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調身調息調心、それから調食

伊豆の断食道場に来ています。
一週間コースは各々の目的に応じて断食、少食でデトックス、糖質制限食、養生食(健康的な食事を適量食べる)などが選べ、私は昨年夏にやられたカメムシの毒素抜きが主目的なのでデトックスコースを選択。

初日の夕食は味噌汁だけ。

野菜沢山の味噌汁

翌朝は8:00に生姜紅茶一杯。

ジンジャーティー

表題写真の朝食を10:00によく噛み、時間を掛けて食べ、昼食は無く、夕食は18:00に玄米と味噌汁、少量の野菜三品で二日目終了。

二日目の夕食

1日の摂取食糧は、お代わり無し、食後のスイーツ無し、おやつ類の間食も無しなので普段の1割から多くても2割程度しか食べていませんが、固形物を全く食べられない断食を覚悟していたので、思っていたよりも飢えに苦しまず、1日二回の少量食でも満腹感を味わえています。

そう感じられている大きな要因は二日目の午後にあった「食べる瞑想」体験にあります。
「食」への概念、つまり自分が持っていた「食」への認識が大きく変化したこで、ご馳走を沢山食べなくても充分満足出来ると気付いた体験と実感の影響です。

ドライフルーツのクランベリー果肉ひと粒とイチジクひとスライスをよく観察し、手に持って触感を確かめ、匂いを嗅ぎ、舌に乗せて食感と味を楽しみ、ゆっくり噛んで、噛んで、よく噛んで、飲み込みそうになるところを牛が反芻するかのように喉元から舌先に戻し、我慢して更に何度も噛む。
正に「吟味」し尽くすようにひと粒のクランベリーとイチジクの一片をいただきました。
すると今まで体験したことがないほど口腔内が唾液で満たされ、どんどんドライフルーツの味が変わっていく、というか、味が豊かに増していくのが感じられ、こんな小さな食べものがこれほど噛み続けられることへの驚きと、クランベリーとイチジクそれぞれ別々に食べましたが、単体だけでこんなに濃厚で甘味と酸味、奥深い旨味を醸し出すのかぁ!と感激の衝撃体験でした。

5分以上掛けて食べたドライ果実

そしてよく噛むことの他に大切なのが食べる前に行う「調身 調息 調心」の禅の教え。
身体を調(ととの)え=姿勢を正し、息を調え=ゆったりした呼吸で、心を調えて=気持ちを食べることに向け、それから有り難くいただく=調食。
スマホやテレビを見ながらではなく、あれこれ考え事、悩みや心配ごとを抱えたままの状態で慌しく飲み込むように食べるのではなく、命そのものである食物・料理・御馳走を少しずつ、一品ずつ、素材ごとに食べ、口の中から消化が始まっていることが実感できるまで咀嚼する。
講師の先生は「調食」という言葉はおっしゃいませんでしたが、姿勢・呼吸・心を調えてから丁寧に味わって食べることは暮らしが調う食べ方だと感じたので、自然とこれらの行為全てを「調食」という言葉で理解しました。

これらひとつひとつの所作や考え方は面倒臭く、生真面目過ぎて、禅の苦行のように思われるかもしれませんが、肉汁たっぷりのハンバーグや揚げたての天ぷら、お口に入れた途端に舌の上でとろける高級な肉を食べる時に感じる「食の楽しみ」「ご馳走を食べた時の満足感」「食道楽」などに匹敵する「幸福感」が得られたことも驚きでした。

勿論、毎食このような食べ方をするのは時間的・物理的、そして精神的にも難しいですし、パリっとした食感やサクッとした状態でゴクリと飲み込みたい料理は延々と食べ続けるよりもその素材と調理法を楽しみたいので、全てをこのように食べましょう、と提唱している訳ではありません。

とは言え、間違い無く自分が今後家庭で料理をする際は、食材を選ぶ時点から調理をする時、使い切らない食材の保存方法に至るまで、丁寧に料理を作る工程と「調身・息・心」してから食べる「調食」全てのプロセスを愉しみ、今迄と違った悦びが加ったことは確かです。

三日目の朝食(調食)
四日目の夕食

今日で前半が終了。
道場のコースには朝の散歩、施術による癒しや体のメンテナンスの他に瞑想、気功、ストレッチ、呼吸法、ヨガなどのプログラムが随所に組まれており、自分のカラダだけでなくココロをリセット、リトリートでき、ゆったりとした貴重な時間を過ごせていて、このご褒美のようなプログラムに誘ってくれた人生の友に感謝です。

三日目に出されたご褒美 
焼きリンゴ紅茶

昼の自由時間は山や海岸沿いを散策したり、1日伊豆急行乗り放題きっぷを買って南伊豆へ桜を愛でに行ったり、観光気分も味わえた充実の四日間があっと言う間に過ぎました。
残り三日で体験・体感することが楽しみですし、コース終了後に自分の心境や暮らしがどのように変化してるかもとても楽しみです。

河津川の桜並木

お読みいただき、ありがとうございました。




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