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【読書のススメ】一度読んだら忘れられなくなる本(君が降る日/島本理生)

島本さんの本を読むといつもとてつもない衝撃を受ける。
本の中の世界に引きずり込まれる。
静かに知らず知らずのうちに、自分も感情もすっぽり本の中にいる。
抜け出して、本当の自分に戻ってくるまでにものすごい時間がかかる。

君が降る日の中におさめられている
野ばら
という短編。

初めて読んだ日以来、ふとした時に思い出す本。それくらい激しく心を揺さぶられた。

男友達(異性の友達)との関係って、同性の友達とは全く違う。
気軽に連絡したり、ご飯を食べに行ったり、相談に乗ってもらったりを同性の友達よりも気を遣わないでいれるのだ。

気を使わない間柄が恋愛感情なのか友情なのか分からなくなる瞬間がある。
こういう気持ちがとても鮮やかに丁寧に劇的に描かれている。

アラサーで彼氏もいない私は恋愛では佳乃のような思いをすることが多かった。
パズルのピースみたいにカチッと合う相手もいれば、自分がどれだけ思っていても相手は別の方向を見ているケースもある。

パズルのピースみたいなカップルをたくさん見てきた。
楽しそうに笑っているふたりを見て、自分が価値のない人間に思えてしまうことも多々あった。

男友達は、友達の関係が長く続くと、この関係はなんなのか分からなくなってくる。
相手に彼女ができたりすると、よかったと思う反面、なぜか悲しくなったり。

佳乃と祐の会話を読んでいて、祐の落ち着いた感じが彼氏にしか思えなかった。
祐も佳乃のことを大切に思ってることがヒシヒシと伝わってきた。
ラストまで切ない気持ちでいっぱいだったけど、本の中で祐が好きだという谷川俊太郎のあなたはそこにという詩を読んで、涙が溢れ出てきた。
祐の佳乃への気持ちが溢れ出ていた。

私にとって男友達は特別な存在だと思う。
友達期間が長ければ長いほど。
自分が楽しい時も悲しい時もそばにいて話を聞いてくれたということ。
その時を共有したということ。
それが特別なことだから。

これから先誰かと付き合う可能性はほとんどないけど(笑)、例えば誰かと出会って付き合ったとしても、男友達が特別な存在であることに変わりはない。

20代の紆余曲折をお互いに戦ってきた同志であり、仲間であり、かけがえのない存在だから。

恋人はナンバーワンな存在。
男友達は特別な存在。

すごい曖昧な定義だけど。(笑)

野ばら

あなたはそこに

素晴らしかった。

男友達とはなんなのか考えるいい機会を与えてもらった気がする。

一人でも多くの人に読んでほしい。

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いつの日か物書きで生計を立てられるようになりたいです。ひとりでも誰かの心に残るようなものを綴りたいです。