用語を理解しないで使う罪
かなり巷で使うようになった「ギガが減った」「ギガが足りない」という表現。もう市民権を得ているしプライベートの会話で困ることは無いけど、個人的には違和感があって使いません。
通信容量としてのギガバイトの略で、スマホに詳しくない人にはわかりやすかったのでしょう。携帯各社も2016年から積極的にギガが足りないという表現を取り入れていきます。詳しくない人にもわかりやすい名前をつけることは浸透の意味で大きな意味があり、商売としてはある意味当然の流れなのかもしれません。
ただし詳しくない人に概念を伝えるためには有効であっても、細かい話をする必要のある担当者や専門家はそういうわけにはいきません。
ストレージなのかメモリ容量なのか、通信容量の話なのか。
誤解をまねかないようしっかりとした定義のもと話す必要があるので、ギガという1単語では全員の共通見解を得られない可能性があるからです。
わかってないことをわからない人たち
日常仕事上で使っている言葉の中には「一般用語」「業界用語」「社内用語」が入り混じっています。
中にはその区別をつけず他社の人間に平気で自社の社内用語を使う人や、さも一般用語かのように社内用語を使って新人を混乱の渦にぶちこむ輩がいます。そんな輩に限ってこんなこともわからないなんてみたいなドヤ顔を披露するのが理不尽。
社内でしか存在しない状況はあり得るので一概に社内用語が悪いとは言いません。客商売で要注意人物が来店したから注意しろみたいな、あまりお客様に聞かれたくない単語もあるでしょう。あるいは社内資料で、一日に何度も「○代、○性のお客様」と書くのが大変で「30、m」などと省略するのも効率の意味で悪いと思いません。
しかし、そういう言葉があるのであればそれはどういうものを指すのか全員が理解している状況、極端な話社内用語辞書を作れるくらい定義しないと混乱のもとになるので基本的には反対です。
察することは出来るけど相手に負担をかける
ものにもよりますが、言葉の響きでなんとなく察することもできなくはないのがより厄介なところ。会話の中で「原価」という言い方をする人がいたとして、その人が小売店の人なら「仕入れ値」の話をしてるんでしょうし、製造業なら「製造原価」の話をしているんでしょう。
理解はできますが、そこには聞く側の想像が入ってしまい本当に伝えたいことのニュアンスが歪むこともあります。ただでさえ主語を略して伝えることがある日本語。そのうえで単語の意味が確定しないと会話が成立しません。
言葉は変化する
特に社内用語のあるあるなのですが、正確な定義がないままをなんとなく言葉を使っていくことで皆の頭の中で思い浮かべるものがちょっとずつズレて、仕事の効率がどんどん下がっていきます。
聞いた話ですが、ある製造業は「工程原価」という言葉を社内で使っていました。もちろん会計用語ではないし、業界用語でもない社内でしか通じない用語です。
しかし、この言葉を正確に説明できる人は誰ひとりいませんでした。
会計上での「製造原価」の違いも説明できないし、「個々の部署が作業にかかる経費や人件費」や「製品一個あたりの原価」など複数の意味が混在している状態で皆が会話していました。
正直エモいとかヤバいくらい汎用性があって使っている側はなんとなくわかっているニュアンスがでるので役職が上の人ほど多用します。
多様するのですが、改めて部下から説明を求められると個人個人で微妙に認識が違うため、会議のたびに細かい点をすり合わせながら会話しないと聞いてないとかそういう意味じゃなかったと会議の意味がなくなってしまうためとても非効率な状態になってしまいました。
全ては相手に伝えるために
自分の考えを理解してもらうには言葉を尽くすしかありません。せっかくの思いや志向が伝わらないとビジネスのような、何かを決めるための作業では致命傷になりえます。
情報が溢れている現代では、必要な情報を伝える能力は必須です。何時間も行う無駄な会議も、もしこの点を整理して会話ができれば相当時間が縮小されるはずです。
もし自分の話がうまく伝わらない、と思われている方がいたら一度この点見直してみては如何でしょうか。もしかすると上司と同じ言葉を使っていても上司とあなたの理解が違うからかもしれません。