食の風景「菜の花の胡麻和え」
季節のお野菜が食べたいな、何が良いかな。そうだ、菜の花にしよう。
と云う訳で、
和えます。
胡麻は丁度袋を開けたてのものでしたから、すり鉢でする程に香ばしい香りがしてきます。食欲をそそる香りです。ぱちぱちと胡麻粒の弾ける音も、五感を楽しませてくれます。火傷させる程度に茹でた菜の花をざっくり二三センチ程に刻み、塩のみで味付け。そこにすった胡麻を足して菜箸でさっくり混ぜて、仕上げに粒の胡麻をかければ、完成です。
小鉢は仏さんへ、お味見どうぞと御供します。
菜の花、すこしつんとしてわさび菜、からし菜の様でもあり、それらは全てアブラナ科の仲間ですけれど、もぐもぐ、シャキシャキとした歯ごたえ、噛むほどに野菜の甘さが滲み出します。胡麻も、粒のままではなく、今日はひと手間加えて擂り潰しましたから、菜の花へしっかり香りと味が馴染んでいます。素敵な食材たちを、塩が良い塩梅に結び付けて、纏めてくれました。旬にしか味わえない春のお野菜。これから市場は一層春めいてきますね。腕が鳴りますと張り切りたい処ですが、まずはお腹がぐうと鳴ります。
いち
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