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海は広いな大きいなー♪だけじゃない。海水浴には気をつけて。

 そろそろ夏真っ盛り。
 コロナの影響もあるのでしょうが、海水浴にいかれる方も多いのではないでしょうか。

 海水浴くらいなら危なくないのではないかと、思われる方もいると思いますが、海水浴でも毎年何人もの方が亡くなられています。

 よく勘違いされるのですが、水深100mの沖合いより、水深1mのビーチのほうがよっぽど溺れる可能性が高いのです。

 そこで、今回は海水浴(ビーチ)の気をつけるポイントについてご紹介したいと思います。

波の出来る原理

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 ビーチの怖さは「波」にあります。では、まず波とはどのようにしてできるのでしょうか。

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 月の引力や地震が影響する場合もありますが、波は、沖合いで風が吹くことによってかき回された海水が「うねり」と呼ばれる現象となり、その「うねり」が水深が浅くなるにつれ変化していったものです。

 この水深がくせ者で、水深が浅くなると表面だけでなく、海底付近の水も前後に運動することとなり、運動量が飛躍的に高まります。
 また、波の波長の1/2より浅い場所になると、「浅水変形」が起こり、砕波(波の山が崩れる)なども生じることとなります。

ビーチで溺れるメカニズム

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 ビーチで溺れるメカニズムは、主に以下の流れとなります。

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① 引き波で足が取られ、引きずり込まれる。

 3.11の津波の映像をご覧になった方も多いでしょうが、波が引く(引き波)パワーは、寄せてくる波の比ではありません。さらに砂浜やツルツルの岩では地面の抵抗は低いため、簡単に足が取られてしまいます。

② 次に押し寄せてきた波に飲み込まれ、上下がわからなくなる。

 これが一番恐ろしいです。海の中でわやくちゃにされ、上下左右が分からなくなります。そして、必死に海面に上がろうとして、逆方向に進み溺れてしまいます。実際には足が余裕で付く位置で溺れてしまうのです。

③ 離岸流( リップカレント)に流され沖に出てしまう。

 さらには、離岸流と呼ばれる沖へと向かう強い流れに巻き込まれれば、もう人の力ではどうしようもありません。ものすごい速さで沖に引っ張られます。


もし波に引き込まれたら

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 もし波に引き込まれたら、無闇に動かずに波に体を預けることが肝心です。決して流れに逆らってはいけません。

 息を止めじっとしていれば、そのうち海流が乱れているポイントを抜けることができますので、上下感覚がわかった段階で立ち上がるか、浮上してください。

 また、離岸流などに乗ってしまい、沖に流されてしまったら、落ち着いて浮上し、沖に向かうのでは無く、沖と平行に泳ぎ、離岸流の流れから抜け出ることが肝心です。

 そして、離岸流から抜き出すことができれば、まずは一安心。大の字に仰向けになり呼吸を落ち着かせます。

 極端な体型でない限り、人間の体は仰向きになれば、呼吸出来る分程度には海に浮きます。

 とくに肺は天然の浮き輪です。暴れずにじっとしている分には十分な浮力が発生します。また、肺の空気が浮力に変わるには数秒のタイムラグがあります。ですからもし空気を吐き切って、慌てて吸い込んでもすぐには浮きません。   
 これが理解できていれば、焦って溺れることはありません。

 体力が戻ってくれば、ゆっくりで構いません。沖に向かって泳ぐか、助けを呼びましょう。(片手を左右に大きく振るのがサインです)


そもそも危険な目に遭わないために

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 ビーチは水深が浅いため、岩やら地形やらの影響を直接受けます。

 そのため、波の表面は規則性があるように見えても、波の下では読みきることが困難なとても複雑な流れとなっています。

 この流れは、「地元の」漁師やサーフィン指導員、ライフガード、ダイビングガイド等ならば、全体的な把握と予測ができますが、それでも風が強い時や台風の前後は、読みきることは出来ません。

 また、仮に海のプロであってもその地域の海をわかっていなければ、通常時であっても完全に読みきることは困難です。

 ですので、遊泳禁止とされている地域や、遊泳禁止と判断された日に「波が大したことないし大丈夫だろう」と海に入るのは自殺行為となりますので、絶対に辞めましょう。

 さらには、どんなに「べた凪」な日であっても、基本的に「海での単独行動は御法度」です。
 「波打ち際で子供を遊ばせていたら・・・」なんて事故は類挙にいとまがありません。海水浴をする際には、最低でも二人一組(子供だけは不可)で居るようにしましょう。

 色々「怖い」ことを書きましたが、「海」はとても楽しい場所です。プールでは決して味わえない自然との触れあいは、とくに子供にとってかけがえのない思い出となると思います。

 しかし「海」は自然です。自然は人間ごときの命なんてなんとも思っていません。ですので、「自分の身を守る知識」はしっかり持って楽しんでいただければと思います。