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「職業に就いていない筈がないだろ」 <夫婦世界一周紀69日目>

「お前たちはこっちに来い」と連れて行かれたのは警察の待つ透明な箱の中だった。

どうしてこんなことになってしまったのか混乱しながらも、他に手立てはないのだ。黒もじゃの髭を蓄えたモロッコ警官に付いていった。

手元のスマホにはairbnbで予約した宿の写真が写っていたが、なぜか住所が表示されなかった。通常、宿泊予約が完了した時点で住所は表示される。住所が無ければ宿に行けないからだ。ところが、モロッコの宿では住所が出なかった。空港を出た場所に宿まで直送してくれるタクシーが出迎えてくれる予定だったから、さして気にもしていなかったのだ。

当然のごとく、モロッコの入国審査でつかまった。

「住所がなぜ書いていないんだ?」

「aiebnbで予約しているが、なぜか住所が出てこない。でも予約はしている。ほら、見てみて」

いくら説明しても通じなかった。その警官はairbnbを知らなかったからだ。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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