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役者だった僕がセラピストに転身した理由

「役者をやめてセラピストになろうと決めたのは何故ですか?」

前職では舞台に立っていた僕が、度々いただくご質問です。簡単に端折りながら話しますね。

僕自身も20代の頃にパニック障害を経験したり、養育環境で父との確執があったりと、自分の「心」に向き合う機会はありましたが、仕事にした大きなきっかけは2つです。

ひとつは親友の自殺。もうひとつは、東日本大震災です。心のことを生業にしようと強く思ったのは、この2つの出来事があった頃かな。


東日本大震災が起こった2011年。役者同士で協力して東北に赴いたことがありました。

当時、僕が所属していたのは海外の戯曲や名作をモチーフに表現する劇団。舞台を通じて、観客の方々からの反響を肌身で感じる機会が多かった僕達は、見る人にエネルギーを与えることができる仕事だという自負がありました。

表現を通じて、被災地の方々に少しでも元気になってもらえたら… そう思っていたのです。


しかし、向かった先で直面したのは、そんなことができる場所さえないほどに荒れ果てた地でした。あるのは瓦礫ばかり。


ものすごいショックで… 状況の深刻さを理解できていなかった無力感に苛まれて。避難所になっていた体育館の裏で泣いてたな。

結局、現地にいたボランティアの方に導かれ、瓦礫を拾うなどの手伝いくらいしか出来ませんでした。


そんな時、避難所で被災者の方々と向き合って話を聞いている人達を目にしたのです。

「何してる人達だろう」そう思ってボランティアの方に尋ねてみると、「あ、あれはカウンセラーの人達だよ」って。


大きな自然災害に見舞われた方の中には、PTSDを患う方も少なくありません。適切なタイミングでケアすることで、症状の悪化や長期化を防ぐことができます。


あぁ、こんな形での社会貢献もあるんだ。目に見える形での救助も大切だけれど、「心の被災」に寄り添うことでたくさんの方々のお力になれるのっていいな。

カウンセラーというお仕事に興味が湧いたのはこの時です。

心のことについて勉強しようかな

そう思った矢先のことでした。親友が自殺したのは。


親友が亡くなる前日の夜。電話に着信履歴が残っていました。

その前から、よく電話で彼の話を聞いていました。受話器を受け取ると毎回のように長電話。仕事で疲れて帰ってきた日、億劫になった僕は電話に出ることをためらうようになっていたのです。

あの時、話を聞いていれば…
当時の僕は自分を責めました。


後日、共通の友人から聞いた話によれば、

実は、彼はうつ病の診断を受けていた。通院して薬を飲んでも思うように回復せず、結局、お酒やオーバードーズ(薬を大量に飲むこと)に走ったのだと。


それを聞いて「ああ、そうだな…」

僕自身も昔、パニック障害で通院していた頃、薬を飲むだけでは変化が実感できなかったことを思い出しました。

薬だけに頼ることなく、心を楽にしていくために何かできないだろうか。


当時、役者の経験を活かして起業した僕は、演劇界や話し方の講師として事業を展開していました。ですが、「演技に関するお仕事はこの辺で終わりにして、心理学やメンタルケアの世界に入ってみよう」と決意。


発端はそんな悲しい出来事だったけれど、いざ心の勉強を始めてみると、とにかく楽しい! 面白い。

楽しく学んだ知識やスキルで、悩める方々のお役に立てる。涙を流していたクライアントさんが笑顔に変わる瞬間に立ち会える。それがすごく嬉しかったし、とてもやり甲斐を感じました。


だから「辞めよう」と思って役者を辞めたのではなく、「これまでやっていたことよりも心のケアに携わることをやってみようかな」という気持ちが大きかったかな。


学生時代からの親友への罪滅ぼしと、被災地で感じた無力感から始まった、心理セラピストのお仕事。

でも、学びの過程で自分の心や過去と向き合うにつれ、セラピストとして研鑽や経験を積むにつれ、その意識も変わっていきました。


自分を信じて来てくれたクライアントさんのお力になりたい。もちろんその気持ちもあるけれど「とにかく助けたい、それが全て」とは言えないですね。

僕の原動力になっているのは「楽しい」という自分自身の喜びだから。それが「心理セラピーの技術や心の知識をもっともっと高めたい」というモチベーションになり、結果的に個人セッションで結果を出すことに繋がっているから。


人生、何が起こるか分からない。だから、ある日何かがきっかけで、ぱったりと今の活動を終えてしまうこともあるかもしれない。

それでも今の気持ちが変わらない限りは、これからも心の癒しの現場に立ち続けていきたいと思います。


(出張対面セッションに向かう途中の飛行機で撮影)


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創間 元哉(そうま もとや): 心理セラピスト、カウンセラー、メンタルトレーナー

群馬県出身、在住。親友の自殺と東日本大震災時の経験を機に、舞台を中心に活躍していた役者からセラピストに転身。

生きづらさを解消し、心地よく軽やかに生きたいあなたに向けて、出張・訪問型のセッションとオンライン(通話 / 文字チャット)で日本全国どこでも駆けつける「旅する心理セラピスト」

ワークショップ型のライブで心が楽になる考え方を培う「プレミアムサロン」(noteメンバーシップ)主宰。


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