中小企業の皆へ。他人のためにEXCELをつくるな。

SUM関数以上は全て断れ。

小さな会社の宿命として専用のソフトやアプリなんて用意できないからEXCELで作業をせざるを得ないことってあると思います。

私は一応一通りの集計と簡単なマクロくらいは出来ます。勿論本職や上級者に比べれば屁みたいなものですが、その程度のスキルでも意外と業務改善には役立つものでいろいろと自分用に作り込んでいたりします。結構経理職的には有用なスキルだと思っています。

が、そんな事をやっていると、どこからともなく「こういう事をしたいんだけど」と上司や他部署からEXCELを作って欲しいと声を掛けられることがままあります。

しかし私は基本的にはお断りするように心がけています。
人によってははっきりと嫌ですと伝えることもあります。

なぜなら私はSEじゃなく経理なので専門家じゃないという思いもさることながら、今までの経験上、今まで上司や他部署に対してEXCELを作っても感謝されるメリットよりそれ以外のデメリットが多すぎたからです。

こちとら便利屋じゃない

前提としてEXCELの関数やマクロの作成はタスクを簡略化したいという思いがあって、それを改善するにはどうしたらいいか考えた結果手に入れた手段です。そういうノウハウを手に入れて、誰かに頼られることも最初は嬉しいものです。二つ返事で作ったこともありました。

が、気楽に頼んでくる連中なんてのはこっちの手間とか考えてなくて、なんか楽になるらしいぞくらいにしか考えてません。こっちが時間と手間をかけて手に入れた技術を魔法かなにかと勘違いしています。

彼らの脳内イメージ図

そもそもマトモな人は関数やマクロを組むのにどれだけの前提条件や場合分けが必要かは理解できているので、命令や依頼として正式に仕事が降りてきます。その手順をすっ飛ばして気軽に声をかける時点で地雷案件確定です。

不毛な会話

受けてしまった場合、大概EXCELファイルだけ送られてきて「いい感じ」に仕上げて欲しいと言われますが、その作業の目的が何で、ファイルの集計作業はどの段階のもので、どういった機能が必要かは伝えてきません。

例えるなら古い回線未契約のスマホを渡してきて「”らいん”とか言うのを動くようにしろ」といってくるご老人。
回線契約は？→知らん。
wi-fi環境は？→よくわからん。
じゃあ契約からですね→なんでもいいが、”らいん”はタダなんだよな。

仮に上がクリアになってもそもそも古い携帯電話のバージョンでLineが動くのかとか、Googleのアカウント設定の面倒からみなきゃいけないのかとか、文字の入力まで教わる気なのかなどどこまで言っても問題だらけです。

これを人の善意の名のもとにやらせる輩がいかに多いことか。
そこまでやらせるなら会社からの給料とは別にお前の仕事を減らした手数料をよこせ。

EXCELの汎用性を侮ってはいけない

もし作ったとしても待っているのは「思ったとおりに動かない」とか「壊れた」みたいなクレームです。あるいはこれも追加してくれという拡張依頼。

元データの書式変更があったからマクロ側も修正しなきゃいけないとかもありますが、大体は自分で謎の計算式を入れたとか逆に計算式を削除してすっ飛ばしたとか人為ミスです。でもセルのロックをかけるとなんか入力できないとか試算が出来ないとか文句を言われます。

それもこれもEXCELの汎用性が高く、いろいろな作業や応用が簡単に出来てしまうからなんですが、逆に言えばそれだけ取り扱いが難しいんです。
それを理解していない人にEXCELを作っても大概壊れたと言いながらこっちにアフターフォローを要求してきます。

なのでその人達が仮にデータをおかしくしても自力で復旧できるだろうという程度を見定めるか、冒頭のようにSUM関数くらいだったら口頭でもメールでも修正方法を伝えられる（そして相手が理解できる）程度の難易度に調整して渡すべきです。

断り方一覧

・他部署and気心の知れた人
→いやーきついっすー
POINT：話のネタに出しているだけで本気度は低い場合が多い。笑顔で断れば大体相手は引き下がる。

・上司and気心の知れた人
→作るのにめっちゃ時間かかるんすよー
POINT：基本上司は部下に残業をさせたくない。時間がかかるということをそれとなく伝えれば考えを改めてくれる事が多い。

・他部署andよく知らん人
→技術的にできるかどうかもわからないのでまずは要件定義をまとめた上でそちらの部署の総意として私の上司に依頼してください。お互い忙しいでしょうから、対応可否含めてその段階で調整します。
POINT：依頼自体は適当な思いつきだが本気度は高い。マネジメントをするべき上司を巻き込んでみよう。大体上司を通す手間を嫌って話自体が自然消滅する。

・上司andあんまりスキじゃない人
→今私が抱えているタスクはこれで、これくらいの時間がかかります。一方で今回の指示については相応の時間が必要です。なのでどこかの業務を外す必要があります。どれを他の人に委任するべきかご教示ください。
POINT：客観的事実を述べて、上司に時間が必要であることを伝えよう。やってもいいけどその分溢れた仕事はそっちで引き取れというオーラを醸し出すとgood。

・それでもやんや言う人
→ランサーズとかでプロが居るのでその人達に依頼したほうがニワカの私が作業するより丁寧で正確だと思います。
POINT：技術や知識はタダじゃないことを理解してもらおう。まあまずそこまで検索する人は稀で大体の人は諦めるけど。

まとめ

断り方まで載せて絶対に仕事したくないようなことを書いてきましたが、私はなにも全く仕事せず会社でのらりくらり生きろと言いたいわけではありません。
開発時間と減る手間、保守作業の時間を総合的に考えて、会社として本当に必要であればもちろんお力添えします。

また経営企画部やSEさんであればそれ自体が本職なのであれば基本的に受領したほうがいいのかもしれません。

しかし、私のように本来畑違いの人間に依頼されて善意で仕上げたとて、評価が対して上がるわけでもないのに、こっちの都合関係なく保守や修正依頼が飛んでくるようになります。

しかも軽い気持ちで声をかけてくる人は大概部署としての必要性ではなく、自分がやっているローカルな業務の改善をこちらに丸投げしているだけです。

結論：その業務をやっても無意味どころかストレス溜まるから家に帰って1時間自習するほうが何倍も得だぞ。