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実話。嫌われ者の為の仲間づくり。“マユラー”に学ぶ転職定着の極意。 by転職定着マイスター川野智己

「この、禿(はげ)~」ちーがーうーだろーっ!」「鉄パイプでお前の頭を砕いてやろうか!」「うん、死ねば?生きてる価値ないだろ、もうお前とか」
これらの一連の発言は、東京大学、ハーバード大学大学院卒業にして、元厚生労働省官僚、元衆議院議員の豊田真由子女史による罵倒あることは、記憶に新しい。

1 見事なまでの嫌われぶり

人は、この全てを獲得したキャリアウーマンが、秘書という弱い立場の者を苛め抜き、特権意識を振りかざし、居丈高にふるまう姿を決して許さなかった。彼女は、選挙による選ばれし者なのかもしれない。高学歴なのかもしれない。実績を挙げてきたのかもしれない。でも、だからと言って彼女を尊敬など到底できないと、人々は評価したのである。侮辱され、人格を否定された彼女の秘書に、皆が自分を投影したのである。許せないと。

2 他人事ではない転職者

高学歴で、実績を挙げてきた。三顧の礼で迎えられた。高収入で迎えられた。期待されている。まさしく、中途入社で入職した転職者は、転職先でかように映っている。これらの認識を周囲から受けているということは、、転職者である皆さんが、いつでも第二の豊田真由子として陥る危険性を孕んでいることになる。

 転職者が、前職の話を出すことは転職先の職場を否定する罵倒であり、教育と称して社員を指導することは人格否定と社内では称せられているのである。転職者にとっては、さぞかし不本意であろう。しかしながら、あくまでも他人が皆さんをどう思うか、感じるかが、転職先での皆さんの姿として規定されてしまうのである。すべては、転職先における「多勢に無勢」がなせる業なのである。

3 嫌われ者からの脱却

 ところが、豊田真由子は厚生労働省時代のインフルエンザの担当外交官を務めた経験を梃(てこ)に、感染症対策の専門家、コメンテーターとして見事に復活した。その堅実で誠実な解説ぶりが、お茶の間から今や高く評価されている。そう、今やテレビ番組にも引く手あまたの寵児なのである。その点、一時、コロナの女王として称されたものの、その後多くの批判を受けて失脚した岡田晴恵白鴎大学教授とは大きく異なる。

 その違いは、徐々に着飾り派手な行動が目立つようになった岡田は「私」を感じさせる点に、一方、豊田は国民の為に自らの経験を役立ててほしいと「公」を感じさせている点にある。もっとも、豊田の真の本質はうかがい知れないもの、それにしても少なくともその誠実で分かりやすい話しぶり、平和な国民生活を取り戻すために貢献したいという真摯な姿勢として、多くの視聴者に感じさせているのである。
かつては「再起不能なほど酷評され世間から排除された者」が、かように「他者に貢献したいという姿勢」を示すことで多くの支持を集め復活した者を、ここでは真由子の名前をとって「マユラー」と称することにする。

4 ある転職者の事例

 以下、私川野が大手人材紹介会社の教育研修部長時代において指導した転職者の事例である。彼も、辞職を余儀なくされるほど転職先で嫌われていたものの、前述のマユラーの姿勢で見事克服し定着し活躍しているビジネスマンの一人である。
大手総合食品会社から、商品開発部長代理として中堅の冷凍食品会社に入社した立花雄三(仮名)は、配下に甘んじている多くのプロパー社員や、他部門特に営業部門からは、やっかみと反発を受けていた。

「立花さんよ。あんたは冷凍食品の業界について全く経験が無い。まして、顧客である給食業界について何もわかっていない。我々はこの世界で20年以上血と汗を流してきたんだ。即戦力で高給取りというなら、早く結果を我々に見せろ。社長の引きで入社しているんだろ。」と、日常的に営業部長から冷ややかに突き放されていた。立花は、社内に居場所が無くなっていた。
そこで、立花は、営業部長に日参した。

 「私は、あれから営業部長が仰ったことを何度も何度も思い返しました。どう考えればいいのかと。一度、部長の部下の方々にお話を聞いてもよろしいでしょうか。頭越しでは失礼かと存じ、仁義を切るために事前にご許可をいただきにまいりました」
 「先日の会議で部長が仰ったお話、非常に興味深いお話でした。大量調理の給食業界は、一度に多くの作り置きに耐えられる、揚げたての食感の低下を損なわない工夫が必要だということを。先日、私に投げかけていただいたことは、このことだったのかと理解ができ、嬉しくて思わず部長宛てに足を運んで伺ってしまいました。」

5 相手の役立ちに徹する姿勢が成功を導く

 立花が営業部に受け入れられるようになったのは言うまでもない。「他者に貢献しよう」という姿勢が、相手に評価されたのである。
 転職者は、転職先というアウエーに単身で乗り込んでいる覚悟が求められる。軋轢を乗り越えるのは、自身の能力をひけらかすことでもなく、実績を早期に上げるべく焦ることでもない。そんなことをしても、結果として嫌われ者に陥るだけである。

 転職先の発展に貢献する姿勢を見せる。転職先の他の社員が光り輝くための貢献に徹すること。それが、ひいては転職者自身の成功につながることになるのだ。
 立花は、肩の力が抜ける思いであった。

 ※毎回、ご一読いただき誠にありがとうございます。書き記した内容は、私川野が大手人材紹介会社の教育研修部長時代に見聞き、体験した「実話」です。よって、個人名や企業名が判明しないよう若干の表現上の工夫をしております。何卒ご了承願います。
おかげさまで、投稿を始めてはや1か月。多くの方々から大きな反響をいただいております。Noteの好きボタンやフォローをしていただければ幸いです。
 ありがとうございました。

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