日本人である前に 糸木公廣著 「日本人が海外で最高の仕事をする方法」

7月から人生初の海外赴任が決まった。それなりのポスト、処遇が用意されるようだ。いつかは来ると覚悟していたものの、実際に話が来ると何をどうすればよいか想像できず、不安が尽きない。そこでまずは先達の教えに頼ろうと手に取ったのが本書。作者の糸木氏はソニーでの勤務中に、20年にわたって9カ国の勤務を歴任した、いわば海外赴任のプロである。

本書を読む前は、現地の社員とどうコミュニケーションを取ろう、言葉を身に着けなければならないだろう、威厳も必要かな、などと五里霧中だったが、本書によって霧が晴れた。何のことはない、自分がしてもらって嬉しいことをやるのだ。

具体的には、その国の文化に興味を持ち受け入れる、時には弱みも見せる、わからないことは素直に教えを請い相手を頼る、失敗や困難から逃げない、本社ではなく現地の立場に立ち現地の代表となる、メッセージと行動に一貫性を持たせる、といった当たり前のこと。国籍云々の前に我々は同じ人間、地球人だ。民間人が宇宙に行く時代。国籍なんていう誰かが決めたものにこだわらず、相手を同じ人として尊重するのが第一歩だろう。

どうやら私はいつもの難しく考える癖を発症していたようだ。同じ癖を持つ、海外赴任が決まった人にはぜひ読んでほしい一冊。

さて、大分考えがまとまってきたところで、私は今回の海外勤務をどう乗り越えようか。色々考えた結果、入社した時に言われたことに行き着いた。すなわち、「毎日現場に行って、コミュニケーションを取る」。言葉にするのは簡単だけど、時間を作るのは難しい。不自由な言葉でコミュニケーションを取るのは大変だ。しかし、他国に仕事に行くのにそんな事は言ってられない。大変な旅が始まる。

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