謝罪しつつ、会社ではどんな理由であれ仕事をしないことがないようにと伝えます。
この出来事を通じて、主人公の夫は他の社員の心労につながる対応についても意識するようになります。

最後に、主人公の夫は自身がパワハラに近い対応を受けた経験があり、それを反省して接していたため、部下の不満を聞いたことはなかったそうです。
しかし、今回の出来事を通じて、HSPだけでなく他の部下に対する対応の重要性に気付くことができました。

という内容です。

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<新入社員 村西さんには何が起こっていたのか>

物語は、異なる背景や考え方を持つ新入社員とのコミュニケーションに悩む先輩や上司の難しさを描いていて、現代の社会で起きる問題として
とてもわかりやすい事例だなと思いました。

新入社員の方が小児期に逆境体験があったかは書いていないのですけれど、
ぎりぎりになっても仕事が完了できないことを上司に言えないのは、なぜなんでしょうか?

これまで多くの人は

「それは、その人がそういう性格だから」
「性格は直せないことがほとんどだから、つっこまないほうがいい」

そう思ってきたのではないでしょうか。

「どきどきしてしまって言えない」とか

「無力感がおそってきてしまって言えない」とか

それは誰にでも起きることではありますが

小さい頃から今までをサバイブしていくために身体が起こした、防衛反応です。

お腹がすいていることを言えない(泣けない)赤ちゃんはいません。
その後、どこかの時代で
言えなくなった、できごとがあったと考えるのが妥当です。
それが身体反応から来ていることを証明したのがポリヴェーガル理論です。


会社にも「なんだか大らかに好きなように発言して、まわりを説得しながらなんでも実現していくように見える人」と
「HSPでよく言われる、気にしすぎ、反芻しすぎ」の人もいます。
不思議ですよね。

これらはほんとうに「性格」なのでしょうか。
未来永劫かわらない、彼の基本セッティングなのでしょうか。


社会的には(組織的には)この記事執筆のご夫婦が語り合われたように、
心理的安全性が確保されていなかったかもしれない

→声かけしてあげてもよかったかもしれない、というのはほんとうにすばらしい対話ですね。


人と対話して、心を開いて協力しながら解決していこう!というのは、神経的には腹側迷走神経がオン(優位)になっている状態です。

そして
この当事者の新入社員さん
ご本人にとっては
安心を感じる神経系が育っていない
(→これは神経パターンの問題でご本人の性格ではないので、変えていくことができる)ことがみて取れます。
上司に直前まで言えない、というのはそこに大きな危険や恥を感じている神経系のふるまいであるかもしれないよ、という意味です。


といううえで、今回

人間の身体のしくみとして
なにが起こっていたのか
、ということと

HSPという概念を
多くの人が履き違えているみたい
、ということを
書いてみたいと思います。

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<HSP概念と防衛反応は違う>


HSP(Highly Sensitive Person、過敏な人)は、一部の人々が生まれつき感覚が鋭敏であり、情報の処理がより深いとされる概念です。
一方、トラウマによる防衛反応は、人々が過去のトラウマ体験に基づいて発生する心理的な反応のことを指します。

ポリヴェーガル理論は、イリノイ大学名誉教授Stephen Porgesによって提唱された理論であり、自律神経系の機能に基づいて人間の行動と感情の理解を試みます。この理論をベースにして、HSP特性とトラウマによる防衛反応の違いを説明してみます。

◆神経システムの応答パターンの違い:
HSPの人々は、外部からの刺激により神経システムが敏感に反応する傾向があります。彼らの神経システムは、情報処理の段階で刺激を深く処理し、綿密に分析します。一方、トラウマによる防衛反応は、過去のトラウマ体験に基づいて特定の刺激に対して過敏に反応することを指します。この場合、防衛反応はトラウマを回避するための自己保護の手段として機能します。


◆刺激の起源の違い: HSPの人々は、一般的には生まれつき感じやすい傾向がありますが、特定のトラウマ体験に基づくものではありません。HSPは、さまざまな刺激(音、光、感情など)に敏感に反応する傾向がありますが、これはトラウマによるものではありません。一方、トラウマによる防衛反応は、過去のトラウマ体験に関連する刺激に対して反応します。


◆心理的なプロセスの違い: HSPの人々は、外部刺激を深く処理するため、情報をより綿密に分析し、感情的な反応をより強く経験することがあります。彼らは繊細で共感的である一方、トラウマによる防衛反応は、トラウマ体験によってトラウマによる防衛反応は、トラウマ体験によって形成された防御メカニズムです。トラウマ体験は、個人が極度の苦痛や恐怖を経験し、心の傷を負った出来事です。このような体験によって、人は自己保護のためにさまざまな防衛反応を発展させることがあります。これには、過剰な警戒、回避行動、無意識のトリガーへの反応などが含まれます。


◆HSP特性とトラウマによる防衛反応の違いは、主に起源と心理的プロセスの面で見られます。HSPは生まれつきの特性であり、神経システムの敏感性と情報処理の深さに関連しています。彼らは外部刺激に敏感に反応し、情報を詳細に処理する傾向がありますが、それはトラウマに基づくものではありません。


◆一方、トラウマによる防衛反応は、過去のトラウマ体験によって形成されます。人々はトラウマを経験したことで、特定の刺激や状況に対して過敏に反応するようになります。これは、トラウマを再び経験しないための自己保護の反応として機能します。


◆ポリヴェーガル理論は、HSP特性やトラウマによる防衛反応の理解に役立つ理論的な枠組みですが、それぞれが異なる要素を持っています。HSPは生まれつきの特性であり、刺激の敏感性や情報処理の深さに関連しています。一方、トラウマによる防衛反応は、過去のトラウマ体験に基づいた心理的な反応です。


したがって、HSP特性とトラウマによる防衛反応は、異なる概念であり、起源や心理的プロセスにおいて異なる特徴を持っています。HSPの人々がトラウマによる防衛反応と混同されることは誤解です。


<防衛反応が起こっている人を温かい目で見守る社会>

 

上記の村西くんを、きびしいコメントで非難する方もたくさんいました。


『HSPを免罪符にするな!』
「HSPだというなら、診断書を持ってきた方がいい」
などの自己責任論です。

もちろん仕事の場ですから、どのような過去があろうと
仕事の分担は仕事の分担であって、穴をあけていいものではありません。
けれども早いうちに村西さんは「このままではやばいかも」を感じ取っていたはずです。
でもそれを上司や同僚に言えなかったところに問題があります。

それは村西くんの落ち度と言えるでしょう。


けれども社会にはいろいろな健康状態の人がいます。

防衛反応が起こっている人を温かい目で見られる社会だといいですよね。

HSPが免罪符だ!と叫ぶ方はきっとご自身も苦しい思いをしてるのかもしれない。
余裕が持てない状況なのかもしれない。

責任論ももちろん社会には必要ですが、
ジャッジする方向、「誰に責任があるのか論」は学校教育時代にすでにそのテーマにフォーカスをあてた対話があると、社会にでていく若者に寛容さがでてくるかもしれません。

日本の若者は
『誰の責任』論が強い傾向があると言われます。

世の中にはいろいろな人がいます。
ダイバーシティに関する「感性」や「多様性」をどうを育ててくのかは、学校教育から必要な話題なのかもしれません。
そこまでやって、ようやっと社会が1ミリ動くって感じじゃないでしょうか。

デンマークの1部の学校では普通にやってることですけれど、それをできる教師育成プログラムがまず必要かもですね・・・

議論は卵がさきか、鶏がさきか、に行き着きそうですけれども

みんなで優しい社会を実現したいですね!

それには
相手を弱者ととらえないことも大事ですし
協働して捉える問題、という視点も必要だとわたしは思っています。

防衛反応を持っている人は
「弱い」のではなくて、
防衛反応で生き延びたのです。
ご自身のこれまでのサバイブを思い切り誉めるべきです💌

そしてその人のせいでもない。

ポリヴェーガル理論を知って
心の問題と
社会的行動の関係を知るだけで
社会は寛容になれるのかな?とも思います。

お読みいただきありがとうございます。

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<お知らせ>

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「そういう個と。」プログラム修了生の声

を以下にリンクさせていただきます。

<HSP強みdeワーキング〜洞察系・共感系・感覚系>


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