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金澤流都
2024年5月26日 09:38
キジ太郎一行は、実際に魔族の被害に遭ったという街道から少し離れた街を訪れていた。 そこは旧時代にたいそう栄えたという都市だった。旧時代はこの都市に街道が通っていて、交易で栄えていたという。 しかしその都市はいまでは廃墟であった。猫の姿はない。かつてこの都市では魔族が猫を蹂躙し、猫はこの都市を捨てたのだ。だから街道は別のルートとなり、この都市は忘れ去られた。(おかしい) シャム蔵が呟く
2024年5月19日 09:43
キジ太郎たちは小さな農村を訪れていた。農村は平和そのもので、キジ太郎は自分の暮らしていた村を思い出していた。 畑で働く村人、村猫? たちは忙しそうで、子供たちは読み書きを教える手習い場から元気よく出てきては川遊びをしている。果たして、この村も魔族の害を受けているのだろうか。 一同は村長の家を訪れた。村長はだいぶ毛が抜けてボロボロになった、年老いたハチワレであった。「これはこれは勇者どの
2024年5月12日 09:41
多島海を離れて、キジ太郎たちは草原地帯を歩いていた。風が吹いており、少し寒い。 シャム蔵が歩きながらずっと考えているのにシロベエが気づいて声をかけた。「なぁに難しい顔してんだ?」(……うむ。魔王というのは、われわれを猫たらしめている存在なのではないか? と思ってな)「どういうことだ? 俺にゃさっぱりわからないぞ」(正義の反対は別の正義だ。魔族が魔族としているから我々は猫でいられ
2024年5月5日 09:39
キジ太郎たちは多島海をどう進むか考えていた。泳ぐのは無理だ、自分たちはスナドリネコではない。毛がペショペショになっては元気が出ない。 多島海は魔王の居城のある土地だというのに、とてもきれいな海と島々の散らばる場所だった。キジ太郎は浜辺に小屋が建っているのに気付いた。みんなで近寄ってみる。 中ではシャム猫が1人瞑想をしていた。小屋の周りを見るにどうやら漁師のようだ。小さな手漕ぎ船や魚網などが置