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ハーブ屋さんの話

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ハーブ屋という名の居場所になりたい

日曜日だけのハーブ屋を3月、4月と休業することにしました。
春から店の二階に転居するのですが、その準備をする時間がどうしても取れないためです。
イベントだけはやるつもりで、休業の案内をブログで告知したところ、一昨日の日曜日には、どうしたどうした、と、懐かしいお客さまがたくさん来てくださいました。
理由を掲示しなかったので、心配をおかけしてしまったな、と、反省しきりです。

開業当初から、旅の途上の

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今日はハーブ屋さん

日曜日の私はハーブ屋さんです。
営業時間は9時から日没まで。
今日の日没は17:19。だいぶ日が長くなってきました。

店では、約50種類のハーブ&スパイスの量り売りや、お客さまのお気持ちにあわせたオリジナルブレンドハーブティーをお作りしたり、ちいさいカフェを営んだりしています。

道路の雪はすっかり溶けましたが、店のアプローチにはまだたくさん残っており、冬らしい景色になっています。
夕方からまた

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ハーブ屋さんを始めたわけ(5)

(4の続き)
1日370円なんて、子供のお店ごっこよりひどい。
でも始めたから、あと一日やろう。
三が日はやろう。

そんな思いで始めた店は、やがてカフェを併設し、スパイシーカレーが名物となり、今年でまる13年となりました。

いまは他の仕事との兼ね合いで日曜日しか開けられないので、オープンからの営業日数は微々たるものですが、それでもよろよろ続けてこられたのはたいしたもんだな、と自分でも思います。

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ハーブ屋さんを始めたわけ(4)

家を残すと決めたあとも、残してどうするかを悩みました。
その時やっていた仕事をやめるつもりは全くなかったし、貸して欲しいという人もたくさんいました。
でも、貸して欲しいという人の、どの話を聞いても、ぴんときませんでした。

この家は、どうしてほしいんだろう。

悩んでいるうち、週末だけ、自分で何かをやってみようかな、と思い始めました。
この地域にない店がいいな。ハーブ屋さんとかどうかな。
そこから

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ハーブ屋さんを始めたわけ(2)

(上のつづき)

そうこうするうち、意思決定の期限が近づいてきました。
残すか壊すか、気持ちは半々。
でも、壊すほうがやや強い。
そんな気持ちでいたところに、知人から電話がかかってきました。
「もしあの家を壊すなら、素材を欲しいという人がいるんだけど、譲ってもらえないか」
そう言われたとたん、脳裏にばらばらになった家が浮かび、次の瞬間、
「いや、残そうかと考えているので、少し待ってもらえませんか」

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ハーブ屋さんを始めたわけ(3)

(2からの続き)
その数年前、霧降高原経由で女峰山に登ったことがありました。
朝方3時に家を出てまだ暗いうちに登り始め、赤薙山を経由して女峰山頂に着いた時、頂上には5人のひとたちがいました。
ご夫婦で来た方、職場の同僚と二人で来た方、そしてソロの男性でした。
5人はそれぞれ志津小屋から上がってたまたま山頂で一緒になったそうです。
「これからどちらに行くんですか」
ソロの男性に聞かれて、戻ります、と

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ハーブ屋さんを始めたわけ(1)

週末だけの店をやっています、というと、たいてい、
「好きなことを仕事にしたんですね」
「趣味の店ですね」
と言われます。
そうか、世間様からはそう見えるんだと思ってははは、と笑っておくことにしています。

実際は、ちょっと違います。

私の父は自営業でした。
なので、資金繰りやら休みがあるようでない生活やら、いわゆる商売の面倒くささをたくさん見て育ちました。
ですから、自分は毎月決まったサラリーの

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