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食の風景「清流育ち、鮎」


去る八月下旬、暑さの内にも心なしか涼しい風が含まれるようになり、季節の変わり目を肌に感じました。スーパーへ行くと幸水梨が並び、秋の味覚の話もちらほら聞こえて来ます。

季節の変わり目は体が順応するまで体調を崩しがち、という御方もおられるかも知れません。そんな時は無理をせず、よく眠り、よく食べ、今日を無事過ごした自分をうんと褒めて、労わってあげて下さい。

今日は今年の夏の食卓を少しだけ振り返ってみたいと思います。お盆前、美味しいサイズの鮎を見掛けました。「食べたい」の声が上がった為、塩焼きで頂く事にしました。山形の黒小玉西瓜に、夏の王様とうもろこし、それに夏野菜オクラも健在でしたので、こちらは大根と人参の細切り、さしみわかめと和えて酢醤油で味付け。

昼食は蕎麦定食、夕食は鮎の塩焼き定食にして
「いただきます」


西瓜は小玉というだけあって、いつものように三角に切ると、ミニチュアみたいなサイズになりました。けれど甘い水分をたっぷりと含んだ赤い果実、外皮のすれすれまで美味しくて、一人でたくさん頂いてしまいました。

おひるごはん 箸置きは小波(さざなみ)


夕食の小鉢、左からオクラの和え物、白桃とブルーベリー、カリカリ梅入り昆布の佃煮、です。鮎の平皿へ笹の葉でも敷けば風流ですね。残念ながら家へ或るのはバランだけでした。

おゆうはん 箸置きは泳ぐ金魚と波紋

鮎の塩焼きは使い慣らした鉄のフライパンで調理しました。
熱したフライパンへ塩纏わせたのを並べて、アルミホイルを被せ、焼き色がついたら引っ繰り返し、背中側と、腹側もじゅうと焼いて仕上げました。ふっくらと仕上がった身は魚本来のお味に塩味が効いて、ほくほく、もっちり、大変美味しい身でした。店頭で見かけた瞬間の期待通り、時期が良かったんでしょう、本当に美味しい鮎でした。皿へ残ったのは頭と尾だけです。

因みにタイトルには清流育ちと入れておりますが、頂いたものは養殖です。鮎といえば清流を住処とする川魚の代表格ですから、奇麗な水の中で悠々と泳ぐ天然の鮎、そんな光景が未来にも続きます様に、願いを込めました。

振り返ってこのエッセイを書いてからも月日が経ちましたが、秋が本格化する前にお届けできたでしょうか。皆様の地域はいかがですか、小さい秋、残った夏。四季の移ろいを感じながら、美味しい食事を楽しんで参りたいと思います。

今日も「ごちそうさまでした」

                      文と料理と写真・いち


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