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    最近の記事

    健康第一 石原新菜著「眠れなくなるほど面白い免疫力の話」

     昨年末、遂に新型コロナウイルスに感染してしまった。あと2日で仕事納めという歳の瀬の最中のことだった。年末年始は一人で布団で過ごすという、人生でもトップクラスで碌でもない年末年始を強いられた。改めて楽しい人生は心身の健康に支えられていることを思い知らされる、情けない経験となった。  私は毎年年初に、その年に達成したいことを70個くらい書き出している。もう体調不良にはなりたくないということで、「免疫について学ぶ」ことをそのリストの上位に置いた。そこで、早速書店で手に取ったのが

      • 自分を貫く強さは美 映画「ケイコ 目を澄ませて」

        私は滅多に映画館に足を運ばない。“タイパ”という言葉が流行るはるか前から、映画は家で倍速で観ることがほとんどだった。観ることが目的化しているのではと問われると、強く言い返せない。妻や子どもから誘われて観に行くことはあっても、自発的に観に行ったのは、振り返ると周防正行監督の「それでもボクはやってない」以来かもしれない。 そんな私がこの度一人で映画を見に行くことにした。それは、三宅唱監督のファンだからである。本作もいずれサブスクで見れるかもしれないが、身銭を切って観ないとファン

        • 幸せな長寿大国に 映画「老後の資金がありません!」

          世界一の長寿大国である我が国。本来それは喜ばしいことだ。しかし、いつまで生きるかわからないために、老後の資金がどれだけ必要かわからず、長生きがリスク化しつつある。正に不都合な現実である。 老後を迎える前に仕事は岐路を迎え、親の介護、子どもの就職、結婚などのビッグイベントが重なり、青写真通りに貯蓄ができない。こんな人は多いだろうが、考えても解決策が見えないから、考えるのもやめず、ずるずる老後へ向かってしまう。 本作はそんな日本の苦悩する中高年の姿を描いた映画である。暗いテー

          • “小金”ではなく“富”を築く不滅の原則 ジョージ・S・クレイソン著 「バビロンの大富豪」

            冒頭からアンコンシャス・バイアスな物言いで申し訳ないのだが、我が国は0か1かでものを考え、答えらしきものを見つけると、そちらに全振りする人が多いと思う。先日のワールドカップでも「日本代表を応援するぞ!」と日本中が応援一色になったのも同じかもしれない。一度方向性が固まれば一致団結する。そんな日本が大好きだ。 しかし、ビジネスや資産形成など、お金に絡む話では、およそこのような考え方はよくない。世の中に0も1もほとんどなく、大抵のことは0.2だったり、0.5だったり、0.7だった

            不朽の名作 映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」

            子どもの時に、初めて「全米が泣いた」的なCMで強い印象を持ったのが本作。どんな話かもわからないまま、当時からとても気になっていたが、いよいよ見てみることにした。 30年の時を経て、本作は知能が低いけれども体が強く、一途で誠実な「フォレスト・ガンプ」の人生を描いた映画であることがようやくわかった。知能の低さゆえに時に周囲にののしられることもあるが、ただただ誠実に周囲の人々を大事にしながら生き、知らず知らずのうちに周囲に影響を及ぼすフォレスト・ガンプの生きざまには、見終わった後

            金字塔 映画「シン・ウルトラマン」

            「シン・ニホン」の安宅和人先生によると、日本は子どもに妄想力の英才教育を施している世界でも稀有な国なのだそうだ。「教育」というと、先生が生徒に知識を詰め込む絵をいまだに思い浮かべてしまうが、ここでの「教育」はドラえもんに代表されるアニメや特撮ヒーローなど、子供のころに自然と触れる作品の多くが実在しないものを取り扱っており、それらを見て自然と身についていくことをさす。我が国は妄想では負けないのだそうだ。こうした強みは我々が思う以上に自信を持っていいものなのかもしれない。 そう

            会社再考 安藤広大著「リーダーの仮面」

             会社とは何をする場所だろう。ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティなどの新しい視点が重視され、過去の延長では仕事ができなくなりつつある昨今、この問い掛けは重要性を増している。  答えは本来とてもシンプルだ。会社は仕事をする場所である。会社に行くのが憂鬱だというのは問題だが、遊びに行く時のようにワクワクする場所である必要性はない。仕事が楽しくて仕方ない人は羨ましいが、それが多数派という会社にするのは難しいだろう。  さて、昭和の会社はとかく縦割りがきつく、上司はふんぞり

            超複雑系の教科書 岡田武史著 「岡田メソッド」

             今さらながら、Jリーグ開幕後の日本サッカーの発展は目覚ましい。Jリーグ開幕イヤーにサッカーを始めた私は、その過程を目の当たりにしてきた、最も幸せな世代だと思っている。先日のブラジル戦のTV中継で、「ネイマールが本気を出しています!」という実況を耳にしたが、日本は世界中どこの国でも、手抜きをして勝てる相手ではなくなったのだろう。  我が国のレベルアップには、やはり育成年代のレベルアップが必要で、そのためには、小さい頃から質の高い試合の経験をたくさん積むことが重要となる。従っ

            伸びしろ大国 安宅 和人著「シン・ニホン」

            私は40手前のアラフォー世代。自分が先進国に生まれ育ったことに疑いを感じることはなく、また豊かな生活の恩恵を受けて育ってきたという実感もある。しかし、子どもの時から今に至るまで、アベノミクスによる好景気はあったものの、バブル期のような勢いを感じることは一度もなかった。それどころか、過去には日本のお家芸であった分野で他国の追随を許し、競争力を失った事業も多い。そんな現状には忸怩たる思いを感じる。老後二千万円問題があれだけ炎上したところから分かるように、多くの方も将来に不安を感じ

            負けてはいけない会社 平井一夫著「ソニー再生 変革を成し遂げた『異端のリーダーシップ』」

            日本にはこの会社は絶対に負けてはいけないと感じる会社がいくつかある。分かりやすいところではやはりTOYOTA。最近だとユニクロがそうなりつつあるかもしれないし、化学メーカーの人からは信越化学の名前が出てくるだろう。そして、本書のテーマであるSONY。過去のジャパン・アズ・ナンバーワンの象徴であり、あのスティーブ・ジョブズが憧れた会社。多くの日本人にとって、特別な存在である。 そんなSONYも、2000年代に韓国、そして中国メーカーの台頭により、長らく雌伏の時を過ごした。経営

            「余生」は「余計」 外山滋比古著「お金の整理学」

            ほぼすべての人が、お金が好きだと思う。しかし、お金の多寡は明確に数字になって現れ、マウント材料になることも多々あるためか、謙遜を美徳とする我が国では、お金の話を避ける傾向にある。それが高じて、いつからかお金の話をするのは浅ましい、みっともない、と嫌われるようになり、関心を持たないようにしようとして、思考停止状態になっていないだろうか。 ちょっと前に金融庁の試算に端を発した老後2,000万円問題があった。あまりにキャッチーなフレーズであったためか、「そんなに貯められない!」と

            最近の若いモンは。 東京オリンピック閉会

            東京オリンピックが閉会した。選手、関係者、ボランティアの皆さん大変お疲れさまでした。感動をありがとうございました。 様々な不安の中での開催となったこのオリンピック。不安が現実になった部分があったのは否めないけれど、毎日楽しめたこともまた事実。興味のなかった競技もオリンピアンが行うと本当に面白かった。この状況下でおもてなしを行った現場力の高さには本当に頭が下がる。特別な状況下での開催となったことも含めて、一生忘れられないオリンピックだったろう。 さて、このオリンピックを総括

            不純な動機は純粋な動機 映画「おっぱいバレー」

            一度聞いたら決して忘れられないタイトル。私と同年代の人ならば必ず知っている映画だろう。しかし、実際に見た人は、知名度ほど多くないかもしれない。先日、神田伯山さんのラジオで、彼も本作を見たことはないが、多くの人と同様、先生のおっぱいを見るためにやる気のないバレー部が頑張るというあらすじは知っているとのことで、「何とハートフルな映画だろう!」と感想を述べていた。そう、タイトルのインパクトが強すぎて気づかなかったが、生徒にやる気を出させるために、文字通り一肌脱ぐという、とてもハート

            思春期の痛み 映画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」

            うまく言葉を話せない、「吃音」という症状が世の中にはある。私の近親にも過去に軽く症状が出ていた人がいて、少し勉強をしてみたことがある。誤解を恐れずに言えば、吃音は一種の障がいである。目が見えないとか、音が聞こえないといった障害は、外から見てわかりやすいし、不都合さも容易に想像できるが、吃音の厄介さは、誤解のされやすさにあるのではないだろうか。会話の中で、適切な言葉が出て来ないという失敗は、世の中のほぼすべての人が経験していると思う。一言目が出なくて、「えー、」「あー、」という

            用法・用量を理解すること 映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

            私は仕事柄、投資家と呼ばれる方々と話をすることが多く、証券アナリストの資格を取得しており、比較的資本市場のことは理解している方だと思う。実際にウォール街に行って、ブル像を見たこともある。資本市場のことを勉強する中で、投資という発明の素晴らしさには何度も感心させられた。そんな私にとって、ウォール街の暗部を描いた本映画は興味深く、また最終的にベルフォートが受ける仕打ちは快哉を叫ぶものであった。 投資と投機は違うとよく言われる。しかし、これらはリスクの大きさとリターンの大きさが比

            「会社のため」とは何か 映画「7つの会議」

            組織というのは不正が起こるもの。これは古今東西変わらない。子どもの頃は、会社は巨大なお化けのようなもので、不正は全社で行うもの、しっかりしている会社からはホコリなど出てこないというイメージがあった。しかし、大企業であればあるほど、優秀な人から普通の人まで何十万人という人が少しずつ歯車を回して動かしているものだというのが実態である。中には善人ばかりではなく、押しに弱い人、上司の顔色ばかり伺う人、とにかくお金が欲しい人、色んな人がいるものだ。 我が国でもリコール隠しや製品の品質