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「宮古ブルー、島の青い思い出」

視界はクリア。眼下に広がるはブルー、そしてサンゴ、魚の群れ。マスクに覆われて鼻呼吸はできない。地上とは違う呼吸法、口から吸って、吐いて、ゆっくり、ゆっくり。

口呼吸に慣れて、意識しなくても楽に呼吸ができる様になった時、フッと音が消えた――

私は今、海の中に居る

海の中、自分のシュノーケルの息遣いが耳に聞こえる。あぶくは微かに遠くで弾ける。世界は静かで、限りなく静かで、全ては海に包まれていた。やがて私の器も海に馴染んで、存在が消えた。それは確かに私の目で、私の耳で、私の手足のはずなのに、全ては海と一体になったのだ。

ただ、そこに居る自分。目玉をきょろきょろ動かしながら、海に身を委ねていると、無垢な白い魚の群れ、四方に。いつの間にか群れの一員になっていた私、驚きと、少しの怖さと、それから遅れて感動。太陽が上を目指すとき、海のブルーはいよいよ輝きを増して、一層透明度が上がった。

見渡す限りのブルー、カラフルな魚たち、多種多様。時々、思い出したように両手で海をかく、少し前進。足に装着したフィンは、まるでペンギンになった気分。まだうまく使いこなせない。

疲れたら、体をくるりと回して空を向く。ライフジャケットを着ているので、横から体を捻って回す。後はラッコになる。本州より一足先に明けた梅雨。限りなく広がる夏空が眩しい。

くるりと回って、私はまた水中へ。

青く澄んで、静かで、地上とは違う地球の顔がそこにはあった。子どもの頃から海へキャンプに通って、知ってるものと思ってた。だけど、本当はもっともっと深く、広く、青く、果て無い場所だったらしい――

私は「海」を、初めて知った。そこはなんとも懐かしくて、居心地の良い世界だったんだ。



7月半ば、人生初の離島、沖縄県宮古島を訪れました。大好きな人たちと過ごした夏の思い出です。ここで出来事を語り尽くすより、まだしばらく胸にしまっておきたいというわがままな感情から、エッセイにもせず、写真を紹介するに留めます。それにしても素敵な場所でした。








赤土の話とか、美味しい刺身の話とか、泡盛とか、泡盛とか、岩石の話とか、サトウキビとか、まもるくんとか、色々あるんだけれども――

ありがとう宮古島。そしてじわじわ降り積もる、シュノーケル楽しいの気持ち。山も好きだが、海も好きだ。

                          元気です、いち





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