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コンテンツとしての結婚式の価値

先日、日本からのお客様が、ホテルで一日に4組くらい日本人のウェディングに遭遇したと仰っていました。ハワイで挙式をあげるカップルは、毎年約2万組(約4万人)というデータを見たことがあります。ハワイは、海外で挙式をしたい日本人カップルにとって不動の人気ナンバーワンなのです。

アラモアナビーチやコオリナのラグーンで遊んでいると、必ずウェディングドレスと白いスーツを着た日本人カップルの写真撮影に出くわします。半裸でメタボ気味の現地人のおじさんが、背景に移って大丈夫なんだろうかと思いますが、そこはプロの写真家がボカすなりフォトショするなりでカバーするのでしょう。写真家の腕は「何を写さないか」で決まるらしいです。

かく言う僕と嫁も、ハワイで挙式をあげたミーハーカップルです。挙式の場所にハワイを選んだ理由には色々ありますが、「お互いの家族が楽しめて、思い出に残る場所」をテーマに選びました。

コンテンツとして面白いのか、という観点

この頃、マコなり社長のYouTubeチャンネルを見るのですが、彼の結婚式に関する考え方が面白いなと思いました。

マコなり社長は、結婚式に行くのが相当嫌いらしいです。僕は、彼の個人的な結婚観やその他の意見を、肯定も否定もするつもりもありません。ただ彼の「結婚式をコンテンツとして捉える」という考え方には大賛成です。

結婚式のご祝儀を、コンテンツに対する対価と捉える考え方に違和感を感じる人は多いと思います。僕も一瞬「ん?」と思いました。でも、実際に自分が結婚式の招待状をもらった時に、「この結婚式はご祝儀の価値のぶん楽しめるだろうか?」と考えてしまう自分がいるのは否定できません。皆さんはどうでしょうか?

お金をもらって参加してもらうわけなので、それなりの価値を提供できないイベントでは参加者にストレスを与えてしまいます。せっかく家族や友達に祝ってもらうのだから、10年経っても記憶に残るくらい楽しんでもらいたい。結婚式を計画をするときは、結婚する当人たちはもちろん、ご祝儀を払って参加する全員が楽しめるものを企画する、という観点は大事だと思います。

定番のスタイルは面白くない

結婚式と披露宴には、定番のスタイルがありますよね。白いドレス、教会、神父さん、ケーキ入刀、お涙頂戴スピーチ、生い立ちビデオ、友達からのメッセージと余興などなど。だいたいどの結婚式に行っても、似たり寄ったりです。結婚式をつまらなくしている理由の一つは、独自性や斬新さが無いことだと思います。

映画やドラマでも、次の展開が予想できるものは安心感がある反面、驚きや興奮はありません。水戸黄門や暴れん坊将軍のような話の筋が決まっているコンテンツには一定の需要がありますが、お金を払って見たい人は多くないと思います。

結婚式を企画している本人たちは、自分たちでオプションを選んで、自分たちらしさを出そうとしていますが、これはちょっと違います。ウェディングコーディネーターがあらかじめ用意した選択肢から選んでいる時点で、実は選ばされています。結婚式がどれも似たようなスタイルになってしまうのは、このためです。

招待するのは、楽しめる人だけでいい

結婚式をつまらなくするもう一つの原因は、参加者の質です。結婚式は、規模が大きくなるほど結婚する本人たちと関係ない参加者が増えます。親の会社の取引先や、会ったこともない親戚などです。こういう人が参加者に入ってしまうと、それなりの配慮が必要になります。どうでもいいスピーチや祝辞が入るのは、こういった他の参加者とあまり関係の無い人たちへの義理があるからです。興味も関係も無いので、その他の参加者はシラケてしまいます。

ビジネスのサービスや商品開発も同じですが、ターゲットを絞らないと無難で面白みのないものができてしまいます。結婚する本人たちと参加者たちが楽しむためには、思い切って参加者を制限することが必要です。僕は招待するのは、近しい親族と仲の良い友達だけで充分だと思います。

面白いコンテンツに、お金がかかるとは限らない

僕と嫁の結婚式はハワイでしたが、挙式と披露宴の費用は20万円くらいでした。一般的な結婚式の費用相場は、200-300万円です。これと比べると格安です。安かった理由は、いわゆるウェディングプランナーのような既存のサービスを利用しなかったことと、参加者を直接の親族と友人数名に限ったことです。

先ず結婚式場は、プライベートビーチを2万円くらいで借りました。ハワイアンスタイルのセレモニーをやってくれる神父さんと助手は、3時間雇って8万円くらいでした。レイ(花の首飾り)やケーキは神父さんが用意しますし、助手が写真を撮ってくれるので挙式費用は10万円です。

ドレスとスーツは格安のものを自分で用意して、使用後にほぼ新品の中古として売ったので費用は2万円程度です。嫁はヘアメイクと化粧をすべて自分でやったので無料。髪飾りとブーケはリゾート内の花を集めてきて自作しましたのでこちらも無料です。

披露宴は、ホテルのステーキハウスでコース料理を頼みました。全員分の食事代が8万円くらいです。屋外のテーブルを夕焼けが見える時間に予約して、サンセットと満天の星空の下で美味しい料理を楽しみました。

ハワイまで来てくれた家族には、一緒に楽しめるイベントも多数企画しました。例えば希望者にスキューバダイビングツアーを手配しました。嫁の両親はアメリカに住んでいて僕の両親とは会っていなかったので、お互いの両親がダイビング講習のプールで初顔合わせという珍エピソードもありました。結婚式前日にはルアウショーにも招待しましたし、一緒にイルカとも泳ぎました。10年経っても忘れない楽しい思い出です。

家族や親しい友達と楽しむのに、お金がかかるとは限りません。創意工夫と企画力で、いくらでも楽しい結婚式をあげることができます。僕はマコなり社長と違って、結婚式肯定派です。でもどうせやるなら、記憶に残る面白いコンテンツを提供したいと思いませんか? 



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